(本稿は新聞「週刊Car&レジャー」2750号(2020年9月)に掲載)
国産キャブコンのスタンダードを定義した「ZIL(ジル)」シリーズを筆頭に、「CORDE(コルド)」シリーズなど豊富なキャブコン(キャブコンバージョン)ラインアップを製造・販売する「VANTECH(バンテック)」。キャンピングカーの製造だけでなく、専用アプリの開発やRVサイトのプロデュースといったインフラ整備など“総合キャンピングカーメーカー”として、業界に先駆けた取り組みでも話題を集めている。今回は、バンテックの注目モデルと、6月からサービスを開始したレンタカー事業を紹介する。
ZILシリーズ 国産キャブコンのスタンダードを定義したVANTECHの象徴
天文学の概念で観測者の真上に当たる〝頂点〟を意味する「Zenith(ゼニス)」、変わることのない主義を持ち続ける「Ism(イズム)」、永遠に頂点に君臨し続けてほしいという願いを込めて、永続の意味を持つ「Lasting(ラスティング)」の頭文字から名づけられたZIL(ジル)。1997年の登場から累計3500台以上を販売し、国産キャブコンのスタンダードを定義した代名詞的存在として、多くのキャンパーにその存在が知られている。
現在は、トップグレードの「520」から、コンパクトボディが特徴の「480スキップ」まで4車種を展開。個性豊かなモデルは、子育てファミリーや初心者、ベテランキャンパーまで幅広いニーズに応える。
シリーズの定番モデル ZIL
ジルシリーズのスタンダードモデルで、バンテックの象徴とも言える「ZIL」。基本レイアウトは初代から普遍としながらも、現行の5代目からは全長を4990mmから5160mmへと延長、さらに室内は「光」をテーマに高級感あふれる空間にブラッシュアップ。誕生から20年という月日の中で常に進化を続けている。
レイアウトはリヤエントランスを採用し、L型ソファと前向き2名着座のシートで構成された広いダイネットを中央部に配置。通常の対面状態からサイドシートの背もたれを床面にセットすると、ダイニングが掘りごたつ風になる展開も可能だ。
就寝時は、運転席上部のスライド式バンクベッドを使用すれば、ダイネットはそのままにした状態で3名就寝でき、ダイネットを展開してフロアベッドにすればプラス2名の就寝が可能だ。
【車両概要】
ベース車両:トヨタ・カムロード
乗員定員/就寝:7名/5名
登録ナンバー:8
全長×全幅×全高:5160mm×2110mm×2940mm
価格:805万2000円~
充実装備の最上級モデル ZIL520
シリーズ最上級モデルの「ZIL520」は、電力を効率良く使う革新的なデュアルソースエアコンシステムをはじめとする充実した装備や、上質な室内空間が特徴だ。
センターエントランスレイアウトによって、ゆとりのあるリビングルームを実現。大型テーブルを挟んだ対座シートは座面を広めにすることで、リラックスした姿勢でも体がしっかりと収まるように工夫されている。
リヤには伝統の常設2段ベッドを完備。上段のベッドを跳ね上げて格納することもできるので、人数にあわせてフレキシブルな使い方が可能だ。
居住性を損なうことなく、使い方にあわせた自由自在なアレンジも特徴で、7名乗車(2WD)と5名就寝を実現。ファミリーだけでなく、孫世代と旅を楽しみたいシニア層に人気のモデルだ。
【車両概要】
ベース車両:トヨタ・カムロード
乗員定員/就寝:6~7名/5名
登録ナンバー:8
全長×全幅×全高:5160mm×2110mm×2940mm
価格:814万円~
寝心地にこだわった常設リヤベッド ZIL NOBLE
若年層や子育て世代から人気を集めているモデルが“高貴なるジル”と名付けられた「ZIL NOBLE(ジルノーブル)」だ。
ノーブル最大のこだわりは、車両後部に配置された1900mm×1400mmの大型ダブルベッド。マットは左右2分割でパートナーの寝返りが伝わりにくくするなど、横向きに2人がゆったりと寝ることができるのが特徴となっている。加えて、マットからの天井高が1150mmあるので、ベッドルームでの着替えも容易だ。
また、欧州のハイグレード車に装備される3段階に硬さが調節可能な軽量独立式プラスティックスプリングを88個敷き詰め、その上に厚さ100mmで5層構造のウレタンマットを重ねることで、極上の寝心地をもたらしている。さらに、冬でも暖かく寝られるようマットの窓際にヒーターダクトを通し、夏はデュアルエアコンシステムで一晩中快適な空間を実現する。
【車両概要】
ベース車両:トヨタ・カムロード
乗員定員/就寝:7名/4名
登録ナンバー:8
全長×全幅×全高:5160mm×2110mm×2940mm
価格:794万2000円~
全長5m以下のコンパクトモデル ZIL Skip
「ZIL Skip」は、シリーズの中で唯一全長5m以下としながら、9名乗車を実現するコンパクトモデル。フロントのバンクを無くし、全高を低くすることで独特のルーフラインを形成するとともに、横風の影響を低減し、高速道路などでの直進安定性にも貢献。取り回しの良さと運転のしやすさは、バンテックのキャブコンの中でも随一と言える。
レイアウトはセンターエントランスを採用し、後部に広々としたU字型リビングを備える。ベッド展開も容易で、テーブルをスライドダウンさせ、その上にシートを重ねれば、まるでホテルのキングサイズベッドのような広い就寝スペースを創出する。
このほか、室内にはマルチルーム、クローゼット、キッチンが設けられている。さらに、デュアルソースエアコンシステムをはじめ、冷蔵庫、電子レンジといった家電類も標準装備。長旅にも応える充実した装備も大きな魅力となっている。
【車両概要】
ベース車両:トヨタ・カムロード
乗員定員/就寝:9名/3名
登録ナンバー:8
全長×全幅×全高:4850mm×1970mm×2750mm
価格:666万6000円~
CORDEシリーズ 買い得感の高い充実装備を持つキャブコンのエントリーモデル
ジルより一回り小さいボディサイズで、取り回しの良さも特徴的な「CORDE(コルド)」シリーズ。豪華な標準装備のジルシリーズと比べ、豊富なオプションから自分好みのキャンピングカーにカスタマイズできるのも魅力だ。そのコルドシリーズには、個性の異なる3タイプがラインアップされている。
フルモデルチェンジで全方位に進化 CORDE BUNKS
今年2月に開催された「ジャパンキャンピングカーショー2020」で初公開された「CORDE BUNKS(コルドバンクス)」は、“遊びに本気の大人達へ、”をコンセプトに、設定できるオプションを増やすとともに、様々な用途に使える荷室を備えることで、キャンピングカーを遊びのツールとして使う方法を提案している。
センターエントランスや、リヤの常設2段ベッドといったレイアウトは先代から継承しつつ、ベッドマットは脱着式とし、荷室高を約100mm高くすることで、トランクスペースとしての使い勝手を大きく向上。さらに、荷室の床面はFRPパンを設置して防水仕様とし、化粧板も傷の付きにくいポリウレタン製とすることで、よりタフな使い方にも対応できるようになった。
冷蔵庫や電子レンジ、ソーラーパネルなどはオプションとすることで、644万6000円からという価格設定を実現したことも大きなポイント。遊びのツールとしてだけでなく、幅広い使い方に対応する1台となりそうだ。
【車両概要】
ベース車両:トヨタ:カムロード
乗員定員/就寝人数:7名/5名
登録ナンバー:8
全長×全幅×全高:4995mm×1980mm×2960mm
価格:644万6000円~
選べる2色の内装カラーが人気 CORDE Leaves
「CORDE Leaves(コルドリーブス)」は、コルドシリーズで初めて実現したジルのような広いリビングルームに、ダイネットは4名対座の2・3列目シートとサイドソファの組み合わせで、大家族でテーブルを囲むことができるスペース設計を実現した。
ベッドは、1975mm×700mmのツインロフトベッドで折り畳み式になっており、すぐに展開することが可能。リビングをベッド展開すれば1870mm×1950mmの広いフロアベッドになり、運転席上部のバンクベッドは、一般的なスライド式ではなく左右に振り分けたツインロフトタイプを採用。中央にウォークスルースペースを設け、左右それぞれ大人1人がゆったりできる就寝空間を設けられているのも注目ポイントだ。
内装色は、ナチュラルテイスト鮮やかな葉を思わせるグリーン、ライトブラウンを基調に上質さと高級感を演出する2タイプが設定されている。
【車両概要】
ベース車両:トヨタ:カムロード
乗員定員/就寝人数:7名/5名
登録ナンバー:8
全長×全幅×全高:4995mm×1980mm×2960mm
価格:633万6000円~
ペットとのくるま旅に最適 CORDE RUNDY
「CORDE RUNDY(コルドランディ)」は、明るく開放的なリビングスペースに、ペットのベンチシートや靴を脱ぎ履きする椅子等、さまざま用途に使えそうな助手席後方のカーペット敷の広いピットスペースを持つのが特徴的。シート生地には厚手の合成皮革、床には重歩行用のクッションフロアーを採用し、いずれも高い耐汚性、耐摩耗性を持ち、細部にまでペットとのアウトドアレジャーやくるま旅を想定した造りとなっている。
リビングルームを展開すると、大人2人が余裕を持って就寝できる1860mm×1390mmの大型ベッドスペースが出現。さらに、発電機を使うことなく家庭用エアコン等を稼動できる電装システム「デュアルソースエアコンシステム」も標準装備され、安心してペットを留守番させることも可能だ。
【車両概要】
ベース車両:トヨタ:カムロード
乗員定員/就寝人数:6名/4名
登録ナンバー:8
全長×全幅×全高:4995mm×1980mm×2960mm
価格:666万6000円~
VANTECHレンタカー 成田空港から徒歩10分の好アクセス
バンテックが運営するレンタカー専門店が、千葉県成田市にオープンした。店舗は成田国際空港から徒歩10分の距離に立地し、飛行機だけでなく電車の利用者の無料送迎(要予約)にも対応。貸出車両は、バンテックのラインナップでも人気のジル、コルドリーブス、コルドバンクスの3車種を用意する。
店舗スタッフは芦澤等店長を筆頭に、インバウンド需要に備えて英語も堪能なスタッフ2名が常駐。料金は3時間・6時間の短時間から、12時間・24時間と細かく設定され、24時間を超えると以後1時間ごとに料金が発生する形となっているので、旅のプランも組みやすくなっていることもポイント。初めてキャンピングカーを利用する人だけでなく、バンテックのキャンピングカーの購入を検討している人にもおすすめだ。
【店舗概要】
▼住所:千葉県成田市取香188-1▼電話:0476-37-7641▼営業時間=7時~19時▼不定休▼空港・駅からの無料送迎有(要予約)、自家用車での来場も可能