エコカーの元祖 国産メーカーのハイブリッド車比率を調べてみた

all コラム・特集

政府や地方自治体が2030年代にガソリン車の販売中止を検討とも報じられてから、その存在が改めて注目を集めている電動車。現在のクルマにおける電動車は、ガソリン(あるいはディーゼル)エンジンで発電、あるいは、減速時のエネルギーを電気に変えて電池に蓄え、モーターの力で駆動するハイブリッド(HV)車や、プラグインハイブリッド(PHVあるいはPHEV)車、電気自動車(EV)、水素と酸素の化学反応で発電し、モーターで走る燃料電池自動車(FCV)と四つのタイプがある。

この中でも、日本では1997年にデビューしたトヨタ・プリウスを筆頭に、HV車の普及が最も進んでいる。そこで今回は、日本自動車販売協会連合会(自販連)が発表する最新の新車登録台数年報を基に、2019年に発売されたHVの設定があるモデルにおける、HV車の販売比率を調べてみた。なお、モデル名などは2019年末時点のもので、軽自動車と輸入車扱いになっているモデル、HV専売車は対象外とした。

HVの中でも大きく分けて、モーターだけのEV走行も可能なハイブリッド(フルハイブリッド)、EV走行不可だが、エンジンの再始動や加速時にモーターがエンジンをアシストするマイルドハイブリッド(MHV)の2タイプがある。今回紹介する中では、トヨタ、ホンダ、日産はHV、マツダ、スズキ、SUBARUはMHVをメインに採用している。

また、今回登場しない三菱自動車はアウトランダー、先日登場したエクリプス クロスにPHEVを設定し、急速充電と200Vの普通充電にも対応するほか、一般家庭への電力供給も可能と

なっている。一方、ダイハツは過去にはハイゼットカーゴハイブリッドを発売したこともあるが、現在はHVに分類されるモデルを発売していない。

■トヨタ ハイブリッド比率:44.2%

トヨタブランド13車種、レクサスブランド10車種と、コンパクト、ミニバン、SUV、セダンまで、HVのパイオニアらしく圧倒的なモデル数をラインナップするのがトヨタ。さらに、プリウス、アクア、カムリといったHV専売車、プリウスPHV 、RAV4 PHVなど、一部のモデルを除けば多くのモデルで“エコカー”を選択できる。車種別のHV販売台数及び比率は以下の通り。

中でもクラウンのHV比率は93.5%と突出しており、2018年6月から発売されている現行型ではHVが圧倒的にな人気を集めていることがわかる。このほか、C-HR、カローラ、エスクァイアの販売台数の半数以上がHVとなっている。

一方で、アルファード/ヴェルファイア、ハリアー、ヴィッツではガソリンモデルの比率が高いこともわかった。

 

・クラウン  販売台数:3万5995台、HV販売台数:3万3865台、HV比率:93.5%

・アルファード販売台数:6万8705台、HV販売台数:1万4587台、HV比率:21.1%

・ヴェルファイア販売台数:3万6649台、HV販売台数:6824台、HV比率:18.6%

・ハリアー販売台数:3万6249台、HV販売台数:6804台、HV比率:18.7%

・エスティマ販売台数:8217台、HV販売台数:2528台、HV比率:30.7%

・RAV4販売台数:5万3965台、HV販売台数:2万329台、HV比率:38.3%

・カローラ販売台数:10万4406台、HV販売台数:6万1713台、HV比率:59.1%

・ノア販売台数:5万2684台、HV販売台数:1万7716台、HV比率:33.6%

・ヴォクシー販売台数:8万8012台、HV販売台数:2万3039台、HV比率:26.1%

・C-HR販売台数:5万5677台、HV販売台数:4万3493台、HV比率:78.1%

・エスクァイア販売台数:4万2489台、HV販売台数:2万1623台、HV比率:50.8%

・シエンタ販売台数:11万880台、HV販売台数:5万22台、HV比率:45.1%

・ヴィッツ販売台数:8万1554台、HV販売台数:1万7699台、HV比率:21.7%

レクサスブランドのハイブリッド比率は59.0%。UX、ISでHV比率が高く、LCはガソリン比率が高い。

 

・LS販売台数:3145台、HV販売台数:1697台、HV比率:53.9%

・LC販売台数:656台、HV販売台数:183台、HV比率:27.8%

・GS販売台数:1049台、HV販売台数:660台、HV比率:62.9%

・RX販売台数:9561台、HV販売台数:6009台、HV比率:62.8%

・IS販売台数:2050台、HV販売台数:1470台、HV比率:71.7%

・NX販売台数:1万3233台、HV販売台数:7844台、HV比率:59.2%

・UX販売台数:1万6395台、HV販売台数:1万4409台、HV比率:87.8%

・RC販売台数:1684台、HV販売台数:782台、HV比率:46.4%

 

RX

■日産 ハイブリッド比率:61.8%

車種別のHV販売台数及び比率は以下の通りで、ノートのHV率はe-POWER。このほか、HV専売車のシーマ、セレナをラインナップし、国産メーカーの中では最もHV率が高いが、2019年の段階ではガソリンエンジンのみの設定車も多かった。2020年に登場したキックス、ノートはいずれもe-POWERのみの設定で、2021年はアリア、軽自動車のEVも登場すると言われており、ラインナップの電動化がさらに進みそうだ。

 

・フーガ販売台数:1068台、HV販売台数:299台、HV比率:27.9%

・エクストレイル販売台数:3万6505台、HV販売台数:8174台、HV比率:22.3%

・スカイライン販売台数:3797台、HV販売台数:1816台、HV比率:47.8%

・ノート販売台数:11万8472台、HV販売台数:8万2103台、HV比率:69.3%

 

■ホンダ ハイブリッド比率:52.5%

NSX、レジェンド、アコード、インサイトはHV専売。乗用車はシビック以外全てのモデルにHVが設定されており、乗用車ラインナップのHV化は国産メーカーで一番進んでいる。

フィット、ステップワゴン、フリード、ヴェゼルの中では、HVが半数以上であるのがヴェゼルのみで、ホンダの量販車ではガソリンモデルの方が人気を集めている。

車種別のHV販売台数及び比率は以下の通り。

 

・オデッセイ販売台数:1万4614台、HV販売台数:8575台、HV比率:58.6%

・ステップワゴン販売台数:5万2676台、HV販売台数:1万8799台、HV比率:35.6%

・フィット販売台数:7万4410台、HV販売台数:3万667台、HV比率:41.2%

・シャトル販売台数:3万856台、HV販売台数:2万4391台、HV比率:79.0%

・フリード販売台数:8万5596台、HV販売台数:4万1102台、HV比率:48.0%

・ヴェゼル販売台数:5万5886台、HV販売台数:3万5352台、HV比率:63.2%

・CR-V販売台数:1万3041台、HV販売台数:7993台、HV比率:61.2%

・ジェイド販売台数:3070台、HV販売台数:1213台、HV比率:39.4%

・グレイス販売台数:6337台、HV販売台数:5126台、HV比率:80.8%

■マツダ ハイブリッド比率:1.1%

車種別のHV販売台数及び比率は以下の通り。メーカーとして、ガソリン/ディーゼルエンジン搭載モデルの開発・拡販に注力していたこともあり、HV比率は国産メーカーの中で圧倒的に低い数値となっている。

MAZDA3の前身であるアクセラの最終モデルには、トヨタから供給を受けたハイブリッドシステム「THS2」に、マツダ製の2.0Lエンジンを組みわせたハイブリッドを設定していた。

MAZDA3とCX-30には、スカイアクティブXエンジン搭載グレードに独自開発したマイルドハイブリッドシステム「M Hybrid」を採用し、以下のHV台数などはこれを指す。また、2020年に発売されたMX-30にもM Hybridを搭載したモデルを設定したが、HV比率が高まるにはまだ時間がかかりそうだ。

・アクセラ販売台数:6085台、HV販売台数:77台、HV比率:1.2%

・MAZDA3販売台数:2万4667台、HV販売台数:1147台、HV比率:4.6%

・CX-30販売台数:9068台、HV販売台数:488台、HV比率:5.3%

■スズキ ハイブリッド比率:58.8%

車種別のHV販売台数及び比率は以下の通り。2020年の秋頃まで発売されていた先代ソリオには、ストロングハイブリッドとマイルドハイブリッド(MHV)が設定されていたが、新型はMHVのみ。ちなみに、先代ではほぼMHVが売れていたという。

スズキのHVは、ISG(モーター機能付き発電機)/リチウムイオン電池/制御システムを搭載し、ISGが減速時を中心とした発電、アイドリングストップ後の再始動、エンジン駆動の支援を行うMHVが主流。乗用車ではイグニス、クロスビーはMHV専売モデルだ。

・ソリオ販売台数:4万4488台、HV販売台数:3万6125台、HV比率:81.2%

・スイフト販売台数:3万3218台、HV販売台数:4297台、HV比率:12.9%

スイフト
■SUBARU ハイブリッド比率:25.4%

車種別のHV販売台数及び比率は以下の通り。SUBARUのハイブリッドシステムは、CVTに1つのモーターを組み合わせる「e-BOXER」を採用。2018年6月にフルモデルチェンジされたフォレスターに初採用されてから、XV、インプレッサと徐々に搭載車種を拡大している。

・XV販売台数:4万3780(インプレッサとの合計数)台、HV販売台数:9540台、HV比率:21.7%

・フォレスター販売台数:3万2384台、HV販売台数:1万7185台、HV比率:53.0%

Tagged