【遠藤徹の業界ココに注目】酷暑の中の自動車販売

all コラム・特集

気温35度以上もの酷暑が続いている。自動車販売の現場でも大変な状況にある。新車販売は冷房の効いたショールームで商談ができるので、それほど苦労はない。大変なのはサービス工場のメカニックと展示場での中古車販売をする営業スタッフだ。

サービス工場では、近年新築店舗を中心にエアコンの装備が進みつつあるものの、暑さの中で仕事をしなければならない。作業の性質上、上下長袖の作業服を着ないと危険であるからなおさらである。

様子をみると、ほとんどのメカニックは20~30代の若者である。ただでさえ人手不足の作業場であるから、これだけ厳しい現場だと余計に若者は敬遠するに違いない。

ところが、最近の販売店の経営の柱は新車販売ではなく、定期点検、車検、修理を行っているサービス部門であり、営業利益率は20%以上にも達しているという。普通に考えると新車をメーカーから仕入れ、それをユーザーに売る新車部門が最も収益が上がりそうなものだが、実際はそうなっていない。

最近は販売価格が高騰していても、メーカーが拠出する販売店のマージン幅は縮小傾向にある。値引き販売はある程度せざるを得ないので、収益は上がっていないのが現状のようだ。新車販売以外だと、サービス事業の他部品、用品販売、自動車保険、中古車などがある。サービス事業を除けばこれらは販売店の全売り上げの10%程度に過ぎない。

中古車は新車販売の下取りの他、直接ユーザーからの買い取りで仕入れている。自社の展示場で販売するわけだが、オープンスペースだから、この酷暑では大変な思いで業務にあたっているに違いない。

(遠藤 徹)

Tagged