【河村康彦 試乗チェック】三菱・デリカミニ “ハードボイルド”はほどほどに日常使いを重視

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三菱らしく4WDはより凝ったクルマづくり

2023年4月に正式発表され、怒涛の勢いでTVCFが打たれている三菱自動車久々のブランニュー・モデル『デリカミニ』を、ようやくテストドライブすることができた。

もっとも、”ブランニュー”とは言ってもこのモデルには出典があって、それはekクロスの一員でSUV風味の強いモデルとして設定をされていた『ekクロススペース』。三菱自動車にはかつて”パジェロ”や”ランサーエボリューション(ランエボ)”といった、極めて強力なブランドバリューを備えたモデルが存在したものの、残念ながらそれも「今は昔」というのが現状。

 

そうした中で、ミニバンでありながら比類なき踏破性を備えた唯一孤高と言えるブランド力を今でも備えるのが『デリカ』。”ミニ”の名称を用いると例の輸入車が持つ商標に抵触する可能性が危惧されたものの、デリカ・ミニやミニ・デリカではなく『デリカミニ』のワンワードとすることでその点がクリア可能なことを確認。晴れて発売にこぎ着けることができたと伝えられている。

ekクロススペース同様、FWD仕様と4WD仕様が設定をされているが、開発陣の思いが後者により強く注がれていることは明白。軽自動車カテゴリーゆえコストも潤沢には掛けられず、女性や日常使いを重視するユーザーの獲得を考えると、ジムニーのように余りにハードボイルドに振り過ぎると自ら商売の間口を狭めてしまう可能性もあってか、ekクロスシリーズとは異なる専用メカニズムの採用は最小限。

それでも、多少なりとも地上高のアップを図るべく、同じ165幅の15インチ・タイヤでも、扁平率をFWD仕様の55%から60%へと変更したり、サスペンションのチューニングを4WD仕様に限ってはややオフロード意識の強いものへと変更したりと、より凝ったクルマ作りが行われているのが4WD仕様の方。

そんなこともあってか、試乗会に用意をされたテスト車はすべてが4WD仕様で、エンジンもより余裕ある走りを提供してくれるターボ付きで揃えられていた。

早速スタートをすると、確かにその動力性能に不足感はなし。そんな印象は一般の市街路はもとより高速道路でも同様で、「軽自動車だから」という理由で遠出を躊躇する必要は全くなさそうだ。

同時に、4輪の接地感もなかなか高く、不自然なロールを感じたりするようなこともなかったので、こちらも「背の高い箱型の軽自動車に乗っている」といった不安感を常時抱かされるようなことも皆無。ただし、テスト当日はほぼ無風状態であったため、こうした形状のボディで懸念される横風影響まではチェックに至らなかった。

乗り味は全般にやや硬めで、こうした点に踏破性向上を考えた影響は多少表れているのかも知れない。しかし、ソフトな印象をアピールしたいばかりに、高速道路などで頼りなさを伴う仕上がりよりのフットワークは遥かに好印象と受け取れたことも事実。

印象に残るCFの影響もあって、三菱のトップセラー・モデルとなる日も近いのかも知れない。

(河村 康彦)

(車両本体価格:〈NA〉180万4000円~214万9400円〈ターボ〉188万1000円~223万8500円)

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