「第46回東京モーターショー2019」が2019年10月23日に開幕しました。開催期間は約2週間、10月25日から11月4日まで行われます。主に国内メーカーを中心に、最新のモデルや未来のコンセプトカーが各社から披露されています。
今回は、NTTドコモが取り組む最新のモビリティサービスによって、クルマと私たちの生活にどんな変化もたらすのかということに焦点を当て、レポートをお届けします。
▪️ドコモが取り組む未来のモビリティサービスとは
モバイル分野は近年急速に進化を続けています。
現在の通信は第4世代の「4G LTE」通信と言われており、2020年にはドコモが展開する第5世代のいわゆる「5G」通信が開始されます。5G通信とは、高速・大容量・程遅延を可能とする移動通信システムです。
ドコモでは5G通信に先駆けて、2017年に6つの宣言をもとに、事業構造を革新していく「beyond宣言」を策定しています。顧客には期待を超える驚きと感動を、パートナーとは+dで新しい価値の協創を。6つの宣言を実行し5Gで繋がる豊かな未来を実現するというものです。
その上でドコモのモビリティサービスは、安心・安全、快適な車内空間・シームレスな移動をベースにMaaS分野に注目し、あらゆるモビリティサービスの提供を開始しています。
▪️クルマを5Gによる遠隔操作で安心・安全をサポート
ドコモでは、5Gによるクルマの遠隔操作に取り組んでいます。例えば、高速道路を走行中に体調が悪くなり運転が出来なくなってしまった時など、必要に応じて車を遠隔操作でサポートすることで安全な位置に停車させることも出来ます。
会場では、実際に遠隔操作しているところを見れます。ディスプレイ上に表示されるリアルタイムの映像を見ながら、実際にテストが行われている場所にある車を操作することが出来ていました。これも5G通信でほぼ遅延のない通信が出来ているからこそ可能なことです。
実用化すれば、車の操縦者に何かあっても「5G」の高速通信・低遅延を活かすリアルタイムでの対応が出来るようになり、遠隔操作により安全に対処・サポート可能になります。
現時点では、5G通信のサービス範囲の問題や法的な問題もあり、実用化には時間がかかるとのことですが、将来安心・安全のサポートとしては大いに期待したいサービスです。
▪️車載用5Gガラスアンテナで高速走行時でも安定したサービス提供
自動車や鉄道などの車室内や建物内で、安定した5Gによる高速通信を実現するため、28GHz帯の電波送受信が可能な「ガラス一体型5Gアンテナ」の開発を進めています。
アンテナは車両ガラスと一体型のため、車両デザインを損なわない設計になっているのが良い(さすが)です。
実際に参考展示されていたものを見たのですが、ガラスとガラスの間にアンテナが挟まれているようで、カメラで撮影しようと思っても上手くアンテナが映らないほど透明度も高く目立ちにくいです。
5Gガラスアンテナを採用することで、アンテナを分散させて搭載出来るため移動しながらでも通信が途切れない安定した通信を行えるようになるはずです。
近年キャンピングカー生活しながら全国を回っている人も増えていると聞くので、クルマでの生活がより豊かになりそうです。「5G」を使いクルマと通信サービスがより密接に繋がり合う未来は、現実可能なレベルに間違いなく近づいています。
▪️車内向けWi-Fiサービス「docomo in car connect」で快適な車内空間づくり
5G通信を使わない、既存の4G通信を利用しているサービスもあります。ドコモが展開する車内向けWi-Fiサービス「docomo in car connect」は、LTE通信をWi-Fiを用いて定額で好きなだけ、利用することが出来る車内向けインターネットサービスです。
主なサービスポイントは3つです。
まず、1つめ「定額で使い放題」。
車内で快適な空間を作るため、通信速度制限はなくどれだけ使っても定額で使い放題なのが大きな魅力です。
2つめ、「選べる料金プラン」。
料金プランについては、1日(24時間)で500円から利用することが可能です。また選べる料金プランもあるので旅行時のみ等、使いたい時だけ使うことも出来ます。
そして3つめ「日本全国どこでも通信可能」。
快適な通信を行うのに気になるのは通信エリアです。「docomo in car connect」では、国内のドコモ4G LTEを利用するので通信エリアは日本全国を網羅しているので安定して通信を行うことが可能となっています。
旅行時にそれぞれ好きな動画を観たり、アプリでゲームをしたり、撮影した写真の共有も通信制限を一切気にすることなく利用が可能です。
車内向けWi-Fiサービス「docomo in car connect」は未来の話ではなく、パイオニアから「サイバーナビ」という対応済みの最新カーナビが登場しています。すでに国内で利用できる最新モビリティサービスです。
▪️AI音声アシスタントによるアイズフリー&ハンズフリーで快適なドライブサポート
騒音の多い走行中でも、ノイズの耐性を強化、正確な音声認識を目指しています。
騒音に強い音声認識技術を使うことでドライブ時に「アイズフリー&ハンズフリー」が可能になります。「目的地検索」、「駐車場の満空確認」、「電話発信」、「近くのレストラン情報」、「最新の天気・ニュース情報」などを声での操作をストレスなく、リアルタイム情報を確認出来ます。
実際にデモ体験で「カレーが食べれられるお店を探して」というと、問題なく最寄りのレストランを紹介してくれました。会場が騒がしい中、正しく音声認識出来たことには驚きました。
すでに実用段階にありインターネットに接続できる環境であれば、車やスマホなどデバイスを問わず使えるようになります。
▪️乗りたい車を1つのアプリで「dカーシェア」
dカーシェアは「カーシェア」、「マイカーシェア」、「レンタカー」の3つの中から、使いたいシーンに合わせて乗りたい車をアプリ1つで選べます。月額費用・月額料金は0円で、利用した分だけの支払いが必要になります。
dカーシェアを利用すると、車を使いたい時だけ借りる、自分が車を使わない時はシェアする、旅行時等にレンタルすることができます。
1つで3役使えるのがとても便利で、さらにdポイントも付いてお得です。
▪️シームレスな移動、クルマと通信を連携したモビリティサービス
今後、徒歩・自転車・自動車などのいろいろな移動サービスが連携して、最適な移動手段の検索、予約、決済を行えるサービスMaaSに関する様々な問題の解決に向けた取り組みを行っています。
ドコモは、一般的な交通統合型MaaSに加え、効率性と利便性をバランスよく向上することでコストを最適化する高度化型MaaS、移動の先に必ずある目的・サービスと交通の連携を強化し、新たなビジネスモデルを創出できるサービス連携型MaaSが必要であると挙げています。
すでに高度化型MaaSの一環として2019年4月1日よりオンデマンド乗合交通システム「AI運行バス」を提供、交通統合型MaaSとしてAIタクシーの実用化しています。また最近では、サービス連携型MaaSとしてAI運行バスを施設と連携させる取り組みを始めています。
AI運行バスは、乗りたいときに、行きたい場所まで運んでくれるサービスです。直径5km程度の運行区域内を縦横無尽に走る小型車両なので、今までのバスとは違い路線やダイヤに縛られることなく、アプリで簡単に車両の手配が出来ます。
また、AIにより最適な配車、最短ルートで目的地へ到着出来るので無駄がありません。そんな夢のようなモビリティサービスの実証実験が始まっています。
ドコモは、5G通信を通してより安心で快適な車内空間を演出したり、ユーザーサポートが行えるようになったり、既存のドコモモビリティサービスを強化・進化させ、より便利で快適な社会へのチャレンジを続けてくれています。
今後、クルマ分野との連携が必要になってくることや技術面だけではなく、法的な部分も含め見直しが必要になってくるのではないでしょうか。
数十年後、今よりもっと快適な未来を想像するとユーザーとしてはワクワクします。クルマと通信は分けて考えるのではなく、もっとお互いの特性を生かし合いながらよりよい進化を期待していきたいです。
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[ちえほん]
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