【河村康彦 試乗チェック】マセラティ・グレカーレ 第二のSUVがいよいよ上陸

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見た目とは裏腹!? 身軽な動きとフラットなマイルドで乗り味

半導体不足などの影響によって、当初「2021年秋」と言われていたデビューのタイミングが半年ほど遅れることにはなったものの、日本では2022年4月に初公開。2023年になってデリバリーもスタートをしているのが、このブランドの例に漏れず風の名前が車名に用いられた『グレカーレ』。

イタリア語で「地中海に吹く北東の風」を意味する名称というこのモデルは、マセラティにとってレヴァンテに次ぐ第二のSUV。全長が5mを超え、全幅もほぼ2mというレヴァンテに比べればボディサイズの違いは明確だが、それでも全長と全幅が共に4.8mと1.9mを大幅に過ぎるグレカーレも日本では”コンパクト”などという表現はとても使えない大きさの持ち主であることは明らか。

一方で、そんなグレカーレと実際に対面をしての第一印象は、「実際にはそこまでの大きさは感じさせられなかった」というのもまた事実だった。コロンと全体に丸みを帯びたボディや、ゆとりあるサイズを贅沢に使いキャビン後方を左右からギュッと絞り込んだ造形がそう感じさせるのかも知れない。

 

300PSを発揮する直列4気筒2リッターターボエンジン

今回テストドライブを行ったのは、シリーズのエントリー・グレードと言える『GT』。フロントフード下に8速ステップATとの組み合わせで搭載される心臓は、48ボルト式マイルドハイブリッド・システムを加えた最高300PSを発生する2リッターのターボ付き4気筒ガソリンエンジン。

ちなみに、先にMC20に採用されて話題となった副燃焼室付きの3リッターV6ツインターボ付きエンジン搭載のハイパフォーマンス・バージョンや、このブランドで初となるピュアEV仕様の存在もすでに明らかにされている。

ドアトリム。ドアのオープンはスイッチで

 

走り始めてまず驚かされたのは、スタートの瞬間からの低速域の力強さ。前述の立派なボディサイズに加え、後輪駆動ベースの4WDシステムも採用することで、車両重量はおよそ1.9トンとそれなりの重量級だが、街乗りシーンでの身軽な動きからはとてもそうしたスペックは想像できない。ベルトドライブ式ではあるものの、”eブースター”を称するマイルドハイブリッド・システムがなかなか侮れない実力を発揮しているようだ。

高速クルージング・メインの走りのチェックにはなったものの、路面への当たり感が思いのほかマイルドでフラット感も高いので、快適性は想像以上。ただし、テスト車が左ハンドル仕様だったのに加えドアミラー周辺の視界の抜けも今ひとつ。さらに、ルームミラー越しの後方視界も広大とは言えないので、小さな交差点での左折時など走りの場面によっては、少々気を遣わされる印象を受けたことは否めない。

端的に言って、数ある輸入プレミアム・ブランドの中にあっても決してメジャーとは言えないのがマセラティ。それだけに、今や星の数ほど存在するSUVの中にあっても逆に特徴的と言える存在感を歓迎する人もいるかもしれない。

(河村 康彦)

(車両本体価格:922万円~1520万円)

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