トヨタ、「ランドクルーザー」をフルモデルチェンジ 価格は510万円から

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トヨタは8月2日、ランドクルーザーをフルモデルチェンジし、同日より発売した。300シリーズとなる新型は、信頼性・耐久性・悪路走破性を進化。さらに「世界中のどんな道でも疲れない走り」も実現し、大幅に基本性能を向上させている。

 

「ランドクルーザー」は、1951年に「TOYOTA BJ型」として誕生したトヨタを代表するクロカン4WD。以来70年に渡り累計約1060万台が生産され、世界170ヵ国・地域で愛用されている。

先代モデルは2007年に発売された「200シリーズ」で、今回が14年ぶりの一新。新型「300シリーズ」の開発に当たっては「信頼性・耐久性・悪路走破性は進化させつつ継承」、「世界中のどんな道でも運転しやすく、疲れにくい走りを実現」を踏まえ、フレーム構造を踏襲しつつTNGAの考えに基づくGA-Fプラットフォームを新たに採用したのが大きな特徴。長年に渡る技術の積み重ねと、最新技術の融合により「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」というランドクルーザーの本質に磨きをかけている。

■エクステリア

標準タイプのボディサイズは全長4950×全幅1980×全高1925mmで、先代と比べ全長、全幅は同等。全高は45mm高くなっているが、これはシャークフィンアンテナを採用したためで、実質的には同寸法といえる。ただし上級の「ZX」「GR SPORT」はやや全長が長くなり、「ZX」は+35mm、「GR SPORT」は+15mm拡大。さらに「GR SPORT」では全幅も10mm拡大されている。ホイールベースは全車2850mmで先代と同値。また対地障害角(アプローチアングル、デパーチャーアングル、ランプブレークアングル)も先代から変更なく、オフロード走破性にもつながる扱いやすさを継承している。

外観デザインは、歴代ランドクルーザー(ステーションワゴン型)のヘリテージを追求し、キャビンを後ろ寄りに配置するキャビンバックワードプロポーションを採用。さらにオフロード走行時の破損を避けるため、ラジエーターグリルとヘッドランプを高い位置に配置するなど、機能性を重視したデザインとしている。また、エンジンフード中央は大きな凹みを設け、衝突安全性能と前方視界の両立が図られている。

■インテリア

オフロードなど過酷な環境下でも扱いやすく、かつ快適な室内空間としているのが特徴。車両姿勢を把握しやすい水平基調のインパネ形状とした他、過酷な路面状況下でも直感的に視認しやすい6針式のメーターを採用している。またドライブモードセレクト、マルチテレインセレクトなどのモードセレクトを一つのダイヤルに統合。モニターを見ながら操作できる位置に配置。さらに各種スイッチ類も、走行・駆動系、オーディオ系、空調系など機能ごとに集約して配置するなど、機能性が追求されている。

室内空間では、3列目シートを従来の跳ね上げ式から格納式に変更し、実質的な荷室容量を拡大している。また上位グレードでは快適温熱シートとシートベンチレーションを前席に加えて2列目シートにも装備。センターコンソールボックスは両開き機構を採用し後席からの利用も可能にしたほか、保冷できるクールボックスもオプションで設定している。

■プラットフォーム

伝統のラダーフレーム構造を継承しているが、中身は刷新。最新の溶接技術等を用いることで、軽量化を図りながら従来比20%増の高剛性化を実現している。またボディは高張力鋼板の採用拡大や、ボンネット、ルーフ、ドアパネルのアルミ化などにより軽量化。これらにより車両全体では約200kgと大幅に軽量化されている。

サスペンションは、前ダブルウィッシュボーン式、後トレーリングリンク車軸式で形式は先代同様だが、プラットフォームの刷新に合わせ新開発。特にリヤサスはショックアブソーバーの配置を最適化することで、乗り心地と操縦安定性を向上させている。

またパワーステアリングは、信頼性に優れる油圧式を採用するが、これに電動式の操舵アクチュエーターを組み合わせることで、レーントレーシングアシストなどの操舵支援機能を追加。さらに、これにより低速時の取り回し性を高め、悪路走行時のキックバックも低減している。

この他、走行性能を高める機能として、後輪のトラクション性能を確保する「トルセンLSD」をZXに標準装備。またオフロード走行のサポート機能では「マルチテレインセレクト」にAUTOモードが加えられたほか、動作範囲をハイレンジ(H4)にも拡大。車両周囲の状況を確認する「マルチテレインモニター」では、手前で撮影された過去の映像を床下透過映像として表示するアンダーフロアビュー、さらに車両を透過し後輪周辺を拡大表示する新ビューも追加され、スタックや行き止まりからの脱出を容易にしている。

■エンジン

搭載するエンジンは、ガソリンとディーゼルの2種類。トランスミッションは、ともに10速ATを組み合わせている。

ガソリンは新開発の3.5L・V6ツインターボで、最高出力415ps、最大トルク650Nmを発揮。先代の4.6Lより排気量は小さくなったが最高出力は97ps、最大トルクは190Nmも向上している。WLTCモード燃費は8.0km/L。

100系以来、久々の復活となったディーゼルは、3.3LのV6ツインターボで最大出力309ps、最大トルク700Nmを発揮。新採用の可変ノズル付2ウェイツインターボにより、低速域から高速域まで爽快な加速を実現している。WLTCモード燃費は9.7km/Lで優れた燃費性能も実現。

■先進安全装備

最新の予防安全パッケージ「トヨタ・セーフティセンス」を採用。歩行者(昼夜)や自転車(昼)を検知し衝突回避・被害軽減に寄与するプリクラッシュセーフティに、交差点での対向直進車や右左折時に前方から来る横断歩行者の検知機能、ドライバーによる回避操舵をきっかけに操舵と車線逸脱抑制をサポートする緊急時操舵支援機能を追加。また、低速走行時の衝突被害軽減に寄与するパーキングサポートブレーキ(前後方静止物、後方接近車両、後方歩行者)など、最新の安全装備が搭載されている。

またセキュリティ面では、「指紋認証スタートスイッチ」をトヨタで初採用。スマートキーを携帯し、ブレーキを踏みながらスタートスイッチ上の指紋センサーにタッチすると登録された指紋情報と照合、指紋情報が一致しなければエンジンが始動しない機構となっている。

指紋認証スタートスイッチ

■グレード構成

グレードは「GX」「AX」「VX」「GR SPORT」「ZX」の全5グレード構成。このうち「GX」「AX」「VX」はガソリン車のみ、上級の「ZX」「GR SPORT」はガソリン・ディーゼルの両方が設定されている。

またガソリン「GX」と「ZX」「GR SPORT」のディーゼル車は乗車定員が5人、その他は7人乗り。

注目は、今回新たに設定された「GR SPORT」。これはダカールラリー参戦ドライバーからの改善要望を反映して開発されたグレードで、エクステリア、インテリアに多数の専用パーツを装備。足回りでは電子制御でスタビライザー効果を変化させるE-KDSS(世界初)や、リヤに加えてフロントにも電動デフロックを搭載し、新型ランドクルーザーの優れた走破性をさらに高めている。

GR SPORT

 

【希望小売価格】

(ガソリン車)GX=510万円/AX=550万円/VX=630万円/GR SPORT=770万円/ZX=730万円

(ディーゼル車)GR SPORT=800万円/ZX=760万円

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