【遠藤徹の業界ココに注目】年末セールはコロナ禍で盛り上がらず

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11~12月の年末セールが自動車販売店でもスタートしつつあるが、今年はコロナ禍の影響で盛り上げが難しい状況にある。新車販売で受注は旺盛になっても半導体を中心とした部品の供給が遅れ、納期が大幅に先送りになり、ほとんどの量販モデルは納期が来年にずれ込んでいるためだ。

キャンペーン企画の対象は新車の場合、受注してナンバーを取得した車種となっている。しかしながら現在はそれが来年にずれ込んでいるので、従来のままだと、キャンペーン企画の意味がなくなっている。このため今回は対象車種をナンバー取得時点ではなく、契約が成立した時点に切り替える販社が多くなっている。そうなると販売店にとっては売上金が入金されず、メーカーへの支払いができず、収益にならないのに、ユーザーへの各種のサービスを先行させなければならない状況になっている。

したがって、この間は販売店が先に資金を拠出してカバーすることになるので、収支はシビアになっている。受注分はいずれ納車されるので、その時点で売上金を回収できるわけだが、100%というわけにはいかない状況にある。

ユーザーにとっては納車を待ちきれないと車検を取ることになるか、他の車種に切り替え、キャンセルするケースも生じている。例年の年末セールではキャンペーン企画で買い得車の設定、用品サービスなどを実施しているが、納車が遅れるとどうなるか。仮に3カ月後になると、次の2~3月の年度末セールに重なってしまうことになる。

こうしたことから今年はセールそのものを回避する販売店もある。販売店の経営が悪化すれば、メーカーは資金援助や仕入れ金の支払いを先送りするなどの措置が必要になりそうだ。

(遠藤 徹)

 

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