【河村康彦 試乗チェック】ルノー・アルカナ R.S.ライン E-TECH ハイブリッド 輸入車唯一のフルハイブリッド車

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独自のシステムと走り。サイズ感もフレンドリー

かつては本命とも目されていたディーゼル・エンジンの名声に、例のスキャンダルが自ら泥を塗ったカタチとなり、さらにハイブリッドカーを得意とする日本勢にこの先の覇権を握られてはたまらないという思いもあってか(?)、まるで「エコカーはエンジン無しのピュアEV一択!」と言いたげにも聞こえる、このところの多くの欧州メーカーのプロモーション活動。

そうした中にあって、突然の登場でびっくりさせられたのが、輸入車では唯一となるフルハイブリッド・システムを搭載した、ルノーの『アルカナ』というブランニュー・モデル。

ちなみに、ルノーといえば日産や三菱自動車とアライアンス関係を備えるだけに、てっきり日本車が培ったテクノロジーが使われているのかと思いきや、「アルカナが採用したシステムは、純粋にルノーが開発したもの」とのことで、前出日本のメーカーは無関係であるという。

ラゲージスペースも十分な容量が確保されている

そんなハイブリッド・システムは、1.6リッターのガソリン・エンジンと49PSを発する電気モーターの組み合わせが基本。発進加速時を中心にモーターが主導権を握り、速度が高まってモーターの効率が落ちる場面ではエンジンからの直結モードが活躍する…という点ではホンダの”e:HEV”やミツビシの”PHEV”と考え方が近いとも言えそうだが、”E-TECH”と名付けられたこのルノーの方式は直結モード内にトランスミッションを介し、走行速度に対してより効率の良い複数のエンジン回転数を選択できる点が確かに固有の特徴となっている。

走り始めると、スタート後のモーター主導での走行時に、エンジンが始動の”気配”がロードノイズなどに巧みに紛れこまされ、ほとんど気にならないのは、新型ノートなど日産の”e-パワー”車と同様の印象。

一方、より強力な加速力が必要となってアクセルペダルを踏み加えると、そこではさすがにノイズが高まってエンジンの存在感を明確になるものの、車速とエンジン回転数がリンクをして上がるのでいわゆる”ラバーバンド感”はごく僅か。動力性能面では、これが「ルノー独自の作品らしい」といえそうな大きな特徴だ。

ルーフラインが美しいクーペSUV

ボディのデザインはいかにも今風なクーペSUV型だが、全長×全幅は4570×1820㎜で、日本の道路や駐車環境にはなかなかフレンドリーなサイズ。フランス車ということでフンワリしなやかな乗り味を期待すると、意外に硬めな仕上がりがちょっと残念に思われるかも知れないが、ハイブリッドには抵抗感のない日本のユーザーには、すんなりと受け入れられるかも知れない。

(河村 康彦)

(車両本体価格:429万円)

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