【河村康彦 試乗チェック】メルセデス・ベンツ・Bクラス FFマルチパーパスの実力は?

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小排気量だから? DCTだから? そうしたネガティブイメージを一蹴

パワーパックを横置きとするFFレイアウトがベースの骨格を代表に、メカニカル・コンポーネンツの多くをAクラスと共有するBクラス。Aクラス同様のタイミングでマイナーチェンジを受けて発売されたこのモデルをテストドライブした。

ただし、前回報告のAクラスが2.0リッターのターボ付き4気筒ディーゼル・エンジンを積むモデルであったのに対して、今回テストドライブをしたのは1.4リッターのターボ付き4気筒ガソリンエンジン搭載モデル。Bクラスにもディーゼル・モデルは用意されるが、その価格は36万円増し。すなわち、シリーズ中のよりベーシックなモデルが、こちらという位置づけでもあるわけだ。

奥行きも十分あり実用的なラゲージスペース
Sクラス同等という最新のMBUX等が並ぶインストルメントパネル

マイナーチェンジによる従来型からの変更点は、昨今このブランドが売り物として推す対話型のインフォテイメント・システム”MBUX”が、「Sクラスと同等の機能」と紹介される最新バージョンへとアップデートされたのを除けば、新デザインのフロントバンパー/グリルの採用やテールライトのグラフィック変更、新デザインのホイール採用など、見た目にまつわる項目がメイン。新世代を謳うステアリング・ホイールの採用や、タッチパッドを廃した新しいデザインのセンターコンソール採用などは、Aクラスの場合と同様の内容だ。

1.4リッターと排気量だけではどことなく頼りなげだが実は…

前述のようにディーゼル・ユニットに比べ排気量が大幅に小さいことから、その動力性能に不安を覚える人もいるかもしれない。が、実際にスタートするとそれは杞憂に過ぎないということが即座に明白。さらに、「微低速での変速時にギクシャクする」といった声が聞かれることもありがちなDCTを採用しながら、そうした傾向も皆無。そのような領域でもトルコン式ATに見劣りすることのない、街乗りシーンでの扱いやすさにまずは好感を抱く。

テスト車には、インチアップやローダウンといったAMGパッケージが装着されていた

一方、テストドライブを行ったのが専用のコスメティックに加え、ローダウン・サスペンションやベース仕様に対してより幅広で1インチ大径なシューズを履く”AMGラインパッケージ”をオプション装着していたモデルであることも影響をしてか、そのフットワークのテイストはややしなやかさに欠け、全般にゴロゴロとして多くの人がメルセデス・ベンツというブランドのモデルに期待するであろう、高いフラット感の獲得には欠ける印象を受けた。このあたり、個人的には現在でもFRレイアウトをベースとする上級モデルとの間には、いまだに一線を画したテイストの違いが存在すると感じている。

そんなわけで、ファミリーユースに徹するので敢えてAMGラインパッケージは選択をしない、と、そんなチョイスの仕方にも一理はあるのではないかと思えた新生Bクラスである。

(河村 康彦)

(車両本体価格:〈ガソリン〉537万円〈ディーゼル〉573万円)

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