ホンダは8月30日、スーパースポーツモデル「NSX TypeS」を発表した。
NSXは22年12月で生産終了することが発表されているが、この「タイプS」はその集大成とすべく、これまでのNSXを超えるパフォーマンスとデザインを追求した特別モデルで、全世界で350台の販売を予定。うち日本向けは30台限定での販売となり、9月2日より全国のNSXパフォーマンス・ディーラーで購入申し込みを開始、22年7月の発売を予定している。価格(消費税込)は2794万円。
同モデルの大きな特徴は、ダイナミクス性能を大きく引き上げ、「誰もが快適に操ることができる人間中心のスーパースポーツ」という初代モデルからのコンセプトを継承しつつ、フラッグシップスーパースポーツとしての高いパフォーマンスを追求したこと。
エンジンは燃焼効率の向上や、高耐熱材ターボの採用による過給圧アップ、冷却性能向上などにより、最高出力を22ps、最大トルクは50Nm向上。さらにIPU(インテリジェントパワーユニット)のバッテリー出力と使用可能容量を拡大し、システム全体での最高出力は、標準モデルの581psに対しタイプSでは610psに、システム最大トルクは標準の646Nmから667Nmに大きく引き上げられている。また、運転時の高揚感やドライバーとクルマの一体感をさらに高めるため、エンジンサウンドのチューニングや、減速時などに瞬時に適切なギヤにシフトダウンできるパドルホールド・ダウンシフトが採用されている。
デザイン面では、「パフォーマンス・デザイン」をコンセプトに、タイプSが目指す高いパフォーマンスを実現させるための機能と、存在感のあるデザインを高次元で両立。前後バンパーは新デザインとし、エアロダイナミクス性能の大幅な向上を追求、空力と冷却を高次元で両立させるトータル・エアフロー・マネジメントのさらなる向上を目指し、デザイナーとレース経験のある技術者が最先端のシミュレーションや風洞実験、走行試験を重ねて完成させている。またボディカラーは、ホンダ初のマットカラーとなる「カーボンマットグレー・メタリック」を含め、全10色のカラーラインアップが用意されている。
インテリアでは、タイプSとしての存在感を主張するカラーコーディネートとし、精巧さを表現。シートはカラーバリエーションを一新するとともに、ヘッドレストにはNSXロゴの刺繍が施され、所有する喜びを高めている。
発売を前に都内で行なわれた説明会で、開発責任者である水上聡氏(写真)は、「NSXのヘリテージである、人間中心のスーパースポーツということを土台に、スーパーカーを極める、ということでスペックを向上させた」と紹介。「Sというバッジを付け、スーパーなNSXにしたいという想いで開発を進めてきました。あらゆるシーンでニュースポーツエクスペリエンスをもっと感じて欲しい」とタイプSに込めた期待を語った。