【河村康彦 試乗チェック】ルノー・キャプチャー E-テック ハイブリッド 輸入車SUVで最も低燃費

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独自システムと緻密な制御でダイレクト感あふれる走り

現行『キャプチャー』は2019年に発表され日本には2021年2月に導入をされた、全長が4.2m級で全幅も1.8mを下回る、いわゆるコンパクトSUVと呼ばれるカテゴリーのモデル。

そのシリーズに2022年8月に加えられたのが、WLTCモードで22.8㎞/リッターと「輸入SUVナンバー1の低燃費」を金看板に、独自開発のハイブリッド・システムを搭載して2022年8月から日本に導入されている『E-テック ハイブリッド』だ。

全長が4.2m級でコンパクトの部類に属する

生産や物流の混乱からこのシステムを搭載するモデルとしてはアルカナ、ルーテシアに続く第三弾となったものの、昨今のSUVブームや価格の設定から「これこそが本命」と感じる人も多そう。

最高94PSを発する1.6リッターの自然吸気4気筒ガソリン・エンジンを用い、同じく36kW≒49PSと205Nmを発する駆動用モーターを搭載。基本は日産の”e-パワー”同様のシリーズ式ハイブリッド・システムながら、高速・高回転時に効率がダウンするモーターの特性を補填するべく、エンジン直結の駆動モードをプラス。それを使用の際にもなるべくエンジンの効率が高い部分を引き出すため多段トランスミッションを介在させ、エンジン/トランスミッション間の断続を通常の摩擦クラッチではなくドグクラッチで行う、という部分を指して、かつてルノーが参戦していたF1レース用マシンとの関連性をほのめかすプロモーションを行っている点も、この”E-テック ハイブリッド”の特徴になる。

発電だけでなく駆動も受け持つ1.6リッター自然吸気エンジン

走り始めるとまずはモーターのパワーでスタートすることにより、”EV感”が濃厚。当然静粛性は素晴らしく加速もすこぶる滑らか。さらに速度が高まってクルージング状態に入る頃には気付かぬ間にエンジンが始動していて……と、気になるショックやノイズの発生が皆無なのは、なかなか見事な制御だといえる。

一方、そんなクルージングの状態から加速が必要となってアクセルを踏み込むと、状況によってはキックダウンが行われ、一段低いギアが選ばれてエンジンパワー主体での加速がスタート。こうした場面でも変速ショックは皆無でエンジン回転数と速度がリンクをしない、いわゆる”ラバーバンド感”も発生しないのは美点。一方で、トランスミッションは4速ATとして機能するのでステップ比が大きく、エンジンノイズが急速に高まる点だけはちょっと違和感だ。

路面への当たりが優しいフットワークの印象は、純ガソリン・エンジン車譲りで好感の持てるもの。コンパクトなサイズゆえに室内空間は広大とはいえないが、それでもリヤシートにもスライド機構が付くので、用途に応じて後席と荷室のスペースを融通し合えるなどパッケージングもなかなか優秀。ディーラー拠点数が少ないなどウイークポイントもあるものの、「隠れた名車」と紹介出来そうなポテンシャルを備える1台である。

(河村 康彦)

(車両本体価格:374万円~389万円)

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