流麗なスタイルとSUVの使い勝手を両立 アウディ・Q3スポーツバック 試乗記

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Q2、Q5と並び、アウディSUVラインナップの中核を担う「Q3」の新型モデルが日本に上陸した。2代目となったQ3は、派生モデルとしてクーペスタイルの「スポーツバック」が新たに設定されていることも大きなポイントだ。

ボディサイズはQ3が全長4495mm×全幅1830mm×全高1610mm、スポーツバックが全長4520mm×全幅1840mm×全高1565mm、ホイールベースはいずれも2680mm。スポーツバックはQ3との比較で全長が25mm長く、全高が45mm低く、スポーティなスタイルによってそのキャラクターを明確にしている。2モデルとも輸入車SUVの中では、取り回しにも難儀しないボディサイズと言える。

パワートレーンは、新開発の直列4気筒1.5Lガソリンターボ(最高出力150PS/最大トルク250Nm)、直列4気筒2.0Lディーゼルエンジンターボ(最高出力150PS/最大トルク340Nm)、トランスミッションはいずれのモデルも7速DCTを採用。駆動方式はガソリンモデルが2WD(FF)、ディーゼルモデルが4WD「quattro(クワトロ)」を採用する。

エクステリアは、アウディのデザインアイデンティティでもあるシングルフレームグリルに、スポーツバックはメッシュ形状のハニカムグリルを採用。加えて、スポーツバックは流麗なルーフラインがボディを伸びやかに見せ、スポーティな雰囲気を演出している。

インテリアは水平基調のダッシュボード、デジタル液晶を備えるバーチャルコックピット、タッチレスポンスの付いた10.1インチのナビ画面など、上級モデルのQ8やA8などと同様のものを採用する。

スポーツバックは車両後部にかけてルーフがなだらかに下っているので、試乗前は後席の居住性に不安があったが、ホイールべースが従来から75mm延長されたこともあり、足元スペースは十分に有り、頭上スペースも圧迫感を覚えなかったのは意外。大人2名での長距離移動でも、大きな不満はないレベルに仕上がっていた。さらに、リヤのタイヤハウスの出っ張りも無いので、見た目以上に乗降性が高かったのは好印象だ。

また、後席にはリクライニングとスライド機構を備えるが、これ自体は後席の居住性向上というより、荷室の使い勝手を高めるものであった。

■ディーゼルの音質が気になるものの、力強い加速は魅力的

今回試乗したのは、スポーツバックのディーゼルモデルで、ガソリンモデルに比べて車重が170kg増の1700kgとなっていて、車両の挙動や走り出しの加速は穏やかな印象。ただ、中・高速域での再加速では、ディーゼルならでは太いトルクで力強い加速を体感できる。

走行モードはオート、コンフォート、ダイナミック、エフィシエンシー、インディビジュアルに加え、都会派SUVも見た目ながらオフロードも設定されている。コンフォートや燃費に配慮したエフィシエンシーでもアクセル操作に対するレスポンスに不足は感じられないが、ダイナミックに切り替えるとハンドルの操作感やアクセルレスポンスも向上し、スポーティな一面も持ち合わせている。

乗り味は剛性感やクワトロらしい路面との接地感も高く、特にカーブではどっしりとした走りを見せてくれる。ステアリングに対する挙動も素直で、意図したラインをしっかりとトレースしてくれるので、扱いやすさが印象的だった。

ただ、試乗車はS lineのためスポーツサスペンションと19インチホイールを装着していたためか、乗り心地は終始硬めで、特に橋脚の継ぎ目や段差を乗り越えた時は、キャビンに明確なショックが伝わってきた。乗り心地を重視するのであれば、S line非装着車のほうが良さそうだ。

また、ディーゼルエンジンは、先日試乗したフォルクスワーゲン・T-Rocと同じ型式の「DGF」を搭載しており、その時と同様に高速域での再加速などで伝わるディーゼルの音質が、ディーゼル車だと明確に判るのも気になった部分。BMWやマツダのディーゼルエンジンは、室内ではディーゼルとほぼ感じさせないほどの静粛性を実現しているので、今後の改良に期待したい。

快適性と居住性重視ならQ3、美しいスタイルを持つスポーツバックを揃え、フルモデルチェンジで商品力を強化したQ3。中級グレードなら500万円を切る価格設定も魅力的だ。

 

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