高剛性ボディによる高い直進安定性 ホンダ・ヴェゼル ツーリング 試乗記

試乗レポート

2013年末の発売以来、扱いやすいサイズ感とスタイリッシュなデザインから堅調な人気を誇るヴェゼル。1.5LガソリンNA、ハイブリッドと2タイプだったパワートレーンに、新たに加わった1.5Lガソリンターボに試乗する機会を得たので、その走りを確かめてみた。

エクステリアは、従来から設定されていたスポーティグレード「RS」に準じたものとなっているが、フロントバンパーロアーグリルや左右2本出しのリヤマフラーなどを専用装備。インテリアは、ウルトラスエードを採用した専用コンビシート、運転席・助手席シートヒーターを装備し、スポーティさに上質感が与えられ独自の個性を表している。

搭載される1.5Lターボエンジンは、最高出力172PS/最大トルク220Nmというスペック。1700回転から最大トルクを発揮するため低回転域でも力強いのが印象的で、日常のタウンスピードでは扱いやすく、高速での合流や坂道での再加速においてもパワー不足を感じさせない。

足回りは他のグレードと比較して引き締められており、第一印象としての乗り心地は硬め。段差の乗り越えなどの入力をはじめ、路面によっては身体に響くような突き上げも感じられ、特にファミリーユースには不向きと言わざるを得ない。明確なスポーツキャラクターではないので、少しソフトで乗り心地重視のセッティングであっても良かったと思う。

一方で、ツーリング専用にボディ剛性を高めたことなどで修正舵の少ない直進安定性を手に入れ、長距離や高速走行では疲れを感じにくい。可変ステアリングギヤレシオによる俊敏なハンドリングで、意図したラインをしっかりとトレースする。一般道での右左折や車線変更後の車両の揺り戻しは少なく、どっしりとしたコーナリングでカーブでの走行も安心感も高いのは好印象だ。

また、全長は4340mmとコンパクトながら、後席は身長177cmの筆者が座っても十分な広さがあり、窮屈さを感じさせない。荷室の床も低く、後席背もたれを倒すと、座面がダイブダウンすることで十分な積載容量も確保され、コンパクトSUVのクラスを超えた使い勝手はツーリングにおいても健在である。

ツーリングの登場で選択肢を広げたヴェゼル。コストパフォーマンスや燃費性能が購入の決め手であればNAかハイブリッドモデルの選択が無難と言えるが、高い運動性能と使い勝手、より上質な内装を求めるユーザーにはおすすめできる1台となっている。

Tagged