【車屋四六】人気のGTIをVWシロッコにも

コラム・特集 車屋四六

背景に自衛艦ということで横須賀辺りだが、カメラマンの服装から83年の寒い頃だと思う。もう一人は島崎七生人。(トップ写真:自衛艦バックのVWシロッコGTI:左側島崎七生人)。今では独立してベテラン評論家だが、当時はカービート誌の編集部員として、私の取材に同行したものだった。

83年と云えば思い出すのが{おしんドローム}橋田壽賀子のNHK朝ドラ{おしん}の超人気で生まれた流行語だが{おしん}は今でも、世界の何処かで放映され続けているのだから超名作である。
オ化け番組と呼ぶように視聴率60%。大根めしを有名にした少女時代の小林綾子、大人時代を演じた田中裕子、音羽信子のババ様ぶりなどを、懐かしく思い出す。

その頃試乗したVWシロッコは、当時流行の並行輸入業者からの借り物で、トランクデッキのoettingerのバッジが物語るように、ヤナセでは扱わぬチューニングカーだった

ベースはVWシロッコGTI。「アウトバーンでGTIが来れば先行車が道を譲る」と云われたゴルフGTIの人気にあやかろう魂胆で生まれたシロッコGTIを、更に高性能化した車の試乗だった。

全長4000㎜、全幅1625㎜、全高1306㎜、WB2400㎜。車重895kg。クーペ姿は一見小柄だがキャビンは広く、後席も一応の居住空間を確保していた。

直四OHCは回転指向のスクエア型で1995cc・圧縮比10・ボッシュ製Kジェトロニク噴射で110馬力/6100回転・14.3kg-m/3500回転・5MT・前輪ストラット/後輪トレーリングアームで四輪コイルスプリング・ブレーキが前ディスク/後ドラム・175/70HR13。

シートは硬めで両サイドの張り出しでホールド性高く、簡素なインパネに大型の回転計と速度計の二連メーターが見やすい。短いシフトレバーはスポーティーな切れ味で、GTIを演出する排気音は元気だがうるさいほどではない。
その頃の試乗記で、GTIならではの加速・直進安定は申し分なく、コーナーではFFらしい弱いアンダーステアでアクセルの強弱による姿勢変化が少なくコントローラブルと褒めている。

またステアリングがやや重め、ブレーキはガツンと効くタイプではなくシットリしなやかという感じで、素直に止まる。GTI相応の乗り心地は、硬いの一語につきるが、承知して乗るマニアには最上の乗り心地なのだろう。

GTには、快適ツーリングを楽しむタイプと、休日にはサーキットもというタイプがあるが、試乗車は正に後車である。

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