精悍なスタイルでも走りはマッタリ系?ダイハツ・タフトを試乗

試乗レポート

発売から1ヵ月で累計受注が月販目標の4.5倍となる約1万8000台と、絶好調なスタートを切った新型タフト。軽クロスオーバー市場といえばこれまでスズキ・ハスラーが独走していたが、今後は市場を分け合う形となりそうだ。

さて、その新型タフトを早速試乗してみた。試乗車は最上級グレードの「Gターボ」で、より精悍さを高めたメッキパックが装着されていた。直線基調の角型スタイルに少しアクセントが入るだけで上質感が格段に増すから、ぜひオススメしたいオプションである。

ワイルドな雰囲気の新型タフト。メッキパーツがより魅力を引き立たせている印象だ
横から見ると、さらに四角い印象が増す
リヤも迫力十分。存在感は抜群だ

 

室内空間は、ややタイトな印象。フロント、サイドともウインドウの高さが低いこともそう感じさせる理由かもしれない。またセンターコンソールが大きく張り出し、運転席と助手席が明確に区切られているのも、その要因といえるだろう。このためパーソナル感の強い雰囲気だ。ただし乗り込んで上を見上げれば、広々としたガラスルーフで開放感が抜群。試乗日は雨で空はどんよりと暗く、その恩恵は十分とはいえなかったが、快晴の青空ならさらに心地よさが感じられただろう。ガラスルーフにはスーパーUV&IRカット機能があり、さらにシェードも装備されているので、日差しがキツ過ぎる日でも安心できる。

インパネ周りも「角」で統一。機能性の高さを感じさせる
頭上のシェードを開けるとご覧の通り。開放感にあふれている

 

ボディスタイル同様にインパネも直線基調だが、メーターやシフト周り、エアコン吹出口をオレンジ色で括ったことで単調にならず、SUVならではの楽しさが演出されている。そのアクセントを除けば、インパネ周りの操作系は至って普通で、操作性については不満はない。使いやすい場所にUSB端子が配置され、またセンターコンソール上にスマホを置く場所があるのも便利だ。助手席前はギミックなしの大きなスペースとなっており、これも実用的である。クルマのキャラクターもあってか、無理に高級に見せようとしていないのも好印象。背伸びしない自然さが、かえって気持ち良い。

エアコン操作部の下にシートヒーターのスイッチやUSB端子、シガープラグなどが並ぶ。わかりやすい配置だ

 

特筆したいのはシートの座り心地の良さだ。サイズも厚みもたっぷりしていて、とても軽自動車のシートとは思えないほど。ホールド性も良く、長時間のドライブでも快適に過ごすことが出来るだろう。後席の座り心地の良さも同様で、快適さは抜群。足元の広さも申し分ない。後席は前後のスライド機構がなく、リクライニングもしないが、それ故に背板、座面ともしっかりとした厚みがあり、リラックスして体を預けることが出来る。また倒せば荷室と段差のないフラットな空間になるので、多彩な使い方ができるのもうれしいポイントだ。

迷彩柄もSUVらしさを演出。座り心地は軽自動車とは思えないほど
後席を倒すとフラットな空間になる。倒した後席とドアの間に隙間がないのも荷物を積みやすいポイント

 

野性味のある精悍なスタイルからワイルドな走りをイメージさせるが、実際に走らせてみると意外なほどにマイルド系。今回試乗したのはターボ車だが、加速感も穏やかで扱いやすく、アクセルやステアリング操作に対しての反応も過敏なところがないので安心してドライブできる。ただステアリングは中立付近がやや曖昧で、路面からの情報も積極的に伝えてこないタイプなので、カッチリとしたフィーリングが好みの人には、少々物足りなく感じられるかもしれない。

走り同様、乗り心地もソフトだ。足回りはそれほど柔らかい印象はないが、ゆったりとしたシートの厚みがショックを吸収するためか、ふんわりとした乗り心地である。穏やかな走りも相まって、どちらかといえば街中をキビキビと走り回るというより、ノンビリと長距離クルージングを楽しむ、といったシーンが合っているだろう。ただ室内の静粛性はそれほど高くなく、平均レベルといったところなのは、ちょっと残念なところだ。

高速道路ではACCも試してみたが、こちらも満足できる。特に加減速の制御が巧みで、これはハスラーよりも上回っていると感じた。減速を開始するタイミングが遅く、急ブレーキ気味になるハスラーに対して、タフトでは早めに減速を開始し、自然な感覚で先行車を追従できる。また遅い先行車がいなくなった時の加速も、突然エンジンが頑張って急加速していくというのではなく、緩やかに速度を回復するので安心感が高い。高速道路を利用して長距離ドライブに行くことが多いユーザーには、心強い相棒となりそうだ。(鞍智誉章)

■特徴的な内外装デザインを動画で紹介

 

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