20年は各社から多くの新型車が登場し市場を賑わせたが、21年~22年も世代交代を予定している定番モデルが多く、大いに期待できそうだ。そこで今回は22年までに登場が予想される国産メーカー各社の新型モデルを並べてみた。(編集部)
新型車攻勢がまだまだ続くトヨタ
2020年は相次ぐ新型車攻勢で新車市場をリードしたトヨタ。21年~22年も人気モデルの刷新が多く、快進撃はまだまだ続きそうだ。中でも注目は新たに加わるカローラクロス。トヨタSUVラインアップがこれで完成することになる。
・アクア
7月フルモデルチェンジ予定。現行モデルは2011年12月発売なので、約10年ぶりの一新となる。
2代目となる新型は、プラットフォームから刷新。ヤリスと同じTNGA-Bプラットフォームを採用し、走行安定性など基本性能を大幅に高める。
搭載するパワートレーンは、1.5L直3+モーターの組み合わせで、ハイブリッド専用車であることは現行モデル同様。ハイブリッドシステムはヤリスHVと同じだが、バッテリーは新開発のバイポーラ型ニッケル水素電池を搭載。高出力化によりEV走行領域を拡大している。
現行アクアが占めていたポジションは、現在ヤリスHVに置き換わっている状態。新型アクアはやや上級シフトすることで、ヤリスHVとカローラスポーツの間を埋める存在となりそうだ。
・ランドクルーザー
8月フルモデルチェンジ予定。現行の200系ランドクルーザーは既に生産を終了しており、若干の間をおいての登場となる。200系は2007年9月の発売なので、実に14年ぶりの一新。
新型となる300系も、タフな悪路走破性と豪華な室内空間というキャラクターは変わらず進化。ボディサイズも200系とほぼ同等となる。
エンジンは現行のV8の4.6Lガソリンから、V6の3.5LガソリンターボとV6の3.3Lディーゼルターボに換装。トランスミッションは10速ATが組み合わされる。
・86
新型は21年秋以降に発売予定。12年の発売以来9年ぶりの一新となる。なお新型は、車名を「GR86」に変更、GRスープラ、GRヤリスに続くGRシリーズの第3弾となる。先代モデルと同様スバルとの共同開発。
水平対向エンジンの搭載は先代同様だが、排気量は2.4Lに拡大。また6AT車にはアイサイトが搭載される。
・ノア/ヴォクシー
21年年末にフルモデルチェンジ予定。現行モデルはノア、ヴォクシー、エスクァイアの3兄弟だが、新型ではエスクァイアは廃止される見込み。
現行モデルは2014年1月の登場なので、約8年ぶりの一新となる。キープコンセプトでの進化で、HVとガソリンの構成は継続。
ハイブリッドシステムは現行の1.8Lエンジンから2Lに変更。ガソリン車は現行の2Lエンジンを継続する可能性が高い。
・カローラクロス
9月頃発売予定。カローラシリーズに加わる新型コンパクトSUVで、20年7月からタイで発売を開始している。
プラットフォームはカローラと共用で、日本仕様は1.8Lハイブリッドのみの展開となる可能性もある。
トヨタのSUVラインナップの中では、ヤリスクロスとRAV4の中間。ファミリーユース向けの最小クラスSUVという位置付けになりそうだ。現在はこの位置にC-HRがいるが、SUVとしては変則的なモデルのため、このカローラクラスが主役となりそうだ。
・シエンタ
22年フルモデルチェンジ予定。現行モデルは15年の発売なので、7年ぶりの一新となる。
新型はプラットフォームから刷新。TNGA-Bプラットフォームを採用、直3ダイナミックフォースエンジンを搭載し、走行性能、燃費ともに向上させる。
現行モデルはホンダ・フリードと並ぶ最小クラスのミニバンだが、この位置付けは変更なく、キープコンセプトでの進化となりそうだ。
日産は新型エクストレルに注目
ここ数年、国内への新型車投入が少なかった日産だが、新型キックスから再び始動。21年も新型ノートに続き、新型エクストレイルやアリアが登場し、期待されるところ。さらに22年には新型軽EVも登場予定。EVの本格普及の鍵を握る存在となりそうだ。
・エクストレイル
21年9月頃発表の予定だが、遅れて年末頃になる可能性もある。8年ぶりの一新。
ボディサイズは現行とほぼ同程度。キープコンセプトだが、デザインはフロント周りを中心に大きく変更され、上級感を向上させる。
パワートレーンはe-POWERを搭載、ガソリン、ハイブリッドは廃止される。e-POWERは1.5LのVCターボエンジンを搭載する新型システムとなる。
日産SUVの中核モデルだが、価格の上昇が予想されることから、市場がどのように反応するか、注目されるところである。
・アリア
21年中盤に発売予定の新型EV。ボディタイプとしてはクロスオーバーSUVとなる。
駆動方式はFFと4WDを設定。4WDは後輪にもモーターを備えたタイプ。バッテリーは65kWhと90kWhの2つの仕様がFF/4WDそれぞれに設定される。航続距離は最大で610km。
航続距離とともにパフォーマンスも高められており、欧州プレミアムEVに匹敵する速さも追求。今後の日産を象徴するモデルとして注目されるモデルだ。
・フェアレディZ
22年春頃フルモデルチェンジ予定。現行モデルは2008年12月発売で、約13年ぶりの一新となる。
新型はロングノーズ、ショートキャビンの歴代デザインを取り入れた2ドアクーペ。3LのV6ツインターボを搭載。細かい詳細は未発表だが、スカイラインと同様のVR30DDTT型エンジンが搭載されるものといわれている。
・新型軽EV
三菱と共同開発となるEVの新型軽自動車で22年の発売予定。軽規格の乗用EVとしては三菱アイ・ミーヴ以来となる。軽自動車「i」をそのままEV化したアイミーヴと異なり、専用のプラットフォームを採用、搭載するシステムも最新となることから、性能面では大幅に向上、EV普及に向け大いに期待されるところだ。
ホンダはミニバンが一新
21年のホンダは新型車の予定は少なく、新型ヴェゼルの拡販に注力。しかし22年は主力ミニバンが揃って一新されるなど、注目度は高い。特に現行モデルは苦戦が続いたステップワゴンがどのように変身するか、大いに楽しみなところである。
・ステップワゴン
22年春頃フルモデルチェンジ予定。現行モデルは2015年4月の発売で、7年ぶりの一新となる。
6代目となる新型はボディをワイド化。パワートレーンは2Lエンジン+2モーターの「e:HEV」を搭載。ガソリン車は現行の1.5Lターボから2Lに変更される可能性が高い。
上級のオデッセイが廃止されることから、現行よりも上のクラスをカバーする必要があるため、上級志向に振った仕様も期待できそうだ。
・フリード
22年夏頃の一新予定。現行モデルは2016年9月の発売なので、6年ぶりの一新となる。
フィットをベースとした5ナンバーサイズの最小ミニバンという位置付けは変わらず、キープコンセプトで正常進化。ただしHVのパワートレーンは2モーター式のe:HEVとなることで基本性能の向上が期待される。
スバルは新型BRZに期待
スバルは今夏にBRZが一新。トヨタGR86との違いにも注目が集まるところ。その他、早ければ22年にはインプレッサが一新される可能性もある。
・BRZ
現行型は既に販売終了。新型は夏頃発売の予定。トヨタGR86と兄弟車となるが、秋に発売の86より一足早い登場となる。
新型はキープコンセプトでの進化で、水平対向2.4L+FRの2ドアクーペ。排気量の拡大によりパワー、トルクがアップし、先代よりも走りのパフォーマンスが高められる。
22年からのラージSUV攻勢に期待のマツダ
21年はMX-30EVの発売で幕を開けたマツダ。秋には主力コンパクトのMAZDA2の一新が予想される。本格的な新世代車攻勢は22年からスタート。直6+FRの組み合わせでプレミアムSUVラインナップしていく。
・MAZDA2
21年秋頃一新の予定。5ナンバーサイズは踏襲されるが、ホイールベースは拡大され居住性を改善。またエンジンには1.5LのSKYACTIV-Xを搭載。マイルドハイブリッドとすることで、環境性能の向上が図られるものと予想される。
・CX-5
22年フルモデルチェンジ予定。新型はボディを一回り拡大し、直6エンジンを搭載。FR駆動方式を基本とし、1クラス車格をアップさせる。
直6はガソリンとディーゼルの両方を搭載予定で、排気量は3L前後になる見込み。ガソリンはSKYACTIVE-Xを搭載予定だ。
三菱はアウトランダーに注目
三菱はアウトランダーPHEVが待望のモデルチェンジ。新世代のPHEVシステムを搭載することで、大幅な性能向上が期待される。電動化戦略も22年以降加速しそうだ。
・アウトランダー
現行アウトランダーはガソリン車は廃止され、PHEVのみの販売となっている。新型のガソリン車は既に海外では発表されているが、国内では21年秋に導入される可能性が高い。本命のPHEVは22年秋頃の発売予定。
下位のエクリプスクロスと接近していることから、新型では少し上級移行し、ボディもワイド化。差別化を図ることでラインナップを整理する。
パワートレーンはガソリン車が日産製2.5Lに換装。PHEVは三菱製2.5L+モーターの新開発PHEVシステムが搭載される見込みとなっている。
22年はアルト、スイフトが一新?スズキ
スズキは、アルトとスイフトの世代交代が予想される。ともに安定した販売を続けていることから、新型でもコンセプトを大きく変えず、正常進化となりそうだ。
・アルト
現行モデルは2014年12月に登場。本来ならもうフルモデルチェンジしていてもおかしくないのだが、軽自動車市場はスーパーハイト系に需要が集中していることもあり、世代交代のタイミングが遅れている。現在のところ、21年年末に一新される可能性が高い。
新型は現行モデルのデザインをブラッシュアップして採用。エンジンは現在の主力であるR06D型に換装され、中速域のトルクや燃費性能の向上が図られるものと想定される。
・スイフト
22年夏頃のフルモデルチェンジ予定。プラットフォームから刷新されるが、基本的にはキープコンセプトでの進化になるものと推測される。
パワーユニットは現行から継続。1.2LのNAとマイルドハイブリッドを搭載。ただし現行のストロングハイブリッドは販売数も少なく、廃止される可能性が高い。
なお、スポーツモデルの「スイフトスポーツ」は、23年の登場が予想される。
ダイハツはDNGA採用のムーヴに期待
21年は主力ムーヴが一新予定。タントから始まったDNGAが採用され、基本性能の向上が期待されるところ。さらに22年にはムーヴキャンバスも世代交代する可能性が高い。
・ムーヴ
21年6月頃にフルモデルチェンジの見込み。約6年ぶりの一新となる。
7代目となる新型はDNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)を採用し、プラットフォームから刷新。全体としてはキープコンセプトでの進化となるが、カスタム系はより個性を強めたデザインを採用し、存在感を高める。以前に比べて勢いのないハイトワゴン市場だが、ムーヴの一新で人気を取り戻せるか、注目されるところだ。