飛沫防止シールド設置テーブルでの接客

トヨタモビリティ東京、新型コロナウイルス感染症対策への取り組み

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(文・写真:編集部)

新型コロナウイルスの感染防止を図りながら経済の再活性化を推し進めていくために、企業が取り組む対策・対応に大きな注目が集まっている。自動車販売業界では、トヨタ自動車の直営販売店「トヨタモビリティ東京」が、他社に先駆けて様々な取り組みを実施している。特に「飛沫感染防止シールド」は、資材不足の中、迅速な全店舗設置を実現。この施策を通して見えてきたのは、店舗と本部が協働して相乗効果を生み出し、業界スタンダードを創出するという企業姿勢だ。その開発経緯を含め、同社の感染防止対策への取り組みを紹介する。

 

安全・安心の店舗利用に向けて

ホームページ上で「がんばろう日本! 新型コロナウイルスに負けない!」を掲げ、感染対策や協力活動に全社で取り組むトヨタモビリティ東京。自治体や医療施設への車両提供や備品寄贈、輸血用血液不足を補う団体献血の実施等、活動は多岐にわたり行われてきた。

その中でも、特にスピード感をもって対応してきたのが、「来店者に安全・安心して店舗を利用してもらう」ための感染防止対策だ。5月22日には、対面の接客で効果を発揮する「飛沫感染防止シールド」(以降シールド)の全店舗設置を発表。感染予防対策に使える資材の不足が市場で起きている中、配備開始から2週間という早期でトヨタおよびレクサスブランド全234店舗への設置を完了させた。

飛沫感染防止シールド

シールド下部の窓は、対面に置かれたサービスドリンクに飛沫しない高さに調整されている

 

店舗独自の予防策からスタート

ショールーム内の接客テーブルやサービス受付カウンターに設置されたシールドは、高さ60cmの透明アクリル板を加工して作られており、サイズは設置箇所に合わせて幅1200mm、900mm、600mmの3種類が用意されている。

「このシールドはお客様からも好評で、『やっぱりトヨタさんだね。対策がしっかりしている』との声をいただいている」と話すのは、同社吉祥寺店の岩田健店長。同店は、本部が全社展開する以前からシールドを自作し、感染予防を図ってきた店舗でもある。

岩田店長は「しっかりした企業は、しっかりした対策を行っている」という理念のもと、「従業員を感染から守り、お客様の安心にもつなげるために、何かできることはないか。そう考え、シールドの設置を構想し始めたのが3月末。東京都の緊急事態宣言発令後、4月10日ごろには、最初の試作品を設置した」と話す。

その後試行錯誤を繰り返し、4月17日にはアクリル板が付いた大型ポスターフレームを分解して資材を調達し、適度なサイズ感のシールドを製作。下部に書類やカタログの受け渡しができる窓を設ける等、利便性を高めるブラッシュアップも行っていった。

サービスカウンターに設置された飛沫感染防止シールド

サービス受付カウンターにもシールドを設置。スタッフは手袋を着用

 

店舗独自と本部の取り組みを融合

この吉祥寺店のシールド自作が「全社展開の際に大いに役立った」と話すのは、戦略本部 店舗開発部の担当部長、上野剛室長だ。「本部でも、感染防止のための様々な対策を進めていく中で、4月初旬にはシールドの必要性を感じ、資材メーカーとの相談も進めていた」と話す。

4月末にはアクリル板の調達目処も立ち、サイズ感や形状を思案していた5月頭には、吉祥寺店の岩田店長からも「現場の意見やお客様の声等、フィードバックを聞くことができた」と話す。

「店舗独自の取り組みと、会社としての取り組み、各々進行していたことがゴールデンウィーク明けに融合できた」と上野室長。「現場では、シールドの必要性を感じてすでに動き始めていたこと、お客様からも高評価をいただけたことが、自信を持って『すぐにやりましょう』と社内で言える後押しとなり、シールド約2400枚の全拠点早期納品が実現した」と話す。

感染防止対策を掲げたボード

吉祥寺店に設置された感染予防対策一覧のボード

 

様々な側面から今できる対策を推進

シールドは、吉祥寺店に併設されたコールセンターでも衝立の延長素材として採用されている他、同店では店舗の感染予防対策を明記した自作の大型ボードを入り口に設置し、来店者にもしっかり通知。安心感を持ってもらえるよう創意工夫している。また、店舗共通の対策として、展示車・試乗車、店内の定期的な除菌や換気、ソーシャルディスタンスが確保できるテーブルやイスの配置変換や数自体を減らす取り組みも行っている。

コールセンター

コールセンターでは正面衝立上部に飛沫感染防止アクリル板を設置

新型コロナウイルス感染者移送用および飛沫循環抑制車両の提供・協力活動は取り組みが続いており、5月28日時点で、江戸川区、荒川区、中野区、文京区、町田市、新宿区、板橋区、そして東京医科大学病院に提供している。現在、様々な行政機関からの問い合わせもきており、同活動は今後も継続して取り組んでいくとしている。

江戸川区から感謝状を受け取るトヨタモビリティ東京の片山社長

江戸川区の感染対策に貢献したことに対し、斉藤区長(左)から感謝状を受け取るトヨタモビリティ東京の片山社長(右)

 


関連リンク

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