SUVらしいスタイルを手に入れ、居住性も大きく進化 メルセデス・ベンツ GLA200d 試乗記

all 試乗レポート

メルセデス・ベンツのエントリーSUVに位置付けられる「GLA」がフルモデルチェンジを実施し、2代目となった新型が国内にも導入された。先代はベースとなるAクラスからやや車高を上げたSUV風のスタイルであったが、ボディサイズを見直し、SUVらしいスタイルを手に入れるとともに、弱点であった後席の居住性も高めている。

新型GLAのボディサイズは、全長4440mm(先代比+10mm)×全幅1850mm(+45mm)×全高1605mm(+100mm)となり、全長はスバル・XVやレクサス・UXなどとほぼ同じ。車高はモデルチェンジで一気に拡大され、ハッチバックの名残が感じられた先代とは大きく異なる、正統派SUVのスタイルを手に入れている。

エクステリアは、前後のオーバーハングを短くするとともに、クーペのような曲線を用いてスタイリッシュな雰囲気を演出。ラジエーターグリル内には、メルセデス・ベンツのSUVに共通する特徴的なデザインのルーバーが装備され、GLAがメルセデスのSUVファミリーの一員であることを表現している。

インテリアは、兄弟車のGLBやAクラスなどと同じく、メルセデスの最新デザインコンセプトに則っている。二つのディスプレイが並列した横長のディスプレイをはじめ、ジェットタービンを模したエアコン吹き出し口や、64色から選択できるアンビエントライトなどが先進的なイメージを与えている。

GLBと同様に、本革の運転席と助手席シートは張りのあるタイプで、運転姿勢が崩れることもなく、長距離を運転しても疲れを感じにくかったのが印象的だ。

ボディサイズを改めたことで大きく向上したのは、特に後席の居住性。車高が高くなったことで室内の頭上空間は広がり、先代のような圧迫感は解消されている。さらに、ホイールベースが延長されたことで、後席の足元空間は先代より116mm広くなり、シートは140mmの前後スライドも可能。大人が座っても十分なスペースが確保されており、ファミリーカーとしての素養を備えていることも進化点と言える。

■ディーゼルエンジンの完成度は随一

国内に導入されているグレードは、AMGを除くと現時点で200d 4MATICのワングレードのみで、パワートレーンは直列4気筒ディーゼルターボ(最高出力150PS/最大トルク320Nm)と8速ATの組み合わせ。取り立てて高いスペックでは無くディーゼルならではのトルクの盛り上がり感も希薄だが、街乗りから高速での再加速まで不満の無い走りを見せてくれる。

特筆すべき点は、ディーゼルエンジンの静粛性の高さだ。ステアリングに伝わる振動は微細で、よほどアクセルを踏み込まなければ特有のエンジン音も室内に伝わらず、同乗者にはディーゼルだと言わないとわからないレベルに仕上がっている。ライバルであるアウディ・Q3にもディーゼルが設定されているが、静粛性の高さは圧倒的にGLAの方が優れている。

乗り心地は時速40kmほどまでの速度域だと路面からの振動やざらつきを感じるが、ベースとなったAクラスのような突き上げは無かった。GLAではリヤサスがマルチリンク式になっていることも、乗り味の質感向上に貢献している。

運転支援装備は、高速道路での自動車線変更とLKA(レーン・キーピング・アシスト)、全車速追従型ACCなど、最上級のSクラスと同等のものが装備されていることも大きなポイント。ACCの制御は、前走車に追いついた時の減速制御も不自然さが無く、レーンキープは車線の中央をしっかりとトレースし、操作感覚や運転支援の介入の仕方も含めて安心感が高い。

他ブランドだと、エントリーモデルでは省かれている先進機能もあるが、メルセデスはその時の最高レベルの機能がクラス問わずに採用されていて、このようなユーザービリティにあふれる姿勢は他メーカーもぜひ追随してほしい点だ。

SUVらしいフォルムの中に、クーペライクなスタイルが魅力のGLA。スクエアなフォルムに3列シートを備えるGLBと合わせて、今後のメルセデスを牽引していく存在となりそうだ。

 

Tagged