【ダイハツ・ムーブキャンバス試乗】可愛いだけじゃない、走りの実力も本格派

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7月にフルモデルチェンジしたムーヴキャンバス。発売から約1ヵ月で累計受注台数が2万6000台を超え、月販目標6500台の4倍にも達するという好調なスタートとなった。好評だった初代のスタイリングを大きく変えず、基本性能を進化させたことが成功につながったようだ。実際に試乗してみると、その高い実力に驚かされる。これは売れるのも納得だ。

外観デザインはそのままに、中身は大きく進化

個性的なデザインと高い実用性で人気のムーヴキャンバスが、今年7月にフルモデルチェンジ。新型は可愛らしいテイストの「ストライプス」と、新たにシックな装いの「セオリー」の2シリーズ構成となり、またターボエンジンも搭載されたことで、これまで以上にユーザー層を広げていくことになりそうだ。

まず外観は超キープコンセプト。細部まで見ていくとフロントの顔つきやリヤのナンバー位置など違いはあるものの、全体のイメージはほとんど変わらないので、フルモデルチェンジしたことに気が付かない人も多いかもしれない。ただムーヴキャンバスの最大の魅力はその可愛らしいスタイルにあるのだから、これは嬉しいポイントだ。

新型ムーヴキャンバス(ストライプス)

一方で、室内のデザインは大きく変更されている。先代のインパネはセンターメーター方式を採用し、その下にナビを配置するレイアウトだったが、新型ではメーターを運転席に戻し、センター上部に大型ディスプレイを配置。またインパネ全体も横基調のデザインが採用され、スッキリとした印象になった。インパネの中央は横長でフラットなスペースになっており、小物類も置きやすい。室内全体はストライプスはホワイト、セオリーはブラウンのカラーを基調にまとめられており、質感も満足できる。

インパネ周りは横長でスッキリとしたデザインに

タウンユースからロングドライブまで楽にこなせるゆとりの走り

さて、可愛らしい外見から、走りは二の次という印象も受けるムーヴキャンバスだが、実際に試乗して見ると、その実力が非常に高いことに驚かされた。これは骨格であるプラットフォームをDNGAに刷新することが大きい。ボディ剛性を高めながら車両重量は約50kg軽量化され、エンジンも新世代のものに変更されたことで、走行性能が大きく高められている。

パワーそのものは、ターボの方が出力が大きく余裕があるのはもちろんだが、NAエンジンでも発進から高速域まで過不足なくストレスなく走れるだけの加速をみせる。特に先代と比較すると低中速域での力強さが大きく増しており、日常域での走りやすさが格段に増している。先代の発進時は、アクセルを踏んでから一拍置いてパワーが出てくる感じだったが、新型ではアクセルと同時に必要なパワーが出てくるので、ストップ&ゴーが連続するシーンでもイライラしない。高速道路の利用や長距離移動が多いユーザーならばターボを選びたいが、タウンユース主体ならばNAエンジンで十分だ。

一方でターボは高回転までの吹き上がりがスムーズなのが印象的。CVTの制御もあって、一気に踏み込んだ際は音が先行して後からパワーがついてくるような感じになるが、エンジンの回転に合わせるように静かに踏み込んでいくと極めてスムーズにパワーが出てくる。高速道路での合流や車線変更も余裕でこなせる実力があるから、ロングドライブでも疲労感が少ないだろう。

ステアリングの操舵感や足回りの正確性も大きく向上した部分。先代ではやや軽すぎに感じた操舵感は適正な重さになり、運転しやすくなった。また足回りはしなやかながら剛性感が高くなり、余計な動きが減少している。このため狭く曲がった道でも不安がない。

先代は母娘がターゲットということもあり、走行性能としてはファーストカー、ファミリーカーにするにはちょっと実力不足の感があったが、新型ならば一家に一台という環境でも安心して選択することが出来る。乗り心地そのものはマイルドで、厚みのあるシートの良さも手伝って心地よく、前後席とも快適に過ごすことが出来るだろう。デザインだけでなく、居住性や走行性能で選んでも満足できる実力を持っている。(鞍智誉章)

シートの座り心地も快適
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