【河村康彦 試乗チェック】フォルクスワーゲン・ポロ Rラインとスタイルを比較試乗、オススメはどっち?

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必要十分な動力性能、凸凹通過後の乗り心地ではスタイルに軍配

初代モデルの誕生が1975年でゴルフに遅れることわずかに1年と、こちらも長い歴史の持ち主になるのが、やはりVWの基幹モデルのひとつと紹介できる『ポロ』。ここにお届けするのは、日本では2018年春から発売されている6代目の、マイナーチェンジを受けてこの6月に再度発売されたばかりの最新バージョンだ。

ちなみに、マイナーチェンジでの主なメニューはランニングランプの点灯パターンの変更や、リヤコンビネーション・ランプの形状変更などによる一部外観のリファインに加え、先進安全装備”ADAS”や快適装備のアップデートなど。すでに欧州地域で発表されている『GTI』の新バージョンは日本にはまだ導入をされておらず、日本仕様が7速DCTとの組み合わせで搭載するのは、1リッター3気筒のターボ付き直噴ガソリン・エンジンのみ。

各部にリファインが施された、1リッター3気筒ターボエンジン

ただし、実はこのユニットにもリファインが施されていて、リーンバーン燃焼方式や可変ジオメトリー・ターボを新たに採用。それは、「ゴルフ用のユニットからマイルドハイブリッド・システムを省いたもの」と考えればOKだ。

テストドライブを行ったのは『スタイル』と『Rライン』の2グレード。今回のマイナーチェンジでグレード設定を新たにした日本のポロだが、前者はシリーズ中で最も装備の充実した最上級グレード。後者は、さらにそれをベースとしながら一部に専用デザインの外装、スポーツサスペンション、シリーズ最大の17インチ・シューズなどを加えたスポーティ・バージョンということになる。

装備充実、最上級グレードのスタイル
キャラクターラインやバンパーまわりのエッジが強調された

前述のように、いずれも同様の心臓を採用したことによる動力性能は「必要にして十分なもの」という印象。決して際立った速さを提供してくれるわけではないが、すでに1500rpm付近でも実用的なトルクを発してくれ、2000rpm程度からはそれなりの”活きの良さ”も実感。3500rpm付近から上に達すると3気筒ユニット特有の音質が目立ち始めるが、前述のような性格ゆえ日常のシーンではそんな領域まで踏み込む頻度はごくわずか。全般にロードノイズも低めに抑えられているので、静粛性にも長けているということになるのだ。

路面との接地感は『Rライン』が上回るが、それも「比べてみれば」というハナシで、『スタイル』でも十分満足のレベル。それよりも、実は路面凹凸を拾っての揺すられ感は両者で差が大きく、”ファミリーカー”という視点で見た場合には『Rライン』の仕上がりは少々辛い。

専用デザインや17インチホイールを履くRライン

というわけで、個人的に今回の2台からオススメ車を提示するのであれば、迷うことなく『スタイル』というのが結論。しかし、様々な部分のアップデートによって、ますます「ゴルフの弟分」というキャラクターが強まった感を受ける新型である。

(河村 康彦)

(車両本体価格:スタイル=324万5000円/Rライン=329万9000円)

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