文・写真:吉田直志(automobile columnist)
群馬県との県境に接し、関越自動車道の本庄児玉ICとしても、耳馴染みのある本庄市。かつては中山道最大の宿場町として栄えた地であり、現在でも様々な文化財や史跡が残っていることはあまり知られていない。そんな本庄市をトヨタ「カローラフィールダー」で巡ってみることにした。
間瀬湖
本庄市へのアクセスは関越自動車道の本庄児玉ICを利用するとすぐだ。今回のドライブの目的地とした本庄市は北は利根川から、南は荒川が流れる長瀞近くまで広がり、まさに河川敷から山間、そして、かつての宿場町と、さまざまな表情を楽しむことができる地だ。
最初に山間にある「間瀬湖」を訪れることにした。ダム湖までの県道287号線の道幅は決して広いとはいえず、どこか心許なさも感じたが、逆にいえばひっそりとした雰囲気の中にあった。湖畔の道はすれ違いが難しいところもあるが、桜の木の間から見える湖面がまた美しく、誰にも教えたくないという隠れ家的な雰囲気があった。取材当日はへらぶな釣りもまだ盛んではない2月上旬だったため人影もまばらだったが、ここは、ヘラブナ釣りのメッカであり、さらには桜の名所として有名なスポットで、シーズンになると多くの人が訪れるという。
本庄市街
続いて向かったのは、市街地にある文化財スポット。ここ本庄は、江戸時代は中山道の本庄宿として、そして、近代は養蚕製糸が盛んな街として栄えた地であり、現在でも旧中山道や児玉駅周辺には多くの史跡や文化財が残されている。
その中でまず訪れたのは「塙保己一記念館」。江戸時代の国学者である塙保己一は盲目ながらも全66冊にもなる群書類従を編纂し、この記念館には、彼の遺品や関係資料が展示されている。それほどに広くはない館内ながら、実に分かりやすく、また興味を引く展示や解説がされており、いつしか時間が過ぎるのを忘れてしまうほど、魅力的な記念館だった。
近くには、昭和初期に建てられたモダンなデザインが印象的な「児玉町旧配水塔」、明治時代に養蚕の普及、技術の改良にと建てられた「競進社模範蚕室」などが、住宅街の中に取り残されるように点在している。いずれも保存方法も、展示方法も凝っており、是非、足を運ぶことをオススメしたい。
本庄市はこうしたと旧跡が多く残っているだけではなく、実は、新しい施設も多く建ち並んでいる。今回は訪れなかったが、最近人気の工場見学施設として、赤城乳業・本庄千本さくら「5S」工場、宅配水業務行っているクリクラミュージアム(工場)があるし、本庄市からは飛び出してしまうが、隣接する児玉郡には、スイーツのテーマパークを謳う上里カンターレなどもある。
そう、実はこの地域、ドライブスポットとしては1日を十分過ぎるほどに楽しめる。ちなみに、上里カンターレは、関越自動車道の上里SAそばにあり、SAにクルマを停めて歩いて向かうこともできるし、また、上里SAにはスマートICが設置されているため、すぐに関越自動車道へと乗ることもできる。
坂東大橋
ドライブの締めくくりとして、埼玉県と群馬県を結ぶ坂東大橋周辺の河川敷を訪れた。ここはフラットダートと公園が広がった地で、いわゆる観光スポット的な何かがあるわけではないが、悠々と流れる利根川、夜にはライトアップされる坂東大橋、遠くに見える赤城山など、パノラマを楽しむにはもってこいだ。
今回のドライブに連れ出したカローラフィールダーは、ガソリンエンジンモデルだったが、パワーに不足を感じさせることなく、また、その乗り味も快適性を優先しながら、速度域を上げていくと意外にもハンドリングを楽しめるキャラクターを持ち合わせていた。もちろん、ステーションワゴンとしての積載性にも長けており、まさにドライブ向けの1台であることを再確認できた。
ドライブデータ
試乗車=トヨタ カローラフィールダー 1.5G
パワーユニット=ガソリンエンジン1496cc、Super CVT-i(自動無段変速機)、FF
乗車定員=5名
全行程走行距離=約250km
立ち寄りスポット[マップコード]
・・間瀬湖[150 853 820*25]
・塙保己一記念館[20 075 444*43]
・児玉町旧配水塔[20 076 153*84]
・競進社模範蚕室[20 076 523*23]
※「マップコード」および「MAP CODE」は、株式会社デンソーの登録商標です。
※ナビの機種によっては、高分解能マップコードに対応していない場合があります。
プロフィール
吉田直志(automobile columnist)
四輪駆動車専門誌、デジタルカルチャー誌の編集部を経て、フリーライターに。現在は新型モデルの評価を軸に、自動車雑誌のほか、ファッション誌にも寄稿。
(本稿は2019年4月に新聞「週刊Car&レジャー」に掲載)