【河村康彦 試乗チェック】ダイハツ・ムーヴ キャンバス またまたヒット作になりそう

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各部が洗練され、新たなデザインも加わり、さらなるファン層拡大をもくろむ

絶対的にコンパクトなその特徴ゆえに「舐められてはいけない」という意識でも働くのか(?)、フロントマスクにこれでもか! とばかりの存在感に富んだ表情のデザインを備えるモデルが目立つのが、昨今の軽自動車の世界。

しかしそんな自己顕示性の強いモデルとは明確に一線を画し、むしろどんなアングルから見てもどこかホッとできるスタイリングで仕上げられて、実際のところそれが開発陣の予想をも超えるヒットに繋がったと解釈できるのが、ムーヴ・シリーズの一員という位置づけで初代が2016年秋に登場した『キャンバス』だ。

新しいデザインテイストを持つ「セオリー」も加わった

そもそも、若い女性をターゲットに見据えた、いわばニッチなマーケット向けの商品戦略だったこともあり、愛らしさや優しさを押し出したスタイリングはもとより、敢えてターボ付きのモデルも設定をしてこなかったというもの。

セオリーには、リヤバンパーのモールなど専用デザインも与えられている

が、蓋を開けてみれば想定よりも幅広い層に受け入れられ、ターボ付きエンジンを望む声も少なくないことに。そこで、今度は当初からターボ・モデルも設定し、最新のアーキテクチャー”DNGA”の新採用で50㎏もの軽量化を実現。さらに、前述のようにより幅広い層に対応するために、走りの面でもより高い基本性能を目指すなどのリファインを心掛けたというのが、初のフルモデルチェンジを行ったここに紹介の2代目だ。

従来型で好評だったスタイリングを受け継ぐカタチでパッと見の印象は余り変わらない新型だが、3種類ずつ用意されるグレード同士の価格は全く同一の設定で、「初代の可愛らしさを継承しながら、すっきりと洗練させた」という触れ込みの2トーン・カラーが特徴の『ストライプス』と、「上質で落ち着いた世界観を表現」と称される『セオリー』という二つデザイン・シリーズを用意。

ダイハツ軽自動車の中ではムーヴとタントの間に挟まる全高の持ち主だが、それでも室内高は有り余るほど。ムーヴよりちょっとだけ高いボディなのに、スライドドアを組み合わせたという特徴は相変わらずだ。

従来型のインテリアで特徴的だったセンターメーターは、ステアリングホイールを通して読み取る一般的なタイプへと変更され、個性が薄れたと感じる人も現れそうな一方、「こちらの方が見やすい」と評する人もいるはず。後席フロアが完全にフラットであるのを筆頭に、大人4人に十二分な室内空間が確保されているのは、昨今の多くの軽自動車が実現させているポイントだ。

おなじみの2トーンカラーのストライプス。“バス”のようなシルエットも魅力の一つ

新たに加えられたターボ付きの方が走り全般に余裕が大きく、常用するエンジン回転域がより低めになるので静粛性面でも有利なのは確か。ただし、前述軽量化の効果もあってターボ無しモデルでも、さほど無理なく走ってくれるという印象も大。またまたヒット作となってくれそうな軽自動車のニューカマーだ。

(河村 康彦)

(車両本体価格:149万6000円~191万9500円)

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