レクサスLC500 Convertible(コンバーチブル)試乗レポート LCクーペオーナーから見たLCコンバーチブルの美点はどこか?

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■LCは年々確実に改良が行われ、ついにコンバーチブル投入

レクサスLCは2017年春にデビュー。コンセプトカー「LF-LC」をそのまま体現したようなデザイン、プラットフォームを一新し、レスポンスに優れた10速ATや世界初の”マルチステージハイブリッド”などの新技術も注目を集め、高額にもかかわらず発売から1ヶ月で1800台を超える受注を集めました。現在のLCオーナーでも多くの方は初年度モデルにお乗りなのではと思います。

2018年夏には初の年次改良が施され、ショックアブソーバーに伸圧独立オリフィスを採用し、乗り心地と操縦安定性を改善。そして2020年の改良では待望の「LC500コンバーチブル」の追加投入とあわせ、足回りを中心とした軽量化など、マイナーチェンジに近い大きな年次改良が実施されており、特に乗り心地などの快適性は初年度モデルから大きく改善されたようです。

■乗り心地の改善は走り出してすぐわかる

今回は1日試乗の機会を得ましたので、せっかくの紅葉のシーズンということで、都内の首都高C1入り口から、中央道を経由して河口湖まで向かいました。

道中、あえて一般道の路面が荒いところや凹凸面を意識して通過したのですが、サスペンションが路面を追従しているのが強く感じられ、初期LCにお乗りの方であれば確実にその乗り心地の良さや微振動が低減されていることに気づかれると思います。足回りの軽量化やリヤ部への「パフォーマンスダンパー」の追加が特に効いているものと思います。LCコンバーチブルはクーペよりもコンフォート性能を高めているとのことでしたがまさにそのとおりです。

なお、首都高速道では道路上に多数のつなぎ目やうねりがありますが、大きめの段差についてはそれなりのショックを感じます。

■シートも快適性が向上

フロントシートは上質な「セミアニリン本革」ですが、コンバーチブルではシートのデザインやステッチが進化しているだけでなく、シート座面が従来よりクッション性があり、たわみ量が増加していることが感じられ、結果、乗り心地の良さにつながっています。特に、LCクーペの“標準”または“S Package”からのお乗り換えの方は、従来のアルカンターラ/本革スポーツシートとの違いに驚かれるのではないでしょうか。なお、同じセミアニリン本革を採用するクーペの“L Package”のシートよりも特に肩まわりのホールド感が強くなっており安定感があります。

また、シートベルトを通す「ベルトガイド」はクーペでは本革のストラップのみでしたが、仕立ての良い剛性感あるパーツに変更されており、見栄えも実用性(シートベルトの装着性)もアップしています。これはクーペにも採用してほしいですね。

■高速道路ではスポーツモードにしたくなる

LCコンバーチブルは、クーペと同様、走行時のアクセル、ステアリングやサスペンションのフィーリングをメーターフード左側にあるダイヤルで変更することが可能です。一般道ではコンフォートモードやノーマルモードが快適でしたが、速度域が上がってくると徐々にフワフワ感が出てきます。そこで「SPORT」モードに切り替えると足回りがシャキットしますので、よりメリハリある運転が 私的には好ましいチューニングでしたが、欧州車のようにもっとモード間にメリハリがあっても良いように思います。

なお、ブレーキペダルの形状も若干大型化さて、踏面拡大などの改良がされていることが体感できました。

■Lexus Safety System+も進化?

ニュースリリースには記載されていないようですが、予防安全システム「Lexus Safety System+」にも進化が感じられました。

レクサスLCにはレーンキーピングアシスト[LKA]が装備されており、初期LCではステアリングの制御が非常に控えめでしたが、LCコンバーチブルでは手を添えているだけで、明確に「力強く」ステアリングが小刻みに動き、レーン中央をキープするための制御を行っているのが指に伝わってきてちょっとした驚きがありました。

LCは自分でステアリングを握ってドライブを楽しむ車ではありますが、行楽シーズンの中央道は道中の大半が低速の渋滞路ですので、リラックスすることも必要です。

初期LCでは、制御がマイルドすぎてLKAの効果が弱く、私自身、使用することはほとんどありませんでしたが、LCコンバーチブルのLKAは実用的なシステムになっていると感じました。

ただ、最近のレクサス車には、さらに車線トレース性能や先行車追従機能を強化した、レーントレーシングアシスト[LTA]が備わっているので、今後「LKA」から「LTA」へのアップデートに期待したいところです。

■ウィンドスクリーンは効果絶大、視界の妨げにもならず

高速道路を降りると、いよいよルーフをオープンにする時がやってきました。オープン走行時の風の巻き込みを抑える車両標準の「ウィンドディフレクター」をさらに大型化したメッシュ状の「ウィンドスクリーン」はディーラーオプションですが、これは非常におすすめです。

一般道での法定速度内の走行において、これを装着すれば車内へ風の巻き込みはほとんどありません。また、メッシュ状になっているため、意外なことに、ルームミラーからの後方視界にもほとんど影響を及ぼしません。

ただ、欠点としてはこのウィンドスクリーンは手動で装着しなければいけないというところと、スクリーンの枠がブラックのみということです。

実際のところこのクルマの後席はほぼ「荷物置き」でしょうから、割り切って「電動格納化」するなどの試みや、スクリーンの枠のカラーが内装色と同様のバリエーションがあるとより良いのではと思いました。

■レクサスクライメイトコンシェルジュが優秀

河口湖周辺は外気温が15度と比較的寒かったのですが、オープン走行時は、レクサス自慢の「レクサスクライメイトコンシェルジュ」が自動的に空調制御を行ってくれ、ステアリングヒーターやヘッドレストに内蔵されたネックヒーターが自動的に作動して、寒さを感じることはありませんでした。また、エアコンもちょうど体を冷やさないよう風量を制御してくれますので、LCクーペと比べ、ありがたみを強く感じますね。

■ブレーキダストや「鳴き」も低減!

LCコンバーチブルでは、低ダストパッドが使用されているため、LCクーペの高摩擦パッドより明確にブレーキダストが低減されています。普段はちょっとした中距離ドライブでもほんのりブレーキダストが出ていますが、ご覧のとおり100km程度の走行ではダストはほとんど目立ちません。スポーツ走行をしない方にとってはよい変更と思いますし、社外品のパッドに交換する必要はないでしょう。また、「ブレーキパッドの鳴き」もまったく気になりませんでした。

■コンバーチブルは、よりエンジンサウンドが堪能できる

排気量5Lの自然吸気V8エンジンサウンドを堪能できるのがLCの特徴ですが、同じV8エンジンでもレクサスRCFよりLCのほうが積極的に音をきかせてくれる仕様になっています。なお、LCコンバーチブルはクーペよりも後方からの排気音が強調されて聞こえてくる仕様になっているようです。今回、河口湖から、山梨県甲府市へ抜けるルートを通ったのですが、ちょっとした峠道などワインディング・ロードでは周囲にクルマもほとんどいないため、ルーフオープン状態で、パドルシフトで快音を響かせながら走行することで、都市部では味わえない心地よいドライブを行うことができ、LCコンバーチブルの魅力を感じることができました。都市部では10速ATに任せっきりですが、ワインディング・ロードでは「M」モードとパドルシフトによる走行が楽しいですね。

■ソフトトップルーフに響く雨音がいい感じ

あいにく道中、雨に見舞われることがありましたが、LCクーペのカーボンルーフ/ガラスルーフと異なり、ソフトトップ特有の雨音がリズミカルにルーフに弾く音が心地よいことに気づきました。金属などの硬質な素材に当たる音と異なり、ソフトトップルーフでは雨音がうるさすぎてドライブに支障をきたすことはありませんでした。なお、LCコンバーチブルは低速走行時(50km/h以下)であれば、走行中でもオープン/クローズ動作ができるので、雨が降ってきた場合や、長いトンネルが目の前に迫ってきた場合も一般道であれば停車せずにクローズすることができるのは便利です。その代わり、開閉動作が終わるまで、専用のスイッチを押したままにしないといけませんので、ステアリング操作には注意が必要です。

■夜間のイルミネーションに変更点あり

帰宅時にはすっかり周囲は暗くなっていたのですが、インテリアでは、ひとつ嬉しい改善がありました。ルームランプに密かに内蔵されている「シフトレバーイルミ」の照度が大幅に向上し、夜間でもシフトノブおよび前方のカップホルダーを照らす仕様になっていたことです。従来は「Pレンジ」のときにしか点灯していることに気づかないほどの明るさでしたので、大きく改善されています。LCクーペも2020年の改良で同様の制御になっているのではないでしょうか?ニュースリリースには記載されていませんが、きっとオーナーからの要望をうけて改善された点と感じます。

ただ、相変わらずドアトリムを艶やかに照らす「アンビエントライト」の照度は物足りません。欧州車のように派手なマルチカラー調整までは不要ですが、オーナー好みの「照度調整」ができるとよりムーディになると思います。ドアポケットやリモートタッチパッド周辺にもほんのりイルミネーションがあると良いのですが・・・

■コンバーチブルはどんな方におすすめできるか

ただでさえ目立つオープンカーですが、その中でもLCコンバーチブルは目立つ車で、オープン走行時はとにかく注目を集めます。信号待ちで停車中、視線を感じることは常ですし、スマホのカメラを向けられることも珍しくありません。

都市部や高速道路では穏やかにルーフクローズ走行、そして峠や観光地につくとオープン走行することで、性格の違うクルマを所有している感じがしますし、「風」だけでなく、草花や農作業など自然の「香り」もドライブ中に感じることができるので、ドライブがより楽しく、印象的になることは間違いありません。普段都市の喧騒の中、多忙な日々を過ごし、休日は郊外や観光地へのドライブされる頻度が高い方には特におすすめできます。

なお、「見られる」ことが多い車なので、ドライブ中の服装やヘアスタイルなどにも気を使いますが、ファッションやちょっとした小物などのセレクトなど、自分を磨くことに繋がるかもしれません。自分自身のライフスタイルを変化させるきっかけにもなるのがコンバーチブルの魅力と言えるかもしれませんね。

[なまっくす]

レクサスを中心としたクルマについてのんびりきままにレポートをしている「のんびりなまけにっき」の管理人。

既存メディアがあまり取り上げないようなマニアックなネタも満載。

 

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