グループPSAジャパンは7月2日、8年ぶりにフルモデルチェンジしたプジョーブランドのコンパクトカー「208」を発売した。新型車はガソリン車(208)と、電気自動車(e-208)をラインアップ。“パワー・オブ・チョイス”〟という考えのもと、デザイン、装備、室内空間もほぼ同等に作り上げ、顧客のライフスタイルや好みでパワーソースを選べるようにした。
■航続距離は340㎞
電気自動車(EV)のプジョー・e-208は、最高出力136PS、最大トルク260Nmを発揮するモーターと、50kwhの大容量を誇るリチウムイオン電池を搭載。この最大トルクは、自然吸気の2.6リッターガソリンエンジンに相当するもので、そのトルクが発進と同時に発生する鋭い応答性と加速を体験できる。フル充電での航続距離は340㎞(WLTPモード走行時)とした。
リチウムイオン電池は、エアコンと連動した液冷ヒートポンプにより充放電時の温度が管理され、効率的な急速充電と航続距離の延長、電池寿命の延長を図っている。電池は1個あたり約13.1㎏のモジュールを18個組み合わせ、総体積約220リッターのユニットを前席下、後席下、センターコンソール等の各所に重量配分を考慮し配置。これにより、ガソリン車(ICE)とEVはほぼ同等の室内空間とラゲージスペースを確保した。なお、電池は8年16万㎞、70%の容量が保証されている他、ICEと同様のメンテナンス保証が付与されている。
EVとして三つの走行モード──スポーツ(パフォーマンス優先)/ノーマル(日常の快適性優先)/エコ(航続距離の最大化)──を持つ。さらに、回生ブレーキの強度も二つのモード(D:ICE同様のエンジンブレーキ/B:強い回生。アクセルペダルだけで減速を制御)が用意され、シフトレバーの操作で切り替えられる。
■EVとICEの保有全般の経費を同程度に
充電方法は、三つの方法を用意した。①コンセント型普通充電=標準装備の3kW 15A 200Vケーブルで充電(満充電まで約18時間)。②ウォールボックス型普通充電=6kW 200V(同約9時間)。③チャデモ式急速充電(約50分で80%まで充電)。いずれの方法も、50㎞走行距離分のつぎ足し充電を行うことで、日々の走行で充分な実用性を備えている。
さらに、スマートフォンアプリを使うことでリモート充電(状況の確認、充電予約)と、駐車中に遠隔でエアコンを操作できるプリコンディショニングが行える。
後述のとおり、ICEとEVは車両本体価格で約100万円の違いがあるが、プジョーでは車両本体価格に購入補助金や税金、保険、整備代、燃料代、ローン金利といった保有全般にかかる総費用でICEとEVを同程度に抑え、購入時に“対等”に検討できるようにする(トータル・コスト・オブ・オーナーシップ)。
■最新のプラットフォームとデザインシグネチャーを採用
プジョー・208のパワートレーンは、進化版のPure Tech エンジン(直列3気筒1.2リッターターボ、最高出力100PS、最大トルク250Nm)と8速ATの組み合わせ。スムーズかつレスポンスに優れる軽快な走りと低燃費(19.5㎞/リッター、JC08モード燃費)を達成した。
車両の骨格は、グループPSAのB/Cセグメント向け最新のプラットフォーム、CMP(コモン・モジュラー・プラットフォーム)をベースにし、従来以上にスムーズなな乗り味とスポーティーなハンドリングを実現した。
CMPにより、従来型に比べボンネットが低く、タイヤをより四隅に配置するスタンスを実現できた。ボディサイズは全長4095㎜(従来型比120㎜増)、全幅1745㎜(同5㎜増)、全高1445㎜(同25㎜減)となり、よりスタイリッシュなデザインとなっている。
エクステリアデザインは、ひと目でそれとわかる個性的で味わい深い造形とした。美しいプロポーションとディテールを擁し、またそれを強調するように各所にクロームのアクセントを配した。
フロントマスクは、新世代プジョーのシグネチャーである3本の鉤爪を思わせる、3本のライン状のフルLEDヘッドライトを採用。そこからバンパー方向へ長く伸びるデイタイムランニングライトは“セイバー(サーベル)”の異名を持つ。見る角度により、様々な表情を見せるもの特長といえる。
サイドビューは、より長く、彫刻的な造形となり、ボンネットはセットバックしたフロントウィンドウがスポーティーさを、大きく傾斜したCピラーがリヤフェンダーととともにワイドで安定感のあるスタイルを生み出した。また、GT Lineグレードでは、グロスブラックのホイールアーチを備え、スリムなボディと対称的にタイヤを大きく見せる。
リヤセクションは、SUVモデル同様に、トランクリッド幅一杯の“ブラックバンド”を持ち、ここにも3本の爪痕をモチーフしたテールライトが内蔵されている。グロスブラックのディフューザーも装着され、クロームのエキゾーストパイプとともにリヤビューを引き締めている。
■iCockpitはホログラムにより表示を3次元化
インテリアでは、プジョーの代名詞ともいえるiCockpitの表示が3次元化された。その中核であるデジタルヘッドアップインストルメントパネルは、ホログラムによる情報投影を加えたことで3次元表現を可能とし、その3次元表現は層に分けて表示され、手前の層には重要かつ安全に関する情報を、奥の層にはそれに準ずる情報が表示される。この表示方法により、情報に対するドライバーの反応速度が約0.5秒短縮される効果もあるという。
シートはGT Lineにホールド性の高い、ダイナミックシートを採用した。シート素材をアルカンタラ&ラップレザーとすることで上質かつモダンな空間とした。さらに、同グレードには、後席の頭上まで広がる開放的なパノラミックガラスルーフがオプション設定されている。
先進運転支援機能は、フラッグシップモデルの508に迫る内容となっており、全グレード標準装備(オプションで追加不要)となっている。
主な装備内容は、アクティブセーフティブレーキ(二輪車、歩行者、夜間検知)をはじめアクティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付き)、レーンポジショニングアシスト、アクティブブラインドスポットモニターシステム、インテリジェントハイビーム、トラフィックサインインフォメーション、バックソナー/ワイドバックアイカメラ等。快適装備として、ブランド初となるプロキシミティスマートキーが採用された。
【希望小売価格】
[208]Style:239万9000円/Allure:259万9000円/GT Line:293万円
[e-208]Allure:389万9000円/GT Line:423万円