【タイヤ試乗記】氷上からドライ、ライフまで安心のアイスナビ最新作 グッドイヤー ICE NAVI8の実力をチェック

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まだまだ夏真っ盛り。というわけで少し気が早い話だが、今年の冬はスタッドレスタイヤ選びが楽しくなりそうだ。というのも今年は新作ラッシュ状態。ブリヂストンが「ブリザックVRX3」を投入するのをはじめ、ヨコハマも新作「アイスガード7」で対抗。ダンロップはSUV専用「ウインターMAXX SJ8+」を発売、トーヨーもSUV専用「オブザーブGSi-6」を本格導入、ミシュランからもオールシーズンタイヤの新作が発売される。

その中でグッドイヤーも新商品をリリース。これまでの「アイスナビ7」の後継として「ICE NAVI8」が登場する。4年ぶりの一新ということで、性能向上が大いに期待されるところだ。

グッドイヤー「ICE NAVI8」

・バランス重視がアイスナビの伝統

97年の初代登場以来、着実な進化を続けてきたグッドイヤー「アイスナビ」シリーズだが、その特徴は雪上・氷上からドライ路面での性能や摩耗性まで、全体のバランスを重視していること。

最近では氷上性能はピカイチ、でもライフは短めといった、いわば「氷上特化型」とも呼べる商品もあるが、これだと活躍できる地域・時期は限られたものとなってしまうし、コストもかさむ。寒冷地であっても道路が氷に覆われる時期は意外と短いのだ。一方でドライ路面での走行性能を重視すれば氷上性能はそれなり。これではどこでも安心とは言い難い。ドライからウェット、雪から氷と一日の中でも目まぐるしく変わる日本の冬道は、やはりバランス型が一番安心できる。

最新作となる「アイスナビ8」もその方向性は不変。氷・雪・ウェット・ドライ・ライフといった相反する要素をバランス良く高め、全体の性能を向上させているのが特徴だ。

まず特筆できるのはアイスナビシリーズでは初めて左右非対称パターンを採用したこと。これによりOUT側の剛性を高め、旋回時の操縦安定性を確保。同時にLAND比を2%向上することで接地面積を拡大し、密着性を向上させている。さらにエッジ成分を増加、コンパウンドも改良し柔軟性を高める極小分散シリカを採用している。これらにより氷上でのコーナリング性能は5%、氷上ブレーキ性能は8%向上し、柔軟性もより持続するようになったという。

シリーズで初めて非対称パターンを採用したのが大きな特徴

一方でライフ性能に対しては「均一摩耗プロファイル」を採用し、摩耗エネルギーを分散することで偏摩耗を抑制。アイスナビ7よりも耐摩耗性は3%向上している。その上で、雪上性能やドライ性能もしっかりキープしているというから心強い。

・冬の志賀高原で実感したアイスナビ8の実力

今年2月、この「アイスナビ8」のプロトタイプを実際の雪道で試してみた。試乗は東京から関越道、上信越道を通って長野市内に入り、そこから志賀高原に上がるというルートで、装着車はプリウス。駆動方式がFFということで、やや不安ながらもスタートした。

当日は2月としては暖かい日で、東京から長野までの路面はドライという状況。まず走り出してまず感じたのは静かなことだ。プリウスはもともと静粛性が高いので、タイヤのノイズは気になりやすい。しかし、この日のドライブではそれがまったくなく、夏タイヤ、それも静粛性の高いタイヤと同等レベル。むしろ風切音の方が気になるほどだった。また走行時の安定感も満足できる。柔らかさは感じられるもののカーブで腰砕けになるようなことやズルズル滑り出すようなこともなく、普通のエコタイヤと同じような感覚だ。

長野市内からはウェット路面。雨は止んでいたが、ところどころ水たまりが残るような状況だったが、ここでも安定感を失わず、夏タイヤと変わらない印象。ウェット路面はスタッドレスが最も苦手とするところだが、ブレーキもしっかりと効き、不安はない。

スタッドレスタイヤのテストドライブにも関わらず、雪や氷のない長野市内の状況から、山に行っても雪があるのかと少々心配だったが、志賀高原に向かって進むと急激に気温が下がり、道は凍結し始めて雪も降り出し、心配は杞憂に。スタッドレスタイヤの性能を確かめやすい状況となった。

やや速度を落としつつ、急勾配とカーブが連続する山道を上がっていくが、完全に凍結した上り坂ではわずかながら滑り出す。感覚としては横方向よりも縦方向の滑り出しが早い印象だ。ただ限界まで粘ってから一気に滑り出すのではなく、徐々に滑り出していく感じなのでコントロールはしやすい。路面とタイヤの状況が分かりやすいので安心感が高いのだ。

志賀高原まで到着すると、完全な雪で降雪車もフル作業中という状態。路面は圧雪の上に新雪が積もるという状況で、かなり滑りやすい。が、わざと急ブレーキを掛ければさすがに滑るものの、それ以外のシーンでは極めて安定。その滑った際もすぐにグリップを取り戻し、挙動を乱すようなことはなかった。

雪深い志賀高原だったが、安心して走ることができた

排雪もしっかりしているので、よほどの深雪でなければ不安を感じることはないだろう。帰路の下り坂でも安心してドライブすることができた。

氷上だけ、とかドライ路面だけ、といった特定の性能だけならアイスナビ8を上回るスタッドレスタイヤはあるだろう。しかし、トータルのバランスに優れるのがアイスナビ8の特徴だ。言い換えれば突出した部分がないから地味な印象は免れないが、総合での平均点の高さこそ、実際の冬道では強みを発揮する。多くの人にお勧めできる万能プレーヤー的なスタッドレスタイヤである。(鞍智誉章)

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