北米では2017年から販売され、2018年の北米カーオブザイヤーまで受賞した10代目新型ホンダ・アコードが、日本では2020年2月から販売開始されました。
海外では売れまくっているアコードですが、日本では販売は奮わない現状となっています。試乗してわかったその理由を考察します。
■日本で売れない理由①サイズが大きくなりすぎた
まず第一に、アコードというブランドネームからすると、巨大になりすぎたボディが日本の住宅事情にマッチしていないというのが挙げられます。
全長4,900mm×全幅1,860mm×全高1,450mm、ホイールベース2,830mmというボディサイズは、かつての5ナンバーサイズのアコードの面影はなく、クラウンよりも大きくなってしまいました。
私も以前、6代目のアコードSiRに乗っていましたが、その頃から比べると全長で約27cm、全幅で16cmも大きくなっているんですよね。
なので昨今のアコードを見ていると、インスパイアとかのブランドネームのほうが日本ではマッチするんじゃないかと思えるほど、車格も大きさも上方へシフトしています。
北米ではトヨタ・カムリとガチンコ勝負のアコードですが、カムリもほぼアコードと同じサイズまで大きくなっています。
ただ、ひとつ異なるのが、カムリは全幅を1,840mmに抑えているのに対し、アコードは20mm広い1,860mmとなっています。マンションなどの一般的な駐車パレットの最大幅である1,850mmを超えてしまっているので、それ故に買えないユーザーも居ると思われます。
本来なら先代までのアコードユーザーの買い替え需要もあるはずですが、マンション住まいでは諦めざるを得ない場合も多いはず。そもそも高齢化が進むセダンオーナーが、更に大きくなったアコードを乗り回すのには精神的な障壁も多いと思われます。クラウンは日本専売なので全幅も1,800mmに抑えるなどの工夫が見られます。
日本市場を捨てて大型化したアコードですが、それ故に伸びやかでシャープなエクステリアを手にしました。
その美しさは日本車離れしており、アウディA7あたりを見ているかのよう。それもまた北米では支持されている要素なんでしょうね。
■日本で売れない理由②価格に対する内装の質感
続いては内装ですが、ホンダは高級路線のクルマのインテリアデザインが苦手なように思えるほど、アコードやレジェンド、オデッセイなどはライバルに対して見劣りしてしまいます。逆に、N-BOXやフィット、フリードなどのコンパクトに関してはライバル以上の良さを感じるのですが。
水平基調でシンメトリーなデザインは実にオーソドックスで、木目調パネルなども古臭い印象です。デビューが2017年と3年の遅れがあるから仕方ない部分もありますが、上級セダンとしては8インチのナビ画面などは小さく感じますし、無塗装素地のインパネ周りも素っ気ない印象です。
これが、300万円そこそこの価格帯ならばまだ納得もできますが、日本仕様ではワングレードEXのみで価格も465万円とかなり強気なので、消費者としても見る目は厳しくなってしまいます。
内装の質感に関しては動画で詳しく解説していますので、見ていただけるとよりわかりやすいと思います。