【21年5月】あのクルマは何台売れた?国産乗用車ブランド別全車種販売台数

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日産:ノート、セレナ、キックスに集中

昨年11月の主力ノートのフルモデルチェンジによって、前年同月比25.3%増となった日産。ただ、売れ筋が一部に集中する傾向がますます激しくなっているのが気になるところではある。

<5月の販売台数>

ノート:5962台
セレナ:3460台
キックス:2302台
エクストレイル:656台
マーチ:570台
リーフ:221台
エルグランド:149台
スカイライン:137台
バネットワゴン:86台
キャラバンコーチ:48台
GT-R:47台
シルフィ:38台
フーガ:23台
フェアレディZ:19台
シーマ:3台
ティアナ:1台

車種そのものは結構多いのだが、登録車の販売は「ノート」「セレナ」「キックス」の三本柱に集中。セレナはもう少しポテンシャルがある車種だが、半導体不足の影響でハイブリッド車の生産が停滞しており、台数を伸ばせなかった。一方で登場時からしばらくは生産が追い付かなかったキックスは在庫も増え、販売状況が安定してきている。ただし、新型ヴェゼルの影響がこれから出てきそうだ。

そして上位3モデルを除くと、急に台数が少なくなるのが現在の日産の特徴。以前は「エクストレイル」も健闘していたが、モデル末期ということもあり、勢いを欠いている。「マーチ」は現行モデル登場時から不人気だが、新型ノートがe-POWER専用車となったことで、ガソリン車のコンパクトカーが欲しい人の受け皿になっており、少し台数が伸びている。

それにしてもアルファード5947台に対して、「エルグランド」はたったの149台。かつての人気ぶりを考えると寂しいところだ。

好調続く新型ノート。もうすぐ登場する上級版「オーラ」も気になるところだ

マツダ:ロードスターは根強い人気

5月の前年同月比は18.8%増。前年5月は前々年に比べてほぼ半減しているので、プラスに転じたとはいえ、まだまだ勢いは弱い。SUVのラインアップが充実しているが、どれも人気が一巡しており、決定打に欠けるイメージだ。

<5月の販売台数>

MAZDA2:1268台
CX-8:1055台
CX-30:866台
CX-5:830台
ロードスター:400台
CX-3:330台
MX-30:217台
MAZDA6:119台

飛び抜けて人気が集中するモデルはないものの、バランス良く売れているといえるだろう。ただロードスターの400台は、2シーターのオープンカーという内容を考えると凄い。

SUVでは今月はCX-8がCX-5を抜いているのが注目されるところ。一方でMX-30はもともと台数が期待されるモデルではないものの、昨秋登場した新型モデルとしてはちょっと寂しい数字。ちなみにMX-30のうち、EVは9台だ。

ミニバンライクな使い方が可能な3列シートSUVのCX-8。汎用性が高く、幅広い層から人気を集めている

スズキ:新型ソリオが絶好調

前年5月は大幅ダウンだったことに加え、昨年フルモデルチェンジした新型ソリオが好調に推移し、今年5月は前年同期比119.1%増と大幅伸長。主力の軽自動車に比べ、登録車は車種数は少ないが、安定して売れているモデルが多いのが特徴だ。

<5月の販売台数>

ソリオ:3159台
スイフト:1997台
クロスビー:1077台
ジムニーワゴン:1019台
イグニス:169台
ランディ:47台

コンパクトトールワゴンの人気は高く、新型ソリオも堅調。全ブランドの総合で4月は9位とベスト10に入る健闘ぶりだ。5月はポジションダウンしたものの15位。14位がプリウス、16位がノアということを考えると、かなり頑張っているといえるだろう。従来の主力スイフト、ハスラーの上位版的なクロスビー、納期長期化が続くジムニーワゴン(シエラ)も1000台超えで安定して売れているのも注目だ。

一方で個性派のイグニスはちょっと厳しい。またランディは日産セレナのOEMだが、セレナの最大の売りであるe-POWERとプロパイロットは非搭載なので、この数字も仕方ないところだ。

昨年11月のフルモデルチェンジでボディを拡大。積載性が向上したのも新型ソリオの人気のポイント

SUBARU:インプレッサが安定した人気

スズキと同じく、スバルも前年5月は大幅減だったので、今年5月は前年同月比で見ると181.5%増と大幅伸長。販売車種は少ないが、いずれも堅調に推移している。

<5月の販売台数>

インプレッサ:2291台
フォレスター:1291台
レヴォーグ:1095台
ジャスティ:117台
レガシィ:3台

インプレッサは「XV」を含めた数字。コンパクトSUVの人気が高まる中で、まずまず健闘しているといえるだろう。フォレスターはD型へのチェンジを控えて、値引きも拡大中。安定した台数を維持している。ダイハツ・トール、トヨタ・ルーミーと兄弟車となるジャスティは、特にルーミーの台数を見るともう少し頑張って欲しいところではある。

都市型クロスオーバーとして人気のXV。手頃な価格も人気を集める理由だ

ダイハツ:コンパクトSUV「ロッキー」が牽引

前年はコンパクトSUV「ロッキー」の大ヒットで台数を伸ばしたが、人気が落ち着いた今年5月は前年同月比1.3%増と辛うじてプラス。主力の軽自動車も伸び悩んでおり、やや苦しいところだ。

<5月の販売台数>

ロッキー:1394台
トール:889台
ブーン:282台
アルティス:5台

ダイハツ登録車の弱みは、細部の違いはあるものの全車種ともトヨタでも販売していること。「ロッキー」はトヨタ・ライズ、「トール」はトヨタ・ルーミー、「ブーン」はトヨタ・パッソ、「アルティス」はトヨタ・カムリの姉妹車となる。

ダイハツが開発・製造するライズやルーミー、パッソの販売台数を見てもわかる通り、ダイハツ登録車の商品力は高いのだが、販売店はどうしても軽自動車中心になってしまい、こと登録車に限ると販売力ではトヨタと圧倒的な差がある。とはいえ、ロッキー、トールもしっかり台数をキープ。スズキほどではないが、しっかりと登録車も売れるようになってきている。

トヨタブランドでは、ライズよりもルーミーの方が販売ボリュームが大きいが、ダイハツではトールよりロッキーの方が多い。トヨタの場合「ヤリスクロス」もあるため、コンパクトSUVユーザーが分散していることもあるかもしれない。

1Lターボを搭載し軽快な走りもロッキーの魅力

三菱:PHEV追加でエクリプスクロスが好調

前年5月は903台・前年同月比75.1%減と大きく落ち込んだため、今年5月は前年同月比129.1%増と大幅伸長。とはいえ台数規模としては小さく、本格回復までには至っていないのが現状だ。

<5月の販売台数>

RVR:76台
アウトランダー:92台
エクリプスクロス:673台
デリカD5:619台
デリカD2:280台

「エクリプスクロス」、「デリカD:5」の2モデルが販売を牽引。2018年の発売以来あまり目立たなかったエクリプスクロスだが、昨年12月にPHEVの追加で好転、5月は三菱の登録車ラインアップの中でトップの台数となった。実力モデルだけに、今後さらなる増販を期待したいところである。「デリカD:5」は固定ファンも多く安定の推移。

一方でモデル末期となったこともあり、アウトランダーは台数が減少している。なお「デリカD2」はスズキ「ソリオ」のOEM車。絶対数は多くないが、三菱全体の中でのウエイトは高く、貴重な戦力である。

PHEVの搭載で魅力を高めたエクリプスクロス。ライバルが多いカテゴリーだが、存在感を高めている
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