【車屋四六】1920年ウッディーワゴン誕生

コラム・特集 車屋四六

ウッディーワゴンとは、多分米名だろうが、別名ステーションワゴン/SWと呼ぶ乗用車のことである。
はるか昔、乗用車ベースでワゴンを造ろうとした時に、シャシーに付属するエンジンとフードとフェンダーという前部、そして後部フェンダーを残して、Aピラーから後ろを木で造ったのだろう。

手元の資料を丹念に探したら、フォード1929年のカタログに木製ワゴンを発見、その商品名がウッディーワゴンで、こいつが、米国木製SWの元祖のようだ。(トップ写真:1929年/昭和4年のフォードのカタログに載るウッディーワゴン、世界最古の量産ウッディーワゴンと思われる)

フォードの木製ワゴンは思いのほか好評だったようで、1930年代に入ると、各社のカタログに載るようになる。そしてこのスタイルの全盛期は、WWⅡ後の50年代だった。

当時米国は戦勝国らしき好景気を背景に、裕福層御用達、一種のステイタス性も持ち合わせていたようで、カタログを見ると、どの木製ワゴンも価格では最上位が多い。戦後、フォードやシボレーのSWに乗る進駐軍兵士家族に「木製SWの方が良いのに」「欲しいけど高いから諦めた」が答えだった。

(太平洋戦争前1940年型シボレー木製SW:未だ両サイドのステップが残り屋根は革張りのようだ)

50年代にはいると、世界中の自動車がマスプロ時代に入る。中でも最先端を走る米国で、木製ワゴンは、手作り風味のクラシック感が受けたようで、ワゴンばかりではなく、クライスラーにはタウン&カントリーと呼ぶセダンやコンバーティブルさえも登場した。


(木製ボディーは発展して乗用車にまで進出:1950年初期のクライスラー・タウン&カントリー・コンバーチブル/高価な車だった)

このカントリーという言葉の響きは、古き良き時代を連想する力があるようで、米国ばかりでなく名乗る車は沢山あり、BMW-MINIにもその名が残っている。

更にさかのぼり英国製時代の木製のMINIも有名だが、日本では二代目シビックのSWをシビックカントリーと呼んでいたが、両サイドに印刷木目シートを貼っていた。

米国のウッディーワゴンは、耐水ベニアとオーク材のフレームで構成され、クラシックを連想させるのが人気だろうが、日本ならさしずめ茅葺き屋根の古民家といったところだろう。

が、60年代に入ると職人不足のせいか、コスト高なのか、木骨を思わせるプレスボディーと塗装になり、最後はシビックのように、木目印刷シートを貼って、昔の雰囲気を演出していた。

近頃のフェイク木目で、インテリアの高級感を演出する手法と五十歩百歩だと云えよう。

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