MINIのバーチャルコンセプトカー「ビジョン・アーバノート」、実車をミュンヘンで公開

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MINIは6月30日、バーチャルコンセプトカーの「MINI Vision Urbanaut」(ミニ・ビジョン・アーバノート)の実車を、7月1日にドイツ・ミュンヘンの夏のDLDで公開すると発表した。

 

「MINI Vision Urbanaut」は、革新的な空間コンセプトとして、内から外へ向かって作り上げられ、エクステリアの開発以前からデザイナーは平面図、家具、寸法の参考のための木製模型などを用いて広い室内空間を構想し、プロジェクトの過程で拡張現実によるデジタルモデルが作成され、系統的に最適化が進められた。同車の物理的モデルは、バーチャルなビジョンを物理的実体に転化するためBMWグループの総力を結集しているミュンヘンのMINIデザインスタジオで完成された。ビジョンに具体的な形を与え、プロトタイプとして通用する品質を持たせるために、デザイナーと共に内装、モデル製作、メカトロニクス、プログラミング、塗装などの専門技術者が協働し、各コンポーネントは新たに設計され、最新の工作機械を用いて精密に製作が行われ、手作業で組付けられている。

 

【サステナビリティを重視して開発】

「MINI Vision Urbanaut」は、サステナビリティを重視しており、種々の側面で実現している。同車では車高を非常に高くとっているため、全長わずか4.46 mの中に多様な使い方のできる容積をとることが可能で、可能な限り小さい占有面積で最大の容積を実現したほか、電気駆動によってローカルにはゼロ・エミッション・モビリティも実現している。さらに、資源の責任ある取扱いを重視し、コンセプトの段階から一貫してコンポーネントを減らすこと、無用な資源消費を避けることを主眼としており、この考えに沿って、ダッシュボードに二重の機能を持たせてデイベッド兼用にしたほか、OLEDを使用した円形のセンターディスプレイをテーブルに載せ「Chill」モーメントではスタイリッシュなランプに変身させるなどを実現している。同様に、カバー類を交換可能とすることなどにより使用寿命を長くしたのに加え、インテリアにはクロムメッキやレザーを使用しない方針で、MINIの次世代モデル・シリーズではこれらの実現を目指しているという。

 

 

【高品質とサステナビリティを目指す素材の革新

室内にはリサイクル素材が多く用いられ、またほとんどが再生ないし再利用可能な素材となっている。インテリアには主な素材としてウール、ポリエステル、テンセルなどのリサイクルされた繊維製品が使用されているが、快適さ、高品質、柔らかさを兼ね備えている。また、デザイナーは特に単一の素材からなるソリューションを重視し、単一素材から成る製品は後日の再利用が容易であるためである。ステアリング・ホイールおよびフロアの一部には再生・再利用可能な材料であるコルクが用いられており、自然な手触りによって特別なアクセントを形成するとともに、空間に快適な自然感を持たせている。

 

 

【五感すべてに訴えかける香りとサウンドの演出】

「MINI Vision Urbanaut」では、インテリア形成の一部として香りとサウンドの演出も行われている。BMW グループのアロマデザインを担当するアナベル・コフィネ氏は、「五感すべてに訴えることを目指した全体構想から、全く独自の、忘れ得ない体験が現れるのです。香りの個人的な体験は文字どおり体に記憶されていて、ポジティブな雰囲気や体験を後から思い出すきっかけにもなり得るものです。そこで私たちは一歩を進めて、特に記憶に残る瞬間との極めて個人的なつながりを作り出そうとしています。同時に、MINIブランドの個性を香りの記憶に結び付けたいとも考えています。このブランドのメッセージは吐息のように捉えにくいけれども爽快で、思いがけず感情をゆさぶるもの、いわば世界のどこでも再会を感じさせるものになります。それは決して刺激的ではなく、ウェルカム・シナリオと感じられるものになるはずです」と説明している。

 

感覚的経験を一層調和的なものにするため、サウンド・クリエイティブ・ディレクターのレンツォ・ヴィターレ氏が、ウェルカム・シナリオの香りの様々な調合を音響に翻訳。ウェルカム・サウンドを構成したほか、MINIの3つのモーメント「Chill(くつろぐ)」、「Vibe(雰囲気)」、「Wanderlust(旅への憧れ)」のための音楽も作曲している。たとえば「Chill」モーメントでは、天井に木の葉を投影する光の演出と共に、インテリアを満たす森の葉ずれや小川の流れの穏やかなサウンドスケープによってリラックス体験が得られ、「Wanderlust」および「Vibe」モーメントのためにもそれぞれの音楽が用意されており、室内でも野外でも再生することが可能となっている。

 

【コンセプト「Analogue Love, Digital Connection」】

「Analogue Love, Digital Connection」をコンセプトに、統合的デジタル技術でアナログ的な体験を強化している。いくつかのアナログ面に追加的なデジタル面が組み込まれており、MINIトークンを置いてMINIモーメントを開始できるテーブル、OLEDディスプレイ付きランプ、室内の布の下またはフロントとリヤのLEDマトリックスなど、いずれもアナログ世界とデジタル世界を融合させて新しい没入型体験を提供する。

 

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