10月から消費税の引き上げ実施が濃厚になっている。駆け込み需要が加速しているため、成約車の納期がここに来て大幅に伸びる方向にある。多くの新車は8月上旬までに、ナンバーの取得が10月以降にずれ込む見通しである。
4月から7月までに新規、フルモデルチェンジ、マイナーチェンジなど多くのモデルが発売になっているが、これらのほとんどは受注が集中し、供給が遅れがちになり、10月以降となっている。最近は量販モデルでも、工場や販社のモータープールでの在庫を少なくするために、成約してからの生産に切り替えるモデルが増えており、このことも納期が先送り傾向になる一因になっている。
消費税の引き上げ実施後は、買い控えで新車の需要が極端に減少することが予想されるが、今回はあまり大きなマイナスの影響が生じない可能性がある。引き上げ幅が2%と比較的小さいのと自動車取得税の廃止、環境税の導入などを相殺すると、車種による格差もあるが実質1%程度の値上げにとどまるからだ。
このくらいであれば、値引きの上乗せや下取り車の調整でカバーできるといった局面もある。とはいえ、価格の安いモデルは影響度が少ないが、高額車は大きいといった違いもある。
こうしたことは、消費税引き上げ後の買い控えにも関係してくる。駆け込みの影響が少ないと買い控えもあまりないともいえる。買い控えがあるとしても、この時期に戦略ニューモデルを投入すると、新型車効果である程度カバーできるとの読みもある。
今秋から年末にかけては新型車の投入が例年より多いので、買い控えをどこまでカバーできるかも注目したいところだ。
遠藤徹プロフィール
専門分野はマーケット分析、商品戦略、販売戦略、執筆先:ベストカー、ドライバー、ザ・マイカー、カーアンドレジャー、その他週刊誌など。単行本執筆は約20冊