ジャガー、「グランツーリスモ」向けに開発したフルEVのバーチャル・レーシングカー「Vision Gran Turismo SV」を発表

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英ジャガーは12月16日(現地時間)、PlayStation4 用ソフトウェア「グランツーリスモ」向けに開発した最新のフル電気自動車(EV)のバーチャル・レーシングカー「Vision Gran Turismo SV」を発表した。

 

同モデルは実際にフルスケールでのデザインスタディを経てつくられたもので、最高速度255mphを発揮し、完璧に磨き上げられたエアロダイナミック・デザインとレースで培ってきたパワートレイン・テクノロジーが組み込まれている。

 

ジャガーでは、2019年10月に「グランツーリスモ」シリーズ用のバーチャル・レーシングカーとして、初のフルEVスポーツカー「Vision Gran Turismo Coupé」を開発、発表しており、ジャガーの伝統を受け継ぐ究極のデザイン、ドライバーを重視したインテリア、そして卓越した乗り心地とハンドリングでゲーム愛好家たちからも高い評価を得ている。

 

ジャガーのデザイン・チーム、SVメンバー、ジャガー・レーシングから成る開発チームは、「Vision Gran Turismo SV」の開発において、パフォーマンスを向上させるためにすべてを再評価し、ジャガーの耐久電動レーシングカーの可能性について検証した。このプロセスの基盤となったのは、オンラインビデオやフォーラムで交わされるゲームプレイヤーからのフィードバックを詳細に分析することで、また「仮想世界テスト」と何時間にもおよぶ「実走テスト」を組み合わせることにより、同モデルをいかに最適化するかを正確に判断し、完璧なゲーム用の電動耐久レーシングカーを製作した。

 

究極のバーチャル耐久レーシングカーとしてデザインされた「Vision Gran Turismo SV」は、そのスタイリングやサーフェスだけでなく、塗装に至るまで、ル・マン 24 時間レースで輝かしい戦績を残した「C-TYPE」(1951年)や「D-TYPE」(1954年)へのオマージュが取り入れられている。

 

ジャガーのデザイン・ディレクターであるジュリアン・トムソン氏は、「レーストラック、公道で走行させるために開発した『D-TYPE』、『XKSS』、『I-PACE』、『I-TYPE』は、いずれも、常に同じ DNA を共有しています。『Vision GT Coupé』を担当したデザイン・チームは、『グランツーリスモ』のために究極のゲーム用電動耐久レーシングカーをつくりたいという依頼を受け、SV メンバーとジャガー・レーシングのエンジニアたちは一丸となって、本当に特別なものを作り出すことに成功しました。『Vision Gran Turismo SV』は、非常にドラマティックで魅力的なクルマで、現実世界の自動車デザインの限界を完全に取り払ったときに何が可能になるのかを示しています。実物大モデルによるデザインスタディを行い、私たちは過去からインスピレーションを受けながらも未来を見据えた究極の電動レーシングカーです。」と語った。

 

 

「Vision Gran Turismo SV」では、流線型で軽量な複合材ボディ構造に、4つのモーターを搭載しており(「VISION GT Coupé」は3つ)、インテリジェントな全輪駆動システムとトルクベクタリングから得られるトラクションとダイナミクスにより、最高出力 1,400kW/1,903PS、最大トルク 3,360Nm 、0-60mph 加速 1.65 秒、最高速度 255mphという優れたパフォーマンスを発揮。また、「Vision GT Coupé」のエレガントなシルエットを受け継いでおり、「C-TYPE」や「D-TYPE」にインスパイアされたフェンダーの曲線が特徴で、フロントアクスルを駆動するモーターを追加したにもかかわらず、ホイールベースは2,721mmと変更はない。

 

さらに、エアロダイナミクスを改善することを目的として全長が 5,540mmと全体で861mm長くなっているほか、高速コーナリング、ロングストレートでの高速安定性を向上させるために必要なダウンフォースを増やすため、新開発のフロントスプリッターとデプロアブル・リアウィングを装備している。空気抵抗を最小限に抑えながらダウンフォースを最大化するという相反する課題を同時に解決するため、SVチームはジャガーのデザイナーたちと協力し、ダイナミクスや安定性、パフォーマンス、効率を改善させる連携機能を開発した。

 

ジャガーSVのエアロダイナミクス担当シニア・エンジニアであるマイケル・オリーガン氏は、「すべての空力特性は、最先端の計算流体力学解析を用いて入念に最適化されています。これはジャガーのレーシングマシン『I-TYPE』などの、現実世界でのプロジェクトとまったく同じ方法で行われました。この短期間で、『Vision Gran Turismo SV』を現行の耐久レーシングカーと同水準のパフォーマンスを持つ、信頼性の高い電動レーシングカーに仕上げられたことをとても誇りに思います。」と述べている。

 

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