斬新コンセプト・ディーラー紹介
アウトドアに特化し、何度でも気軽に立ち寄れる店舗に。横浜トヨペット U-BASE湘南

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訪問型営業から来店型営業に変わりつつある自動車販売店。特段用件がなくてもふらりと来店してくれる、そうした理想のかたちを求め、メーカーを問わずどの販売会社も苦心しているはずだ。そうした中、異業種とのコラボレーションやクルマの楽しみ方の情報発信等々、従来にはない形態で“間口”を大きく広げ来店客とリピーターを増やしている店舗がある。そうした斬新なコンセプトを持つ店舗をシリーズで紹介していく。

■カスタマイズカー、キャンピングカー、アウトドア用品で“あなたの個性を刺激”

今回紹介する横浜トヨペット U-BASE湘南(神奈川県藤沢市湘南台)は、基本的に中古車販売拠点だが、ある種トヨタ系販社の中古車販売店に共通する店舗の“装い”が全くなく、独自のロゴマークやシックな色合いの外観で「この店は何だろう?」と思わせてしまうところがある。

U-BASE湘南は「あなたの個性を刺激する、クルマ遊びの基地」をコンセプトに2020年11月に開店。アルファードやハイエース、86等の中古車をカスタマイズして販売したり、購入した車両を顧客がさらにカスタマイズしたりすることができる。加えて、アウトドアに関する商品の展示と販売、情報発信で来店客層の幅を広げている。

アウトドアに関する~とは一体何か。昨今、街中のホームセンターでもアウトドア用品を取り扱うだけに、それらとはきっちり一線を画し、かなり本格的にアウトドアに寄せているのがこの店舗の特徴ともいえる。

アウトドア関連のアイテムは大きく二つ。一つがハイエースをベースとしたキャンピングカーの販売、そして、もう一つが和歌山に本拠を置き、珍しい海外ブランドを含むアウトドア用品やアパレルを扱うセレクトショップ「オレンジ」が置かれていることだ。

キャンピングカーでは、ハイエースをベースとするキャンピングカーづくりでは国内トップレベルのビルダー「トイファクトリー(本社・岐阜県可児市)」が製作したモデルや、U-BASE専用モデル(車中泊モデル、簡易ベッドモデル)等を展示・販売している。

ハイエースベースのキャンピングカーやU-BASE専用モデル(写真)も販売。レンタカーも用意さている

首都圏では自宅でクルマを複数台数所有、というのはまだ少数派に属する。一家に1台のクルマ選びとなるため、キャンピングカー購入はかなり慎重にならざるを得ない。そのため、ここではキャンピングカーのレンタルも行っている。商談中に使い勝手を確かめたい、あるいはまず使ってみたい、という要望に応えている。

キャンピングカーは高額だけに、購入後に不都合が出ると後戻りも簡単ではない。それだけに試せる点は重要で、同店(藤沢市)でレンタカーが好評なことから、同じコンセプトのU-BASE西湘(小田原市)でもキャンピングカーのレンタルを開始した。

さらに、自動車販売会社の多くは、様々な取り組みで地域社会との結びつきの強化を図っている。同店では地元藤沢市のふるさと納税返礼品に登録し、キャンピングカーの24時間レンタルプランも体験できるようにした。また、U-BASE西湘でも小田原市のふるさと納税返礼品に登録している。

■ブームも追い風になりアウトドア用品を求める来店客が増加中

アウトドアショップ「オレンジ」は、アウトドア用品の世界では元々知名度が高く、ベテランからビギナーに必要な基本的なアイテムはもとより、ちょっと高価だけど見た目がカッコいい用品も多数扱っている。実際、店内の「オレンジ」の商品棚は、何か見ているだけでもワクワクするような、使ってみたいと思わせる商品が数多く並んでいる。

従来からのスタイルのキャンプもあれば、最近愛好家が増える新しいスタイルのソロキャンプもある。また、自分のキャンプを動画撮影し発信する愛好家も増えた。アウトドアの楽しみ方が実に多様化しており、とりわけ動画で発信する愛好家に格好の用品がここには多くある。

オレンジのアウトドア用品に関しても、接客をするのは同社のスタッフだが委託販売の形式をとっている。売れる商品/売れない商品の判断や、商品棚に並べるアイテムは「オレンジ」側で決めている。

■キャンピングカー、アウトドア用品とのコラボでここが変わってきた

このアウトドア用品の販売が着実に来店者数・層を広げているようだ。このU-BASE湘南の向かい側には、同じ横浜トヨペットの中古車販売拠点があり、敷地面積や展示台数も同規模で、販売目標設定も同じレベルになるという。ところが、両店を比べると来店客数が違ってきた。向かいの中古車販売拠点は平日20人位、週末で100人弱の来店だが、U-BASE湘南は平日50~60人、週末は150~200人の来店があるという。

U-BASE湘南はサービス工場も併設されており、平日の来店は既納客の予約した点検が中心で、新規客がほぼなし。逆に週末は新規客が一時期70%だったが、現在は60%に落ち着いた。また、来店客の年齢層がぐっと若返った。30~40代が中心で、同社の平均より10歳くらい若いという。特に、30~40代のファミリーは、今後のライフステージの変化でクルマを2~3台乗り継いていくので、そうした層との関係性が築けたことは非常に貴重だ。

併設されるサービス工場。定期点検の他カスタマイズ、オイル交換等にも対応

また、U-BASE湘南の駐車スペースを見ると、トヨタ車でもカスタマイズされたクルマや、他社のクルマが多い。中でも、ヘビーにカスタマイズされたクルマは目立つので、リピートで来店していることも一目瞭然という。

開店当初、サービス工場は閑古鳥が鳴いていた時期もあった。ところが、買い物中にオイル交換を依頼する来店客がじわりじわり増えてきた。あわせて、購入客の整備も増え、現在ではオイル交換に予約が必要になるほどの盛況ぶりだ。

スポーツモデルのカスタマイズも行う

オイル交換をきっかけに定期点検の案内でもできる。さらに、オイル交換をきっかけにカスタマイズの相談も増えてきた。接客して感じるのは、日頃ディーラーに行かない顧客から相談を受けるケースが非常に多いという。やはりアウトドア用品が“入口”になっているようだ。そして、同店の本来の狙いでもある車両購入までに発展したケースも10台以上はあるという。

■スタートから約1年半、スタッフの変化や今後の展開・課題

入念な準備をして開店を迎えたが、特にスタッフ一人ひとりの商品知識のアップデートは重要だ。キャンピングカーやアウトドア用品など趣味性の高い商品を取り扱うがゆえ、専門知識に長けた来店客も多く、スタッフは基本的な商品知識レベルを上げつつ、最新の情報に触れてないといけない。来店客の質問に答えられないと、購入意欲が下がってしまう。一方、スタッフも“やらされ感”では専門知識も身につかず、興味を持ってもらうことが必要。開店後も研修を兼ね、スタッフでキャンプに行くこともあるという。

アルファードの中古車は、カスタマイズされ付加価値が高められている

また、トイファクトリーのスタッフのサポートもあり、スタッフの商談に助け舟を出してくれることもあった。現在も週末には店舗に来てくれて、スタッフは仕事をしながら研修を受けているような状態にあるという。キャンピングカーは家を一軒売るようなものだから、知識の量やレベルを高めていくことが必要と認識している。

U-BASE湘南開店から約1年半が経過した。まだ構想段階と前置きしつつ、次の展開としてキャンピングカーでの楽しみ方にさらに一歩踏み込み、キャンピングカーやキャンプの楽しい“体験できる”が店舗にしたいという思いも膨らんでいる。

一般的に、自動車販売会社では新車販売が最前面に出るため、中古車販売は“2列目”のポジションに捉えられることが多い。しかし、U-BASEは会社として自動車販売店が未参入の領域に踏み込み、中古車部門でありながら第一線を走っている状態にある。スタッフの意識も変わり、新しいことへのチャレンジを誇りに思い、笑顔でチャレンジを継続しているという。

中古車販売拠点では珍しい納車スペースも用意されている

今年5月には社内の組織改編で“U-BASE企画室”が新設された。また、8月上旬には新たにU-BASE相模(相模原市緑区)が営業を開始。当初は1店舗としての取り組みだったが、店舗も増えて事業として社内体制も強化された。各店舗のニーズを組織として吸い上げ、さらに事業へと発展させていく。今後もU-BASEの取り組みに注目したい。

【U-BASE湘南 店舗概要】

所在地:〒252-0804 神奈川県藤沢市湘南台7-26-1
営業時間:10時~19時(定休日:火曜日)
電話:0466-46-7511
URL:https://u-base.jp/shonan/

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