本来であれば、販売店各社は6~7月の夏期セールにはかき入れ時で賑わうはずだが、今年はかつてない規模で苦戦を強いられている状況にある。サプライヤーからの半導体を中心とした部品の供給遅れによる生産制限、法規対応での改良によって従来モデルの一時的なオーダーストップが重なっているためである。
法規対応は、8月に騒音や排ガス規制が強化され、従来モデルの改良が多数行われている。7~10月はフルモデルチェンジ、マイナーチェンジ、一部改良などが合わせて行われる車種が多くなり、それまで従来モデルの生産が一時的にストップするので、スムーズな販売活動ができない状態になっている。半導体を中心とした部品供給の遅れは、受注しても納期が半年以上も遅れ、販売店は商売にならないと頭を抱えているのである。
キャンペーン期間での各種サービスの対象は、これまで成約しナンバーを取得した場合が基本だったが、今回は納車が大幅に遅れているため、受注した時点に移行している販社もある。それでも改良する場合は一時的なオーダーストップで、受注することもできない車種も多く見受けられる。
対処方法はいろいろ考えている。一部改良だと従来モデルで仮の見積書を作成し、購入を約束し、正式に発売された時点で、正式な契約書を作成しなおすという方法である。これによって、あらかじめ顧客をキープするようにしているのである。
また販売店によっては新車ではなく、高年式の中古車を販売するケースもある。このため販社の敷地内に中古車展示場を併設し、程度の良い高年式車を展示販売しているところもある。
(遠藤 徹)