豊田自動織機、FCエアコンプレッサーと水素循環ポンプを新開発、トヨタの新型「MIRAI」に搭載

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豊田自動織機は12月10日、燃料電池向けのエアコンプレッサーおよび水素循環ポンプを新たに開発し、12月9日にトヨタが発表した燃料電池自動車(以下、FCV)の新型「MIRAI」に搭載されたと発表した。

 

<FCVにおけるエアコンプレッサーと水素循環ポンプの役割>

アコンプレッサーと水素循環ポンプは、FCVの発電システムにおいて重要な役割を担っている。FCVは、酸素と水素をFCスタック内で反応させることにより発生した電気を用いてモーターを駆動して走行しており、酸素についてはエアコンプレッサーにより大気を吸引・圧縮してFCスタックへ供給される。また、水素は水素ステーションにて充填された高圧水素タンクから供給され、さらに発電時未反応だった水素と発生した水は、水素循環ポンプによりFCスタックから吸引される。水素は再度FCスタックへ送られ無駄なく使用されると共に、余分な水は外部に排水される。

 

<新開発のエアコンプレッサー>

FCVでは始動後、絶えず酸素と水素をFCスタック内で反応させるため、エアコンプレッサーはアイドリング時の小流量から加速時の大流量まで、効率よく大気を吸引・圧縮することが求められる。同社が今回開発したエアコンプレッサーは、量産品としては世界初となる「可動ローラー式増速機」を用いた遠心式を採用しており、圧縮部のインペラーを自動車エンジン用ターボチャージャー並に超高速回転(183,700r/min)させることが可能になり、新型「MIRAI」の高出力化に大きく貢献している。また、増速機内部の可動ローラーが空気流量の変化に対応しながら最適位置に動き、モーターからインペラーへ動力を伝達することで、小流量時・大流量時共に効率的に空気を圧縮し、従来モデルから24%の圧縮効率向上、35%の軽量化、45%の小型化を実現した。

 

 

<新開発の水素循環ポンプ>

今回開発した水素循環ポンプは、「新シール構造」を用いることで耐食性を向上し、素材を従来のステンレス製からアルミ製に変更が可能となり41%の軽量化を実現した。

 

 

豊田自動織機では、FCV向け製品に加え、主力事業である産業車両分野においても、FCフォークリフト、FCトーイングトラクターなど、FC技術の普及に取り組んでおり、今後もFC関連製品のラインアップ拡充を推進し、水素社会の実現に貢献していくと述べている。

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