ジャガー・ランドローバー、「I-PACE」のバッテリーを利用したエネルギー貯蔵ユニットを開発

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ジャガー・ランドローバーは3月15日(英現地時間)、エネルギー分野におけるリーディング・カンパニーであるPramac(プラマック)とパートナーシップを締結し、ジャガーのフルバッテリー電気自動車(BEV)である「I-PACE」の車載バッテリーを二次利用し、ポータブルのゼロエミッション・エネルギー貯蔵ユニットを開発したと発表した。

オフグリッド・バッテリー・エネルギー・ストレージ・システム(ESS)と名付けられたPramacの技術は、「I-PACE」のプロトタイプや技術テスト車両のバッテリーから取り出したリチウムイオンセルを搭載しており、主電源へのアクセスが限られている、または利用できない場合に、ゼロエミッションで電力を供給することが可能となっている。

今回のパートナーシップは、電気自動車のバッテリーの新たな循環型経済ビジネスモデルを構築するというジャガー・ランドローバーの計画の第1弾となり、2039年までに排出ガス量実質ゼロの達成を目指すというコミットメントの一環として、BEV用バッテリーの二次利用やそれ以上の用途を実現するプログラムの立ち上げを予定している。

ジャガー・ランドローバーのバッテリーは、最高水準でつくられており、バッテリーの状態が電気自動車の厳しい基準を満たさなくなった後でも、それほどエネルギーを必要としないさまざまな状況下においては安全に使用でき、車載バッテリーとしての役目を終えた後も十分に活用することが可能となっている。二次利用されるバッテリーは再生可能エネルギー貯蔵のような定置用途に使用され、その供給量は2030年までに年間200GWhを超え、300億ドル以上の価値を生み出すことが見込まれるとしている。

フラッグシップのESSの容量は最大125kWhあり、これは、「I-PACE」をフル充電、一般家庭であれば1週間分の走行に必要な電力を供給することが可能。Pramacは、ESSにジャガー・ランドローバーから供給された車載バッテリー、モジュールや配線などを再利用し、その割合は最大85%に上るほか、残りのマテリアルはサプライチェーンに戻され、リサイクル活用される。

ソーラーパネルから充電を行い、双方向コンバーターとそれに付随する制御管理システムを備えたバッテリーシステムで構成される自己完結型ソリューションで、商用レンタルができるのに加え、動的制御をするType 2の電気自動車(EV)充電接続を備え、最大 22kWの AC充電が可能となっている。

同ユニットは、2022/23 ABB FIAフォーミュラE世界選手権の準備のために英国とスペインで行われたテストにおいて、ジャガーTCSレーシングがコース上でのマシンのパフォーマンスを分析する最新鋭の診断機器や、ピットガレージへの補助電源供給に使用された。また、南アフリカ共和国ヨハネスブルグにある世界最大のジャガー・ランドローバー・エクスペリエンス・センターにもオフグリッド・バッテリーESSが導入され、施設の主電源からの電源供給が不安定なときに補助する役割を担うとしている。

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