「有山勝利 の視軸」横断歩道の歩行者は守られているか? 横断歩行者妨害容疑で摘発されたのは約14万1400件

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横断歩道を前にして、青信号に変わるまでの時間が惜しいのか、待ち切れずに交差点に飛び込むようにして突破する歩行者がいる。一方では、運転席から見えにくいだろうにと思うほど、歩行者に近寄るクルマもある。

警察庁は昨年10月、信号機のない横断歩道で歩行者の安全を守る取り組みを進めるよう、全国の警察署に指示した。

今年3月までの半年間に、横断歩行者妨害容疑で摘発されたのは約14万1400件となり、交通違反全体が減少傾向にある中、昨年9月までの半年間より約1万3000件増えていた。

この背景には、信号機のない横断歩道で歩行者の死傷事件が後を絶たない現状がある。昨年は前年より13人多い90人が亡くなり、4415人が負傷した。

死亡者の8割以上が65歳以上で、兵庫県と長野県で5歳と8歳の男児が死亡した。

都道府県別では、長野(58・6%)、静岡(39・1%)は高く、栃木(0・9%)、広島(1・0%)は低かった。

日本自動車連盟は昨年、信号機のない横断歩道94カ所で調査。約1万1000台の自家用車のうち、横断する歩行者がいる状況で、一時停止したのは8・6%で9割以上が止まらなかった。

警察庁では「歩行者優先はマナーではなくルールであり、摘発や指導、注意喚起を徹底すると話している。

これは、1年後に迫った東京五輪でさらに増加するであろう訪日外国人旅行者の事故を防ぐためでもある。

一方、横断歩行者妨害で摘発された運転者は「横断者がいるのはわかっていたが、急いでいたため」と答えている。

朝日新聞では、一昨年末の外国人旅行者からの投稿をもとに特集記事を掲載。欧米では「横断歩道に歩行者がいたら必ず止まる」という習慣が浸透していると紹介している。日本では、マナーではなくルールであることを肝に銘じなくてはならない。

お盆休み中の道路は空いていて、気も楽だった。それでも急いでいるクルマは多かった。

 

有山勝利プロフィール

1937年生まれ。1960年に総合輸入車ディーラーに入社、そのまま定年まで殆ど広報作業に従事、依頼により1966年より、ブリヂストン・タイヤニュース、週刊大衆に連載執筆、筆名に有川 浩を使用、月刊自家用車、報知新聞、日刊スポーツ、スポーツニッポン、ディリースポーツ、マイカー情報(札幌)、くるまにあ にも連載、単発は無数。媒体側と広報担当の双方と交友、互助の功を上げた。

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