【河村康彦 試乗チェック】メルセデス・ベンツ・GLC ブランド最量販SUVがフルモデルチェンジ!

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キープコンセプトのように見えるが、静粛性と乗り味は格段に進化

SUVであることを示す”GL”の記号に該当するクラスを示す”C”の文字をプラスしたことで、このブランドのネーミングルールを理解する人にはおよその立ち位置が理解できるはずのメルセデス・ベンツ『GLC』。本国では2022年6月に発表されたその第二世代が日本にも上陸。早速テストドライブを行った。

リヤコンビネーション・ランプの形状やそのグラフィックが大きく変更されたことで、リヤビューに目をやれば一見してフルモデルチェンジが行われたことが明らかなGLC。が、逆にそれを除けば、全体にキープコンセプトの印象が強いのが新型の佇まいでもある。

もっとも、前身のGLKを含めると世界での累計販売台数が260万台と、好調が伝えられるこのブランドのSUVシリーズの中にあっても「2020年と2021年の全世界販売台数の中で最も売れたSUV」の座を勝ち取るなど、特に”ベストセラーSUV”と言って良さそうなのがこのモデル。

現在導入されているのは、ディーゼルターボ+マイルド・ハイブリッドのみ

今回の、比較的かわり映えの小さなデザイン戦略の背後には、従来型に対する開発陣の自信に加えて、そんな好調が続くモデルの雰囲気を敢えて変える必要はないだろうという考えも読み取れそう。ちなみに直近になって欧州では、従来型の販売が継続されていた”クーペ”版の新型も発表されている。

欧州ではガソリンエンジン搭載仕様や、それを含めたPHEV仕様などもラインナップされている新型だが、日本市場に向けては現在のところ、最高17kW≒23PSの出力と205Nmの最大トルクを発するモーターをエンジンと9速ステップAT間に置いた、マイルドハイブリッド・システムを加えたターボ付き2リッター4気筒ディーゼル・エンジンを搭載し、4輪を駆動する『220d 4マティック』のみの設定。テストドライブを行ったのは、そこに”AMGラインパッケージ”や”AMGレザーエクスクルーシブパッケージ”、”ドライバーズパッケージ”など190万円を越えるオプションを加えたモデルだった。

走り始めてまず感心させられたのはロードノイズが極端に低く、従来型とは一線を画して高い静粛性。耳障りなノイズ無しにアイドリングストップ状態から再始動をするマイルドハイブリッド・システムの持ち主ならではのメリットも、そこにひと役買っていた。

 

AMGラインとドライバーズパーケージを同時にオプション装着した場合にはエアサスペンションが採用され、それによりフラット感が高く上質感に富んだ乗り味を提供してくれたのも、このブランドのSUVらしいポイント。それでありながら、コーナリング時のロール感が抑えられハンドリングの自由度が高いことも、特筆に値するポイントだ。

それなりに高価ではあるけれど、それだけの価値はしっかり味わえるというのがこのモデルをテストドライブしての偽らざる実感。またまた世界でヒット作となることは、もはや確実という印象だ。

(河村 康彦)

(車両本体価格:820万円)

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