2020年の輸入車販売台数は前年比14.5%の減少

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2020年は新型コロナウイルスにより新車市場も混迷したが、輸入車も例外でなく大きな影響を受けた。1月8日に日本自動車輸入組合(JAIA)が発表した輸入車新規登録台数によると、20年の外国メーカー車の輸入車新規登録台数は25万6096台で、前年比14.5%の減少となった。

メーカーによって多少違いはあるが、特に上半期は販売のみならず、生産や輸入が停滞したブランドが多く、これが大きなマイナス要因となっている。また年初は前年の消費税増税後の落ち込みも尾を引いたことも一因となった。下半期は販売が回復したメーカーが多かったが、上半期の落ち込み分を埋めるまでには至らなかったといえるだろう。

・メルセデス・ベンツが6年連続トップ

乗用車の新規登録台数をブランド別に見てみると、トップはメルセデス・ベンツ。これで6年連続での首位となった。台数は5万6999台で前年比14.3%減となったが、市場の中で堅調に推移したといえるだろう。19年に発売した新型Aクラス、Bクラスが堅調に推移したほか、20年6月に発売した小型SUVの「GLA」「GLB」が多くの受注を集めるなど、小型モデルの新型車投入が多かったことも功を奏している。

2位はフォルクスワーゲン。3万6574台で前年に比べ21.8%のマイナス。ただし20年1月にポロベースのSUV「Tクロス」、7月にゴルフベースのSUV「Tロック」を発売し、今後に期待が持てる。VWのSUVはこれまで日本では大型の「ティグアン」しかなく、SUV人気の中で出遅れていたが、これから本格攻勢の開始というところだ。21年は新型ゴルフの発売も予定されていることも期待。

3位はBMW。3万5712台で前年比23.7%減。19年は主力3シリーズの他、1シリーズ、X5の一新など新型車の投入が多かったが、20年は新型車が少なかったことも台数減の大きな要因となった。21年も新型車の導入が少ないことから、やや厳しい状況が続きそうである。

4位はアウディ。2万2304台で7.9%減。19年は欧州WLTPへの対応が間に合わない車種の入荷遅れや販売停止などもあり苦戦したが、20年は復調。19年秋に一新したコンパクトハッチバック「A1」がフル販売となったほか、8月にはコンパクトSUVの「Q3」も一新。日本市場向きの新型車が相次いで登場したことも台数を伸ばす要因となった。

5位はMINI。2万196台で15.2%減。根強い人気のMINIだが、さすがに20年は苦戦した。クロスオーバーやクラブマン、コンバーチブルなどMINI各タイプが合算されることもあり、モデル別のランキングでは依然としてトップだが、各タイプの基本となる現行の標準モデルが発売されたのは2014年であり、やや古さが目立ってきているのが正直なところだ。

6位はボルボで1万5547台。16.3%減となったが、予想よりも落ち込み幅は少なかった。というのも20年のボルボは、これまで人気を牽引してきたディーゼルモデルや、コンパクトのV40シリーズが販売終了となったからだ。ボルボはディーゼルに替えて、48VハイブリッドやPHEVを新たな主力に据えたが、スムーズな世代交代となったといえそうだ。

その他のブランドでは、フランス勢の好調が目立った。プジョー1.2%増、シトロエン22.2%増、DSも0.4%増と前年越えを達成。ルノーは12.3%減となったが、市場全体の中では健闘しているといえるだろう。依然としてドイツ勢が主役の輸入車市場だが、少しずつ分散化の方向が見えてきているようである。

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