EUの執行機関である欧州委員会はこのほど、2035年以降もガソリン車の販売を条件付きで認める方針を明らかにした。水素を合成して作る液体燃料のみを使用する車両は、販売できるようにしたのである。これは日本にとっては朗報である。
欧州委員会は21年、乗用車や小型商用車のCO2排出量を35年までにゼロにする規制案を発表していた。これはハイブリッド車を含むガソリン車を事実上禁止し、電気自動車や燃料電池車への切り替えを促す内容で、欧州議会も22年10月にEU加盟国と合意した。
これまでの方針だと、ハイブリッド車の技術を得意とする日本の自動車産業にとっては電気自動車や燃料電池車一辺倒だと、35年以降かなり打撃が大きくなると予想されている。イーフューエルは燃焼時にCO2を排出するが、工場などから出るCO2を原料とするため、環境負荷が低く、脱炭素に繋がる燃料として期待される。
内燃機関が条件付きでも残る道があれば、その技術を進化せている日本の自動車にとっては、新しい活路が見だせるチャンスができる道が開けるということにもなる。電気自動車の普及が必須だとしても、内燃機関を廃止してしまうことは、カーボンニュートラルの実現にとってリスクになることは間違いない。電気自動車や燃料電池車のみでは、失われるものが大き過ぎると思うからである。
ベストな状況は電気自動車、燃料電池車、内燃機関、プラグインハイブリッド車、代替燃料などあらゆるパワーユニットのテクノロジーを総合的に進化させて、これらの良い部分を活かし、カーボンニュートラルを実現する努力をすべきである。コストダウンの追求も絶えざる技術開発の追求で達成できるはずである。
(遠藤 徹)