【河村康彦 試乗チェック】SUBARU・クロストレック 着座した瞬間から伝わるイイトコロ

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上質な乗り味と大きく向上した静粛性

以前、クローズドコースでのプロトタイプの短距離・短時間の試乗の印象をお伝えしたスバルの『クロストレック』を、ようやく公道上でテストドライブすることができた。日本ではブランニュー・モデルとなるクロストレックは、これまでXVとして親しまれてきたものをグローバルで統一した名称、というのはすでにお伝えした通り。

ハッチバックスタイルだが各部の抑揚が強調され、スタイルは一層躍動的になった

実際、そのスタイリングの雰囲気やほぼ同等のボディサイズからも、これが従来のXVの事実上のモデルチェンジ車であることは明らかだ。

ドライバーズシートへと乗り込んでまず好印象なのは、全方向に対する視界の良さ。最近は「死角はカメラで補うので問題ナシ」と、そんな開発の思想を感じさせられるモデルも少なくないものの、直接視認ができることによる安心感はやはりそれとは段違い。ドアミラー周辺の”抜け”の良さも文句ナシで、このあたりは最新のスバル車に共通をする大きな美点と声を大にしたい。

縦型の大型ディスプレイを持つインストルメントパネル

走り始めて最初に気が付いたポイントは、従来のXVに対して大きく向上をした静粛性。逆に、そうしたこともあって気になったのがシフトパドル操作時の安っぽい打音で、せっかく上質さを増した仕上がりの中で余計に目立つ印象を受けたもの。このあたりが、クルマづくりの案配の難しさでもあるのだろう。

18インチタイヤを標準装着

一方、クローズドコースではなかなか引き立たなかったものの、今回絶賛をしたくなったのがその上質な乗り味。どのような路面であっても、しなやかでフラット感が高い一方で、ハンドリングは素直で不自然な挙動は皆無。最低地上高は200㎜と大きいものの全高は1.61m未満と低めであることも功を奏してか、操舵に対して無用なロールが発生するようなこともなく、なかなかに人車一体感に富んだ走りの感覚を味わわせてくれることになったのだ。

パワーユニットは2リッター・エンジンとモーターのマイルド・ハイブリッド

 

動力性能は50㎏ほど軽量なFWD仕様の方が、やや身軽な印象だが、4WD仕様との間に大差はなし。全モデルに2リッター・エンジンを搭載するが、組み合わされる”e-ボクサー”を謳うマイルドハイブリッド・システムの効果は、その最高出力がわずかに10kW≒13.6PSということもあってなかなか分かりにくい。

かくして、乗れば上質でサイズも手ごろなこのモデルでの最大の課題はやはりネンピということか。WLTCモードで20㎞/リッターに遠く及ばないというデータは、さすがに直近では物足りなさが目立ってしまうのである。

(河村 康彦)

(車両本体価格:266万2000円~328万9000円)

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