輸入車の最新モデルが一堂に集結! JAIA輸入試乗会から試乗レポート

試乗レポート

日本自動車輸入組合(JAIA、ペーター・クロンシュナーブル理事長)は、1982年から加盟各社が取り扱う最新モデルを一堂に集めた試乗会を年に1回開催。今年も(第38回)も2月6日から8日まで、大磯プリンスホテル(神奈川県)を起点に行われた。今回は16社(23ブランド)から77台の最新モデルが集まり、自動車ジャーナリストや評論家、各種メディア編集者など延べ447人(87媒体)が参加。2回にわたり試乗レポートをお届けする。

■JC08モードで301㎞走行「フォルクスワーゲン・e-ゴルフ」

ハイブリッド車に見向きもしなかった欧州メーカーが急転、電動車の発売に傾注している。というより、将来の欧州各国の規制により〝せざるを得なくなった〟という方が正しいか…。

昨秋、日本にもフォルクスワーゲン・ゴルフのプラグインハイブリッド車「ゴルフ GTE」と、ピュア電気自動車(EV)「e-ゴルフ」が揃って上陸。ゴルフはパワーユニットの選択肢が一気に広がった。

外観は新型ゴルフとほぼ同じ。EVを示す控えめなバッジと、フロントグリルまわりのブルーの挿し色で違いがわかる程度。気になるフル充電後の航続距離は301㎞(JC08モード)。約半分と見積もっても150㎞になる。200Vの普通充電(フル充電まで6~12時間)と、チャデモ規格の急速充電(約35分で80%充電)に対応する。

35・8kWhのリチウムイオン電池と、最高出力136PS/最大トルク290Nmのモーターが生み出す加速は必要十分なもの。反応の良さはレシプロエンジンでは真似できない部分だ。

実用性や安全機能も新型ゴルフとそっくりそのまま。EV特有の操作もなく、ガソリンエンジン車から乗り換えても何ら違和感なく乗れてしまう。ある意味そこが美点でもあるが〝ハイメカ擦れ〟したドライバーからすれば、どこか物足りなさも感じそう。と書く筆者自身、ピュアEVはまだ特別なクルマという思いが根底にあるからかも。単なるパワーユニットの選択肢の一つ。欧州ではEVがごく当たり前の光景になっているのかもしれない。

■意思に忠実な操縦安定性がクルマとの一体感を演出「ロータス・エヴォーラ400」

2シーターのライトウェイトスポーツカーを主力とするロータスの中で、フラッグシップの「エヴォーラ400」は唯一2+2の4シーターモデル。駆動方式はMR、エンジンはトヨタ製V型6気筒3・5ℓを搭載し、スーパーチャージャーと独自チューニングにより、最高出力406PS/最大トルク410Nmを発揮するハイパフォーマンスモデルだ。ちなみに、馬力を英国式標記すると400hpになることから、エヴォーラの最新モデルは車名の後に400という名称が与えられている。

全高は1・24mとスポーツカーらしく低いが、サイドシルを細く低いものにすることで、大げさに潜り込むようにして乗るといった体勢を取る必要も無く、乗降性に問題がないのも好印象。乗り心地は特に時速30㎞程の低速域では相当硬いが、高速域での走行では路面の継ぎ目なども上手にいなしてフラットライドを実現し、長距離ドライブにも応えるGTカーとしての素質も垣間見えた。

 

走行モードは、ノーマル、スポーツ、レースが設定されるが、ノーマルでも低速から踏力以上の痛快な加速が得られる。スポーツではよりレスポンスが鋭くなり、5000回転付近まで一気に回転を上げ、背中から押されるようなピュアスポーツカーらしい加速を味わえる。

今回試乗した6ATはパドルシフトによる変速スピードも操作に忠実で、全くストレスが無い。クルマを操る感覚は、MTにも引けを取らない楽しさを持ったモデルだ。

■高速域での安定感を重視「ジープ・コンパス」

「ジープ」といえばアメリカ車を代表するブランドの一つ。その中で今回試乗したコンパスは、最小モデルのレネゲードとミドルサイズのチェロキーの中間に位置するコンパクトSUVだ。ジープらしい存在感のあるスタイリングで、一見あまり小さく見えないが、ボディサイズは全長4400㎜×全幅1810㎜×全高1640㎜で、国産SUVと比較しても小さいクラスに入る。普段使いでも扱いやすいサイズである。

室内空間は広く、後席のスペースも十分。レネゲードはファミリーで使うにはちょっと小さいが、これなら大人4人の移動でも不満はない。またプレミアムとまではいかないものの素材の使い方がうまく、質感が高いのも好印象。インパネ周りなども過度な装飾を抑え、機能性を優先させたデザインとしているのもジープブランドらしく好感が持てる。シートは着座位置が高く、視界が広いので運転しやすい。

  

乗り味は硬質でカッチリしており、“アメ車のSUV”感はまったくない。シートの座り心地もやや堅く、どちらかといえば欧州コンパクトカーに近い。足回りやステアリングのセッティングも直進性が強く、高速域での安定感を重視した性格だ。

搭載するエンジンは2.4LのNAだが、コンパクトなボディということもあってパワーは余裕があり、ロングドライブの多いユーザーでも満足できるだろう。発進から自然な感覚でトルクが出てくるので扱いにくさは全くなし。街中から高速道路まで快適なドライブが楽しめる。その点でも日本の道路事情に良くマッチしているモデルといえるだろう。

Tagged