日産自動車、一般社団法人スーパーシティAiCTコンソーシアムは12月22日、「スマートシティ会津若松におけるカーボンニュートラル実現に向けた連携協定」に合意したと発表した。2者は、EVを核とする大規模なエネルギーマネジメントの構築、再生可能エネルギーの活用方法、EV保有の新たな在り方などを探究し、会津若松市がレジリエントな日本を代表する美しい脱炭素都市となるべく、長期的に行う実証実験において協業する。
はじめに、AiCTコンソーシアムの会員企業が入居する会津若松市内のICTオフィスビル「スマートシティAiCT」に太陽光パネルを設置するとともに、再生可能エネルギーの蓄電設備として、日産のEV「アリア」5台からなるシステムの検討を開始。太陽光から「アリア」に充電した電力をスマートシティAiCTへ給電、再生可能エネルギーの利用率向上と、建屋電力費用の削減を図ることで、EVを活用したエネルギービジネスの有効性を検証する。また、これらのEVを活用して、モビリティビジネスとの両立性も検討するほか、市内でのEVの使用状況やバッテリー状態をAIで予測し、再生可能エネルギーの発電予測と合わせて、地域エネルギー活用の最適化も検証するとしている。さらに長期的には、需要家（オフィス、店舗、工場、住宅など）ごとの電力の余剰分や不足分をP to P（Peer to Peer）で取引を行い、エネルギーの地産地消を促す実証実験も予定している。
両者は、上記結果を踏まえ、市民の行動変容を促す仕掛け作りを行い、モビリティとエネルギーのバランスを保つことで、より利益を産むサステナブルなビジネスへの創出へと繋げていくと述べている。
日産は、2010年に世界初の量産型100％EV「リーフ」を発売以降、2018年5月より、EVの普及を通じて環境、防災、エネルギーマネジメント、観光、過疎などの地域課題解決を目指す、日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」を、全国の自治体や企業、販売会社と共に推進しているのに加え、2030年代早期には、主要市場で投入する新型車すべてを電動車両にすることを宣言、SDGsの達成やカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを加速している。
また、AiCTコンソーシアムは、オプトインによるデータ活用とパーソナライズによる市民中心のスーパーシティ実現に向け、2021年に設立されたコンソーシアム。同コンソーシアムでは、2011年にアクセンチュア・会津若松市・会津大学の産学官連携で始まった東日本大震災からの復興事業が基礎となっており、10年以上をかけて会津で培ってきた知見、プラットフォーム、ネットワークをもとに、日本のあるべきスマートシティのモデルを、全国に展開していくこと目指している。
両者は、持続可能な社会の実現と日本の国際競争力強化には、地方の自立と成長がカギを握っており、そのためにはデジタルの活用が不可欠となるとしている。会津を舞台に10年かけて築き上げてきた日本のあるべきスマートシティのモデルにおいては、日本先端のモデルとして認知されており、日産やアクセンチュア株式会社といった企業のほか、市内の地元企業、団体など、約70の会員企業・団体が、組織の枠を超えたコラボレーションを実践。2015年には、会津若松市が、アクセンチュアの支援のもと、スマートシティのデジタル基盤となる都市OSを導入した。この基盤を中心に、モビリティ、エネルギー、観光、防災、決済領域など、幅広い分野のスマートシティサービスが、志を共にする企業によって開発、運用されている。
日産は、AiCTコンソーシアムが実践する市民中心のスマートシティ構想と、長年の実績に裏付けられた先進性に共感し、2021年8月にAiCTコンソーシアムに入会。今後、両者は今回の取り組みを他の都市へのモデルケースとして、将来、日本全国区へと広げていくこと、そして日本全体のカーボンニュートラル実現に貢献出来ることも視野に、連携を強化していくと述べている。
