トヨタ・モビリティ基金、バンコクで実施した交通渋滞緩和プロジェクトの結果を公開

all 業界ニュース

一般財団法人トヨタ・モビリティ基金(Toyota Mobility Foundation、以下「TMF」)は4月25日、タイ運輸省、バンコク首都圏庁、警察庁、チュラロンコン大学などのパートナーと共に2019年より、タイの首都バンコクのラマ4世通りにおいて、移動データやAIを活用した渋滞緩和の実現を目指した「ラマ4プロジェクト」を展開しており、今回、約3年半にわたるプロジェクトの終了にあたり、これまでの結果を発表した。

2015年から2年間実施した第一弾「サトーンプロジェクト」に引き続き、第二弾として、更に効果的な交通管理のためには、科学的で正確なデータの把握が必要という認識のもと、バンコクでもとりわけ渋滞問題が深刻なラマ4世通りにおけるプロジェクトを立ち上げ、交通渋滞の緩和を目指し、チュラロンコン大学と共同で、「人を中心としたデータソリューション」をテーマに、研究・検証を推進。その結果、渋滞対策には、データから得る知見に加えて、利用する人間の意見も踏まえたソリューションが重要であることがわかったとしている。

【実施事項・主な結果】

①交通データの視覚化

◆CCTV-AI、Bluetoothセンサー、NDRセンサーなどの設置。

◆取得データをベースに走行速度、渋滞、所要時間、出発・到着地を視覚化する「ダッシュボード」を開発。

◆ラマ4世通りの12カ所に「交通指令室」を設置し「ダッシュボード」や関連データ、カメラ映像を監視し信号変更タイミングや事故処理など交通管理に関する適切な判断をリアルタイムで実施。

  • CCTV-AI、Bluetootセンサー:車両数、車両の平均速度、渋滞の密度や長さ、右・左折の回数を計測。
  • NDRセンサー:道路上の車両の位置などを測定。

②交通渋滞や事故の根本的な原因の特定

データより交通渋滞が頻発する3カ所を特定し、分析。

(1)大規模小売店所在地区での実証

  • 交通誘導員による横断歩行者の整理。
  • バイクタクシー駐車位置の変更。

実証結果として混雑時の歩行者道路横断時間の短縮や車両交通流の改善を確認。
これを踏まえバンコク首都圏庁に当該地区での交通整理、信号機設置、バイクタクシー駐車場の変更案などを提示。

(2)環状道路交差点での渋滞頻発地区での知見共有講習会の実施

  • 交通管理と信号制御のより効果的な実施を目的とし警察署間での交通データ連携・利用を強化するため知見共有講習会を大規模に開催。あわせて「交通指令室」の紹介、交差点への信号機設置案を提示。

(3)立体交差点周辺でのCCTV-AI設置

  • ラマ4世通りにある「日・タイ橋」付近でのAIを搭載したCCTVを設置し、早期に事故を検出、最寄り交通警察に警報を発し迅速な対応を実現。

【結果のまとめ提案】

<人を中心としたデータソリューションの共有・活用を提案>

プロジェクトを通じて、人を中心としたデータソリューションがバンコクにおける渋滞対策に大きな可能性があることが明確になった。信号のタイミングや公共交通機関のスケジュールやルートなどの交通インフラの設計をサポートできる履歴データを利用したり、リアルタイムのデータを適切に視覚化することで、事故の予防などをサポートできることも認識した。

同研究・検証結果を踏まえて、交通渋滞緩和のためには、より広範囲かつ継続的にデータを民間または公的機関と共有・活用することが重要であるとの提案を交通警察や、バンコク首都圏庁に行った。

同プロジェクトで得られた研究結果は、関心のあるステークホルダーと共有することを目的に、電子ブックとして公開。また、ラマ4プロジェクトにより導入された12カ所の交通指令室モニター設備などは交通警察に寄付され、今後もバンコクの渋滞解消に向けてこのデータマネージメントが活用されることが期待される。

Tagged