【河村康彦 試乗チェック】メルセデス・ベンツ・A250eセダン モーターの加速は想像以上の速さ

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チャデモ方式に対応し日本市場に適合

メルセデス・ベンツ最小のセダン=Aクラスに設定されたプラグイン・ハイブリッドモデル『A250e』をテストドライブした。

外部充電によって充電状況が良好であれば純粋なるEVとしての振る舞いを示すプラグイン・ハイブリッドモデルは、今後さらなるバッテリー性能の向上によって、航続距離や車両価格などのピュアEVならではと言える問題点が解消されるまでの、いわば”現実解”とも考えられる存在。

特に、CO2の低減が電動化の推進と同義語とも言える現在の欧州地域では、走行時に排気ガスを排出しないモデルに対して、減税や補助金配布などの大幅なインセンティブが与えられるのが常。それゆえ、ピュアEVと共にこのところ大幅に販売量を上積みしている注目の存在でもあるのだ。

プラグイン・ハイブリッド化されたとは言え、250eのルックスは「普通のAクラス・セダンと変わりない」と言って差し支えない仕上がりだ。一部メーターのグラフィックなどに独自のデザインが与えられる部分もあるものの、インテリアも同様と言ってOKだ。

それでも、目ざとい人はリヤバンパーやボディ右後部側面の、ベースモデルにはないリッドの存在に気が付くはず。これは、前者が普通充電、後者が「輸入プラグイン・ハイブリッドモデルでは初」を謳う”チャデモ”急速充電器用の、二つのブラグ差し込み口なのだ。

普通充電用プラグ

WLTCモードで70km超というEV航続距離を達成するための駆動用バッテリーや、75kwと比較的大きな出力を発するモーターの搭載等もあって、車両重量は約1.7tと決して軽いとは言えないものの、160psの最高出力を発する1.4リッターのエンジンが加勢した際はもとより、前出モーターのみによる加速のシーンでも、その速さは想像以上。前述した欧州の事情に比べるとインセンティブは控え目な日本だが、家庭で充電が可能であるなど条件によってはほとんど燃料補給の必要に迫られずに毎日の走行が可能となりそうであるなど、使い方次第では大きなメリットの恩恵に預かれる可能性も少なくないだろう。

直列4気筒1.4リッターターボエンジン

とはいえ、率直なところ欧州のマーケット前提で生み出されたモデルであることは否定できず、今のところ通常のエンジン車以上の〝おいしさ”を味わえるユーザーは日本では多くはなさそう。それでも、チャデモへの対応を実現させるなど何とか日本の市場にも適合を図っていこうという姿勢が感じられる点は、さすがは「輸入車ナンバー1ブランド」と言うべきなのだろう。

(河村 康彦)

(車両本体価格:600万円)

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