【河村康彦 試乗チェック】SUBARU・WRX(プロトタイプ) 強靭なボディでダイレクトかつシャープな動き

all 試乗レポート コラム・特集

排気量アップの効果てきめん、ただし総合評価は分かれそう…

もともとは、インプレッサ・シリーズのハイパフォーマンス・バージョンと位置づけられていたものの、現在はスバル車全体の中にあっての「独立した”走りのセダン”」という立ち位置を与えられているのがWRX。ここに紹介するのはまずはアメリカで先行発表され、昨年11月に日本仕様の情報も発表された次期バージョン。

正式な名称は『WRX S4』となり、すなわちMTと組み合わされた心臓を備えるよりハードボイルドな『WRX STI』に対して、2ペダル・トランスミッションを備える1ランク・マイルド仕様の持ち主であることが伺える。

実は新型の大きな特徴は、ひと足先に世代交代を敢行した新型のレヴォーグと、血縁関係が極めて色濃いということ。もちろん、ステーションワゴンのレヴォーグに対してこちらは4ドア・セダンとボディ形態こそ全く異なるものの、まずは骨格部材を組み立ててから外板パネルを溶接することで、アッパーボディとプラットフォーム間の結合力を増すことが出来る”フルインナーフレーム”と名付けられたボディやサスペンションの構造などが基本的に同様。

フルインナーフレーム
2.4リッターエンジン

さらに、新型では従来型同様のCVTをベースとしながらも変速スピードやギア比をリファインしたのに加え、ダウンシフト時のエンジン回転合わせ機能も持たせるなどした”パフォーマンストランスミッション”とターボ付き2.4リッターの新エンジンを新採用。そして、何とこの新しいパワーパックを用いたレヴォーグの追加モデルも新型WRXと同日に発表というニュースも伝えられている。

パフォーマンストランスミッション

そんな新型WRXのプロトタイプを、サーキット限定ながらテストドライブした。走り始めてまず感じたのは予想通り、従来型との加速感の違い。400㏄排気量アップの効果はてきめんで、太いトルクを感じられるゾーンが低回転側に大きく広がった印象。一方で、見方によってはターボブーストが高まったシーンでの、スポーツ心臓らしいパワーの盛り上がり感には今ひとつ欠けるようになったという事も出来そう。このあたり、乗る人によって評価が大きく分かれそうではある。

ボディが大いに強靭になったという印象は新型での嬉しいポイント。ステアリング操作に対する応答がよりダイレクトでシャープになったのも、当然新型ならではの見どころと言えることになる。

そんなWRXにはいずれ、前述MTの組み合わせを実現したSTIバージョンも登場するはず。そんな”真打ち”と共に一般公道上をチェック出来る時が待ち遠しいニューモデルなのである。

(河村 康彦)

(車両本体価格:364万円~434万円)

Tagged