【河村康彦 試乗チェック】BMW・X1 ピュアEVも仲間入り

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比較的背の高いモデルだが、身のこなしはキビキビとしたもの

車名が”X”の記号で始まるのが、BMWのSUVラインナップ。もっとも、あくまでもダイナミックな走りを軸とした躍動感を重視するブランドらしく、自身のそんなラインナップを”SAV”=スポーツ・アクティビティ・ビークルと称したり”SAC”=スポーツ・アクティビディ・クーペと紹介したりと、これまで敢えてSUVとは異なるカテゴライズに属することを強調してきた事を覚えている人も少なくないはず。

いずれにしても今回お届けするのは、そんなシリーズの末っ子に位置する『X1』が、フルモデルチェンジをして日本に上陸した、という話題である。

世の中の潮流に乗って、と言うべきか、ボディのサイズはやはりひと回り拡大されてしまった。全長×全幅×全高が4500×1835×1625㎜というのは、従来型よりも5㎝ほど長く2㎝強幅広く4㎝ほど高いという関係。ホイールベースも2㎝伸びて、2690㎜になった。

キドニーグリルが大きくなって存在感を増したのは、昨今のBMW各車の動きを見ていると「想定内」という印象か。それでも、こうしたアウトドア派(?)なキャラクターの持ち主なので、むしろ違和感は少ないと思える気もする。

当初の日本導入モデルに7速DCTとの組み合わせで用意されるエンジンは、最高204PSを発する2リッターのターボ付き4気筒ガソリン・ユニットのみだが、今度のX1にはピュアEVバージョンが設定されるのが大きな特徴。こちらの正式名称はエンジン仕様の『20i』に対して『30』を名乗るから、ヒエラルキー上はこちらが上位に立つことを示唆している。

今回テストドライブしたのは『xドライブ20i xライン』。全くの同価格で用意をされる『xドライブ20i Mスポーツ』に比べると、よりラグジュアリーでコンフォート寄りの設定だ。

なるほどBMW車らしいなとまず思えるのは、こうして比較的背の高いモデルであってもコーナリング時のロール感が少なく、ステアリング操作に対する遅れ感も気にならないキビキビとした身のこなしを示すこと。

一方で、こちらもなるほどFFレイアウト・ベースのBMW車らしいなと思えるのは、ストローク感が少なくチョッピーな乗り味で、フとした拍子に『ミニ』シリーズが”遠縁”にあたることを彷彿とさせられることになる。

4WDシャシーを採用することもあり、末っ子でも車両重量は1.6トン超とそれなりだが、動力性能に不足を感じさせられるシーンにはテストドライブ中一度も遭遇せず。ただし、カタログ燃費はWLTCモードで13㎞/リッターに達しないから、今のご時勢こちらの方をもうちょっと頑張ってもらいたい、と、そんな声も現れるかも知れない。

大きくなったとは言え、それでも巨大化の止まらないこのところの輸入SUV群の中にあっては、まだまだ日本で乗りやすいサイズの持ち主であることは確か。そんなこの国との親和性の高さもあって、きっと再び好調なセールスを示してくれそうな1台である。

(河村 康彦)

(車両本体価格:556万円~668万円)

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