【河村康彦 試乗チェック】プジョー・308 存在感と乗り味でライバルを凌駕

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いい“仕事”するピュアテック3気筒1.2ℓターボにも注目

そもそもは、プジョーを代表する基幹ハッチバック・モデルであった『307』の後継という位置づけで誕生したものの、ブランド全体のネーミングルールの変更によって末尾が”8”の数字で固定され、2007年誕生の初代から数えれば3代目ということになるのが、2021年3月に発表され日本では2022年4月から受注が開始をされている最新の『308』シリーズ。

エンブレムも刷新

5ドアのハッチバックと”SW”のサブネームが付くステーションワゴンという2タイプのボディが用意されるのは、従来型の場合と同様。両タイプともターボ付きのガソリンもしくはディーゼル・エンジン、そしてターボ付きのガソリン・エンジンを採用するプラグイン・ハイブリッドと3種のパワーユニットを、8速ステップATと組み合わせて搭載する。

ディーゼルエンジンは直列4気筒1.5ℓターボ

今回も立ち位置としては「VWゴルフの真っ向からのライバル」ということになる308。が、ハッチバックの実車を前にまず感じたのは「こちらの方が大きく立派に見える」という事柄。それもそのはずで、従来型比で全長が145㎜、全幅が45㎜拡大され、ホイールベースも60㎜伸びたことで、すべてのデータはゴルフのそれを明確に凌ぐ。

中央に新たなデザインのエンブレムを配し、例によって”セイバー”(サーベル)と称される牙状デザインのランニングランプを採用したフロントマスクには賛否両論があるかも知れないが、いずれにしても歴代モデルの中でも存在感がかなり強いルックスの持ち主であることは確実だ。

3気筒のガソリンエンジン

今回は、上陸の遅れているプラグイン・ハイブリッドを除く、2種のエンジン搭載モデルをテストドライブしたが、個人的により強い好印象を感じたのは”ピュアテック”の愛称が与えられ、すでに定評のある3気筒のガソリン・エンジンを搭載したモデル。確かに、走りのイメージがより強い”GT”を謳うグレードはディーゼルへの設定で300Nmの最大トルク値もガソリン・ユニットを圧倒するが、より軽快に回り低回転域からまるでディーゼル・ユニットのごとく太いトルクを発してくれるのは見逃せない。そして、何よりもノーズ部分がより軽いハンドリングの感覚が、ディーゼル・モデルにはない爽やかな走りのテイストに繋がっているのだ。

身軽さが身上のガソリンモデル

実はボディの基本骨格は従来型からのキャリーオーバーだが、まさにこの部分がグンとしっかりしたような新鮮さは、ライバルであるゴルフ以上に明確に感じられる。ふんわりとしなやかな乗り味という点では「期待したほどではなかった」と感じる人もいるかも知れないが、その分しっかりと骨太なフットワークのテイストを好ましく受け取る人もいそうな新しい308である。

(河村 康彦)

(車両本体価格:305万3000円~490万6000円〈SW〉325万3000円~530万6000円)

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