FFミッドサイズグローバルセダンのカムリがフルモデルチェンジした。最大のトピックスは、プリウスやC-HRに採用された新しいクルマづくり、TNGAにより全てにおいて一新されたことだ。
クルマを骨格から作り替えたことで低重心となり、運動性能向上にもつなげた。また「デザイナーの最初のスケッチからほとんど手を加えていない」という、力感あふれるエクステリアデザインも手に入れた。
パワーユニットはハイブリッドのみというのは先代同様。高効率化が図られた新しい直列4気筒2・5㍑エンジンと、効率を高めたハイブリッドシステムとの組み合わせで、力強い走りとJC08モード燃費が33・4㎞/㍑~28・4㎞/㍑へと向上した。
500㍑を超す広大なトランクでたっぷりと荷物が積め、FFゆえに後席の足元空間も広く、大人4人が快適に車内で過ごせる。実用面では申し分なしのカムリだが、これまで〝華やかさ〟〝あでやかさ〟という部分では少々インパクト不足だったのも否めない。これまで度々テコ入れが繰り返されてきた部分でもある。
フルモデルチェンジといっても、エンジンルーム内にかさのある部品が残ってしまうと、それをカバーするためにエンジンフードの位置が高くなり全体のシルエットにも影響する…それが今回、全てを刷新したことで、自在にカンバスに線を引けたという。
大胆なフロントマスクもさることながら、サイドビューも力強く躍動的。これまでにない変貌を遂げたといえる。とはいえ、デザイン優先ではなく、低めのボンネットフードは見切りも良く、ドアミラーの取り付け位置をドアに変えたことで運転席からの視界も良好で、安全性・実用性の追求も忘れていない。
試乗はゆるやかな起伏もある郊外の一般道が中心。上りの場面でもストレスを感じない力強い加速を見せた。コーナーでの姿勢変化も安定しており、不快感や不安を感じることもない。新しい骨格を手に入れたことで基本性能が向上したことがわかる。その基本性能の中で、特に筆者が〝意のまま〟と感じたのはブレーキのタッチ。踏みしろに応じた減速が感じられた。
一方、一部グレード標準装備のカラーヘッドディスプレイ(HUD)や、ナビとHUDと連動したマルチインフォメーションディスプレイなど、ドライバーへの情報提供も充実。日常から長距離まで、運転中の安心感向上を高めた。基本性能の向上に加え、苦手だった〝あでやかさ〟も手に入れた。まずはこの変わりぶりをショールームで確認してほしい。