トヨタとJERA、リユース電動車用バッテリーを活用した大容量スイープ蓄電システムを構築

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トヨタと株式会社JERAは10月27日、リユースした電動車(HEV、PHEV、BEV、FCEV)の駆動用バッテリーを活用した大容量スイープ蓄電システムを構築し、電力系統への接続を含めた運転開始を発表した。

両社は、カーボンニュートラルの実現に欠かせないCO2排出量の削減に向けて、蓄電池は再生可能エネルギーの導入拡大に必要な調整力として、今後需要が拡大していくことが見込まれているのに加え、電池の材料となるコバルトやリチウムなど資源の埋蔵量に限りがあるため、使用済の電動車用バッテリーを回収し、蓄電池として有効に活用するなど、地球環境に配慮した取り組みを求められている状況を受けて、2018年から電池のリユース技術の確立に向けて検討を重ね、今回の大容量スイープ蓄電システムによる系統への接続が実現した。

トヨタが開発した大容量スイープ蓄電システムは、性能および容量の差が大きい使用済みの車載電池を扱うことが可能となるスイープ機能を搭載し、電池の劣化状態を問わず、かつ異種電池が混合した状態でも容量を使い切ることを可能にしている。スイープ機能とは、直列に繋いだ各電池の通電と非通電(バイパス)をマイクロ秒で切り替えることで、充放電量を任意に制御するデバイス(株式会社豊田中央研究所より開発)。

また、スイープ機能を応用することで電池からの交流の直接出力、または車載用インバーターをリユースすることにより、パワーコンディショナー(以下「PCS」)を省略し、コストダウンに寄与するとともに、PCSによる交流から直流に変換する際の電力損失を抑えることでエネルギーの利用効率向上を図っている。

同事業では、JERA四日市火力発電所において、以下の設備を中部電力パワーグリッド株式会社の配電系統に接続して、系統用蓄電池としての充放電運転の実施を予定。JERAとトヨタは2020年代半ばに供給電力量約10万kWhの導入を目指しており、蓄電システム全体のコストダウンに加え、CO2排出量の低減にも寄与するとしている。

【設備概要】

さらに、JERAは電動車用リチウムイオン電池の低環境負荷型リサイクルプロセスの開発に取り組んでおり、トヨタはこれまでの電池リサイクルの取り組みで培ったノウハウや知見を活かしながら、JERAの低環境負荷型リサイクルプロセスの開発を支援を予定している。両社は使用済み電池の回収や再資源化により、循環型社会の実現に向けて取り組みを加速すると述べている。

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